2014年5月6日火曜日

The Bookmarcs:『眩しくて』(small bird records)


 VANDA30号にて筆者と対談したミュージシャンの近藤健太郎と作編曲家の洞澤徹によるユニット、The Bookmarcs(ブックマークス)が3曲入りシングルを配信でリリースしたので紹介したい。

昨年本サイトでレビューしたカバー・アルバム『音の栞 ~Favorite Covers~』で、その拘りの選曲によって筆者を唸らせた彼等The Bookmarcsは、作編曲家でギタリストの洞澤徹と、ポップ・グループ"Sweet Onions(スウィート・オニオンズ)" のリーダーでヴォーカリストの近藤健太郎が2011年に企画した男性ボーカル・ユニットである。
12年にリリースしたEP『Transparent』がiTunesヴォーカル部門チャートで最高9位になるなど評価も高く、翌年には映画「風切羽」に劇中挿入歌を提供し、全編の音楽を洞澤徹が手掛けている。

では本作について解説しよう。タイトル曲の「眩しくて」は前々作収録の「黄昏のメトロ」同様に、スティーヴィ・ワンダーを彷彿させる温かいシンセのフレーズが印象的なミドル・テンポのラヴソングで、打ち込みによるホーン・アレンジも実に効果的だ。近藤による切ない歌詞も相まって、爽やかな大人の純愛という世界観が描かれる。



続く「想い出にさよなら」は、前作『音の栞 ~Favorite Covers~』で取りあげた「こぬか雨」(『DEADLY DRIVE』収録・77年)の作者である伊藤銀次の最も知られる曲、「幸せにさよなら」(『Niagara Triangle Vol.1』収録・76年)の当初のタイトルとしてナイアガラ・ファンには知られるが同名異曲であり、伊藤のファンと公言している彼等二人によるオマージュであろう。
そんな洞澤のアレンジにもナイアガラ経由のフィレス・サウンドの影響が垣間見られて、ドラミングのパターン、ティンパニやカスタネットのアクセント等聴いていて楽しめる。
青春の喪失感漂う近藤による歌詞もサウンドにマッチしていて、リフレインする一人多重のコーラス・パートは完成度が高い。
WebVANDA読者にはこの曲が最もアピールすると確信するので是非聴いて欲しい。

ラストの「消えない道」は「想い出にさよなら」に世界観が近いが、この曲のアレンジには80年代のテイストが加味されていて、ストリングス・シンセのリフや主張し過ぎないギター・ソロなど洞澤のセンスが光っている。また近藤の声質に寄るところも大きいが、トーマス・ドルビーが手掛けていたころのプリファブ・スプラウトを彷彿させる。


なお本作は4月30日から下記のITunesサイトから配信リリースされているので、興味を持った音楽ファンは是非購入して聴いてほしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿