『Lola...』ではまず完全未発表曲の「Anytime」と「The Good Life」。前者はミディアムのナンバーで盛り上がりもありアルバム用としては十分な出来。後者はロックンロールのブギで後の「20th Century Man」を思わせる部分もある佳曲。録音はそれぞれ70年5月、70年9月で、『Lola...』セッション時のものであり、ボツ曲だった。「The Contenders(Instrumental Demo)」と「This Time Tomorrow(Instrumental)」はアルバム曲の歌なしだが、楽器が少なく、どちらもデモ・ヴァージョンである。ただし前者の録音は完成ヴァージョンより3日後の録音で意図はよく分からない。後者は同じ日なので、練習ヴァージョンだ。「Lola(Alternate Version)」は目玉のひとつ。イントロが印象的なコードではなく、アルペジオから静かに始まる。しかし2番からのアレンジ・コーラスはレコードに近く、完成間近のヴァージョンで、完成ヴァージョンの7日前に録音されたもの。「Apeman(Alternate Version,Stereo)」はイントロのSEが既に入っているのでこれも完成に近いが、レコードでは1番のミックスが極端に小さくミックスされているが、ここでは普通のヴォリュームなので聴きやすい。完成ヴァージョンの一か月前に録音されたもので、クレジットでは71年4月に発売されたテイチクの日本盤LPに入っていたと書かれているが初耳だ。そうだとすると大発見である。逆に最も違うヴァージョンが「Got To Be Free(Alternate Version)」で、レコードではギターによりカントリータッチの歌いだしで始まるが、このヴァージョンはグロッケンシュピールをバックに静かに歌われまったくアレンジが違っていた。オリジナルは70年9月の録音だが、クレジットでは70年10月にBBC1で放送されたものだという。
『Percy』のボーナストラックだが「Dreams(Remix)」42秒くらいから27秒くらい間奏が入っているが、こちらではそれがなくdreams...のコーラスがいきなり入り、流れとしてはこのRemixヴァージョンの方がいい。完成ヴァージョンはdreams...のコーラスにエフェクトがかかるがRemixにはそれがなく、その点もいい。「The Moneygoround(Alternate Version,Mono)」は『Lola...』の収録曲で完成版の一か月後に録音されたものだが、歌い方が一部違い演奏も違う。72年1月にヴォーカルがプラスされ、あのCD5枚+DVD1枚の『The Kinks At The BBC』のビデオに収録されている。「God's Children(Mono Film Mix)」は、ギターとパーカッションが大きくミックスされ、ヴォーカルもオンでアルバム版と印象がかなり違う。「God's Children(Mono Film Mix)」は、アルバム版はシンプルなインストだが、こちらはオーケストラにコーラス(キンクスではない)とまったくの別物。その他は既発表済のもので、「Lola」はCoca-ColaではなくCherry Colaとうたうシングルヴァージョン、「Apeman」「Rats」はモノシングルヴァージョン、「Powerman」のモノシングルヴァージョンは、以前の『Lola...』のCastleのCDに入っていたもの、「The Way Love Used To Be」のモノフィルムミックスも以前の『Percy』のCastleのCDに入っていたものだが、Castle盤は他に2ヴァージョン入っていた。あと「Apeman(Alternate Version.Mono」とはデンマーク盤シングルのみのヴァージョンのことで、Castle盤などで聴くことができる。(佐野邦彦)
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