ポール・マッカートニー待望のスーパー・デラックス・エディションが、肝心な70年代の中核の『Venus And Mars』『Speed Of Sound』をセレクトしてくれた。この2枚は、それまでジョンやジョージのソロに比べバカにされていたポールのアルバム(今や『Ram』なんて名盤の一員なんだからね。ロック評論家なんて連中の耳なんて信用ならない証)が、前作の『Band On The Run』が300万枚という爆発的なヒットとなり、評論家の評価も高くグラミー賞(グラミー賞なんて名作を平気で落とすから何の信用もないけどね)の最優秀アルバムを獲得し、一気に立場を逆転させたあとの勢いにのったアルバム2枚。内容についてはもう書く必要がないから書かない。知らない人は常識なんで勉強してください。ではまず『Venus And Mars』のボーナスディスクから。
シングル曲の「Junior's Farm」「Sally G」「Walking In The Park With Eloise」「Bridge On The River Suite」「My Carnival」「Lunch Box/Odd Sox」が入ったので、「Zoo Gang」は『Band On The Run 2000 Archive Edition』にあり、この2枚のEMI盤の単発CDは不要になった。その他では即興に近い「Going To New Orleans(My Carnival)」、『Ram(Deluxe Edition)』で登場した『Hey Diddle (Ernie Winfrey Mix)』は『Ram』の(Dixon Van Winkle Mix)とミックスが違い初めから大きくミキシングされていた。「Let's Love」はポールのピアノ弾き語りだが、ポールの哀愁漂うバラードで自家薬篭中の出来。ノスタルジックな佳作だ。「4th Of July」は12弦ギターの弾き語りで、同じくポールの哀調を帯びたバラードだが、「Let's Love」の方が出来は上。Super Deluxe EditionにDVDで付いた映画『One Hand Clapping』からは「Soily」「Baby Face」がCDとして初の音盤化。前者はポールが比類なきロッカーという事を示す傑作で最高のロックナンバー。後者はポールお得意の洒落たノスタルジックな佳曲だ。そして貴重なのは「Rock Show(Old Version)」で、まさに最初のセッションという感じのシンプルな演奏の初期ヴァージョン。ここからアレンジを重ねあのキラキラしたオープニングナンバーに仕上がっていくのである。最後は初CD化の「Letting Go(Single Version)」。アルバムより1分短いが、歌も演奏も違った別テイクで、こちらの方がすっきりまとまっていて出来がいい。そしてSuper Deluxe Editionの価値であるDVD。「Recording My Carnival」はあらかじめ録音されたポールの歌入りのテイクにWINGSのみんなで合いの手のコーラスを入れていく楽しいフィルム。「Bon Voyageur」はWINGSがニュー・オーリンズに行った時の記録フィルムで途中、地元のセッションにポールがボンゴで参加するなどのシーンが見られる。「Wings At Elstree」でのライブ・リハーサルで、『Venus And Mars』『Letting Go』『Rock Show』『Listen To What The Man Said』の初期演奏が聴けるので楽しい。『Call Me Back Again』『Magneto And Titanium Man』も短く入っていた。あとは「Venus And Mars TV Ad」でアルバムのCM。では『Speed Of Sound』の初登場音源が入ったボーナスディスクは嬉しい「Silly Love Songs(Demo)」からスタート。この対位法の名曲のまだピアノだけをバックにしたデモだが、解放的なメロディの良さが際立ち、対位法のコーラスもしっかり出来上がって入っていて最高の贈り物。「She's My Baby(Demo)」もピアノ弾き語りのシンプルなデモで、これもなかなか味わい深い。「Message To Joe」は、声をシンセサイザーに入れた短いお遊び。そして本作の目玉「Beware My Love(John Bonham Version)」の登場だ。ポールはレッド・ツェッぺリンのジョン・ボーナムと仲が良く、ポールが誘ってセッションに参加してくれたもの。ジョン・ボーナムのパワフルなドラムはこういう曲想の曲であっても十分に使わってくる。ドラムブレイクの部分などウィングスのヴァージョンよりカッコ良く、こっちをアルバムに入れて欲しかった。ポールはリンゴ・スター、キース・ムーン、ジョン・ボーナムを三大ドラマーと行っていたがまさに納得である。「Must Do Something(Paul Version)」はポールの曲だがアルバムではジョー・イングリッシュが歌っていた。そのためポールがこういう曲だと作ったデモ。やっぱりポールの声の方がいい。「Let 'Em In(Demo)」は冒頭の2曲と同じくピアノのバックのデモだが、ハーモニーとかほぼ骨格は完成させていて、ポールの底知れぬ才能を感じさせる。「Warm And Beautiful(Instrumental Demo)」は原曲が美しい曲なので演奏だけでも十分に聴かせてくれる。そしてSuper Deluxe Editionの醍醐味、DVDへ移る。「Silly Love Song Music Video」はオフィシャルの曲に合わせてWINGSのツアーの模様を入れたもの。やはりプライベート・ジェット、大物だ。「Wings Over Wembley」もオフィシャルの曲をつなぎながらWINGSツアーのプライベート・フィルムをインサートしたものだ。ポールが『SGT Pepper...』の頃とそっくりのヒゲを生やしているのが面白い。「Wings In Venice」はベニスでのコンサートのセットを組む風景にWINGSのプライベート・フィルムを合わせいる。曲はオフィシャルの「Warm And Beautiful」でポールはこの時期もヒゲを生やしていた。次回は『Tug Of War』『Pipes Of Peace』だそうだが、早く『Wild Life』と『Red Rose Speedway』を出してくれないかな...。やっぱり70年代のポールが最高なんでね。(佐野邦彦)
シングル曲の「Junior's Farm」「Sally G」「Walking In The Park With Eloise」「Bridge On The River Suite」「My Carnival」「Lunch Box/Odd Sox」が入ったので、「Zoo Gang」は『Band On The Run 2000 Archive Edition』にあり、この2枚のEMI盤の単発CDは不要になった。その他では即興に近い「Going To New Orleans(My Carnival)」、『Ram(Deluxe Edition)』で登場した『Hey Diddle (Ernie Winfrey Mix)』は『Ram』の(Dixon Van Winkle Mix)とミックスが違い初めから大きくミキシングされていた。「Let's Love」はポールのピアノ弾き語りだが、ポールの哀愁漂うバラードで自家薬篭中の出来。ノスタルジックな佳作だ。「4th Of July」は12弦ギターの弾き語りで、同じくポールの哀調を帯びたバラードだが、「Let's Love」の方が出来は上。Super Deluxe EditionにDVDで付いた映画『One Hand Clapping』からは「Soily」「Baby Face」がCDとして初の音盤化。前者はポールが比類なきロッカーという事を示す傑作で最高のロックナンバー。後者はポールお得意の洒落たノスタルジックな佳曲だ。そして貴重なのは「Rock Show(Old Version)」で、まさに最初のセッションという感じのシンプルな演奏の初期ヴァージョン。ここからアレンジを重ねあのキラキラしたオープニングナンバーに仕上がっていくのである。最後は初CD化の「Letting Go(Single Version)」。アルバムより1分短いが、歌も演奏も違った別テイクで、こちらの方がすっきりまとまっていて出来がいい。そしてSuper Deluxe Editionの価値であるDVD。「Recording My Carnival」はあらかじめ録音されたポールの歌入りのテイクにWINGSのみんなで合いの手のコーラスを入れていく楽しいフィルム。「Bon Voyageur」はWINGSがニュー・オーリンズに行った時の記録フィルムで途中、地元のセッションにポールがボンゴで参加するなどのシーンが見られる。「Wings At Elstree」でのライブ・リハーサルで、『Venus And Mars』『Letting Go』『Rock Show』『Listen To What The Man Said』の初期演奏が聴けるので楽しい。『Call Me Back Again』『Magneto And Titanium Man』も短く入っていた。あとは「Venus And Mars TV Ad」でアルバムのCM。では『Speed Of Sound』の初登場音源が入ったボーナスディスクは嬉しい「Silly Love Songs(Demo)」からスタート。この対位法の名曲のまだピアノだけをバックにしたデモだが、解放的なメロディの良さが際立ち、対位法のコーラスもしっかり出来上がって入っていて最高の贈り物。「She's My Baby(Demo)」もピアノ弾き語りのシンプルなデモで、これもなかなか味わい深い。「Message To Joe」は、声をシンセサイザーに入れた短いお遊び。そして本作の目玉「Beware My Love(John Bonham Version)」の登場だ。ポールはレッド・ツェッぺリンのジョン・ボーナムと仲が良く、ポールが誘ってセッションに参加してくれたもの。ジョン・ボーナムのパワフルなドラムはこういう曲想の曲であっても十分に使わってくる。ドラムブレイクの部分などウィングスのヴァージョンよりカッコ良く、こっちをアルバムに入れて欲しかった。ポールはリンゴ・スター、キース・ムーン、ジョン・ボーナムを三大ドラマーと行っていたがまさに納得である。「Must Do Something(Paul Version)」はポールの曲だがアルバムではジョー・イングリッシュが歌っていた。そのためポールがこういう曲だと作ったデモ。やっぱりポールの声の方がいい。「Let 'Em In(Demo)」は冒頭の2曲と同じくピアノのバックのデモだが、ハーモニーとかほぼ骨格は完成させていて、ポールの底知れぬ才能を感じさせる。「Warm And Beautiful(Instrumental Demo)」は原曲が美しい曲なので演奏だけでも十分に聴かせてくれる。そしてSuper Deluxe Editionの醍醐味、DVDへ移る。「Silly Love Song Music Video」はオフィシャルの曲に合わせてWINGSのツアーの模様を入れたもの。やはりプライベート・ジェット、大物だ。「Wings Over Wembley」もオフィシャルの曲をつなぎながらWINGSツアーのプライベート・フィルムをインサートしたものだ。ポールが『SGT Pepper...』の頃とそっくりのヒゲを生やしているのが面白い。「Wings In Venice」はベニスでのコンサートのセットを組む風景にWINGSのプライベート・フィルムを合わせいる。曲はオフィシャルの「Warm And Beautiful」でポールはこの時期もヒゲを生やしていた。次回は『Tug Of War』『Pipes Of Peace』だそうだが、早く『Wild Life』と『Red Rose Speedway』を出してくれないかな...。やっぱり70年代のポールが最高なんでね。(佐野邦彦)
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