『Keep An Eye On Summer:The Beach Boys Sessions 1964』と同時に発売されたiTunesのみでダウンロードできるライブで、日本でも入手できる。この1964年8月1日のサクラメントでのライブは、その当時よくあった一日2回公演で、その模様が『Beach Boys Concert』の元になったのは有名な話。全36曲、この当時のライブがリアルで楽しめるのでマスト・バイである。まず『Beach Boys Concert』からはスタジオ録音音源に差し替えられてしまった「Fun Fun Fun」と「I Get Around」はどうなのだろうか?前者のSecond Showはリード・ヴォーカルーカルが小さすぎて使えなかったが、そんなに収録を見送るほどのものでもなかった。特に「I Get Around」は悪くない。この曲のFirst Showのナレーションはアルバムにそのまま使われている。「The Little Old Lady From Pasadena」はSecond Showのリード・ヴォーカルが聴こえず、First Showだけだったが、サビのコーラスのバランスが悪いのでミキシングし直して使ったのかも。First Showの音源が使われたのが「Hawaii」、Second Showの音源が使われたのが「Let's Go Trippin'」「The Wanderer」「Graduation Day」で、「Monster Mash」と「Papa-Oow-Mow-Mow」はここからは使わなかった可能性があると思うがどうだろうか。「Little Deuce Coupe」「Long Tall Texan」「In My Room」「Johnny B.Goode」は披露されていないので、これらは63年12月の録音だ。他『Beach Boys Concert/Live In London』に収録の「Don't Worry Baby」のライブはSecond Show。『Good Vibrations Box』収録の「Surfer Girl」「Surfin' USA」「Hushabye」「Be True To Your School」はみなFirst Showからの音源だった。なお「Be True To Your School」のSecond Showはリード・ヴォーカルが聴こえず使えないクオリティ。その他では「Wendy」「Little Honda」「Don't Back Down」がこのアルバムのみのライブ音源。「Wendy」のSecond Showでは最初に調弦していて、歌がスタートすると誰かが咳き込んでいた。「Little Honda」のSecond Showは最後以外ほとんどヴォーカルが入っていないので機材故障だったのだろう。「Don't Back Down」はFirst Showでのドラムのイントロが長いので、Second Showではその部分にナレーションを入れ、工夫をしていたのが面白い。なお、本作には「Little Honda(Rehearsal Live)」と「Papa-Oow-Mow-Mow(Rehearsal Live)」という2曲のリハーサルも収められていて、ライブよりずっと洗練された歌と演奏が楽しめる。特に後者は自家薬篭中の出来で、これが唯一のスタジオ・ライブ・ヴァージョンだ。(佐野邦彦)
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