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2014年12月11日木曜日

☆Various:『The Art Of McCartney』(Arctic Poppy/APCDREM1402)

この通常盤はポール・マッカートニーが書いたナンバー全34曲を、ビートルズ時代の曲も含め、31のアーティストがカバーしたものだ。メンバーはボブ・ディラン、ブライアン・ウィルソン、ロジャー・ダルトリー、スモーキー・ロビンソン、B.B.キング、ディオン、バリー・ギブ、ポール・ロジャース、ビリー・ジョエル、キッス、ウィリー・ネルソン、ジェフ・リン、クリッシー・ハインド、アリス・クーパー、ハート、キャット・スティーブンス、ドクター・ジョン、デフ・レパード、キュアーなど超大物がずらりと顔を並べる。ジョンに対してポールを軽んじる人が、特にロック系に多いが、このメンバーを見れば、どれだけポールが多くのミュージシャンにリスペクトされているかよく分かるだろう。長いキャリアの間に途切れることもなく圧倒的に多くの名曲を書いてきたポールの偉大さに、改めて驚かされた。ポールの素晴らしさが分からない人は音楽的に「アホ」だと断言しよう。まず、最初に言えることは、ビートルズ時代のカバー曲よりも、ソロになってからの曲の魅力的であること。ビートルズはジョンという最高のパートナーと、ジョージ・マーティンという先生役がいたため、ビートルズのレコードを超えるものは作れない。まずはなんといってもブライアン・ウィルソン。「Wanderlust」とは中々渋い選曲で、この哀調を帯びた気品あふれるナンバーを、ブライアンらしく壮大なハーモニーで覆った。対位法のハーモニーが心地よい。続いてフーのロジャー・ダルトリーの「Helter Skelter」。この曲はもちろんホワイト・アルバムからのカバーでビートルズ・ナンバーだが、ロジャーがビートルズ・ナンバーを歌ってくれた事に感動してしまう。この最もハードなビートルズ・ナンバーを、ロジャーは力強いシャウトヴォーカルで歌いこなし、さすがの仕上がりだ。他では、ヘヴィなR&Bに仕上がったポール・ロジャースの「Let Me Roll It」、実に渋いヴォーカルでスタンダード・ナンバーのように響いてくるハリー・コニック・ジュニアの「My Love」、クリアーでとても爽やかなハートの「Band On The Run」、実に軽快なロックンロールで楽しめるキッスの「Venus And MarsRock Show」とデフ・レパードの「Helen Wheels」&ジョー・エリオットのソロ「Hi Hi Hi」、渋みの増したヴォーカルが魅力のクリッシー・はインドの「Let It Be」とアリス・クーパーの「Eleanor Rigby」がいい。ポップで明快なサウンドになったジェフ・リンの「Junk」とバリー・ギブの「When I'm 64」も楽しめる。その他の大御所はちょっと渋すぎの感がある...。amazonでは一向に入荷待ちだったこのCD、しびれを切らしてamazonをキャンセルしてHMVに注文すると即、入荷した。これでamazonの遅延は3連発でひどいの一言だ。(佐野邦彦)
Art Of Mccartney(2CD)

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