このホリーズの1968年の貴重なリアル・ライブは、You Tubeで全曲アップされており、このDVDはYou Tubeからおこしただけの代物。リージョン・フリーでAmazonなどどこでも売っているが明らかなブートで、曲名も3曲間違っている。画質的にもYou Tubeを保存しておくだけで十分だが、どうしてもディスクで持っていたいという人向け。ただし内容は素晴らしいので、絶対に保存しておくべきライブ映像である。パッケージには何も書いていないが、クロアチアのSplitでのTVショーでの観客を入れてのライブ。グラハム・ナッシュ脱退直前だが、ナッシュは明るくMCも務め、観客を盛り上げ楽しそうに歌っている。私はグラハム・ナッシュがいてこそのホリーズだと思っている。選曲は渋く、まずは66年のアルバム『Would You Believe』から「Stewball」(DVDでは「Stewbone」と誤表記)でスタートする。メンバーはお揃いのスーツに蝶ネクタイ、ナッシュはアコースティック・ギターの編成だ。イントロに番組のナレーションが被る。オープニング・ナンバーにこのカバーのワルツナンバーを持ってくるとは。次は67年のヒット曲「On A Carousel」。ナッシュがMCをやり、カモン!など声をかけ、このキャッチーなナンバーで盛りあげようとしていた。ナッシュの高音が効いたハーモニーが素晴らしい。この後があっと驚くロジャー・ミラーのカントリー・ナンバー「Dang Me」(DVDでは「Then
Me」と誤表記。ひどい)。だ。ホリーズ自体でも録音したことがないナンバーを持ってきたのだから観客はなかなか盛り上がらない。でも我々ホリーズ・ファンにとっては収穫だ。そしてトニー・ヒックスがエレキからバンジョーに持ち替えて65年の『The Hollies』収録の「Very Last Day」を披露する。この曲もカバーでアルバム収録曲。そしてナッシュもバンジョーに変えて「Do The Best You Can」(DVDでは「Do The Best Of You」と3度目の誤表記。作ったお前!ホリーズに興味ないんだろう!)。バンジョー2本とハーモニカでこの牧歌的な曲を楽しめて、中間部の3人のア・カペラもありファンにとってはたまらないが、ただこの曲は68年の最新ヒット「Listen To Me」のB面なのだ。そしてナッシュがアコギ、ヒックスがエレキの編成に戻っての「A Taste Of Honey」である。ご存じ「蜜の味」だが、ホリーズのヴァージョンは66年にアメリカのみで発売されたアルバム『Beat Group』のみ収録されていてイギリスでは未発売。どこまでも渋い選曲...。そして最後に向かってようやくヒット曲を続ける。まずは68年の最新ヒット「Jennifer Eccles」。ナッシュが口笛をやってくれと観客に呼びかける。キャッチーなヒット曲が登場し、会場も盛り上がってきたようだ。アラン・クラークのリード・ヴォーカルが生きる。ラストは67年のヒット「Carrie Anne」。一番聴こえてくるナッシュのハーモニーが素晴らしく、ホリーズからナッシュがいなくなることが大きな痛手だったと痛感してしまう。ビジュアル的にもイケメンのナッシュがいなくなるのは痛い。曲中では途中でヒックスがリード・ヴォーカルを取る部分があり、ナッシュがどうぞとジェスチャーをするが、ヒックスの声は小さいし、歌詞もうる覚えだったようだが、ヒックスは可愛いし、ギターも上手いからご愛嬌といったところ。間奏のスティール・ドラムはテープが流れ、メンバーがみなおや?どこから聴こえてくるんだとキョロキョロしている様が面白い。たった8曲のライブだが、ホリーズのコーラスの上手さ、演奏の確かさを十分味わえるので、見たことがない方は必見だ!(佐野)
0 件のコメント:
コメントを投稿