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2013年9月20日金曜日

☆Kinks:『Muswell Hillbillies(Deluxe Edition)』(UM/UICY75872/3)

ステレオ&モノのカップリングで我々キンクス・ファンを狂喜させてくれた「Deluxe Edition」シリーズだが、2年前の『Arthur...』を最後に『Lola...』とこの『Muswell Hillbillies』の予約注文だけしてずっと販売延期になっていた。そうして2年後の20139月に『Lola...』はすっ飛ばし、1971年のこの名盤の方が先にリリースされた。『Arthur...』がモノの最後だったので、ここから先は未発表トラックで「Deluxe Edition」を作らないといけないため色々と手間取っていたのだろう。
2枚組のこのCD、ディスク1はもちろんオリジナル・アルバム丸ごと。60年代のキンクスとは一変した、カントリーやブルース、ジャズを織り込み、アメリカ音楽をテーマにしながらレイ・デービスならではのイギリス流のシニカルな視点で、70年代のキンクスのスタートの幕開けとなる超傑作となった。このアルバムを気に入らない人はキンクス・ファンを名乗る資格もなく、知らない人などいないとして内容は省略する。ディスク2はレア・トラック集だが、この中で当時未発表だった「Mountain Woman」と「Kentucky Moon」は1998年版『Muswell Hillbillies』のボーナストラックに収められたもの。「Muswell Hillbilly」と「20th Century Man」の1976Remixは『The Kinks's Greatest Celluloid Heroes』に収録。「Acute Schizophrenia Paranoia Blues」「Holiday」「Skin And Bone」のBBC Version2012年の5枚組CD+DVD1枚版と、2001年のCD2枚組版の2つのBBC音源集に収められていたものだ。これも紹介は割愛。するとこのDeluxe Editionでの初登場音源はこれから紹介する6曲となる。まず完全な未発表曲「Lavender Lane」。この曲のAメロはなぜか完璧な「Waterloo Sunset」で、ホーンが入りサウンドはアルバムに合わせているがこれじゃボツだろう。「Nobody's FoolDemo)」はいかにもレイらしい厭世的な内容の歌のピアノとギターをバッキングにしたデモ。「Have A Cuppa TeaAlternate Version)」は歌いだしのドンドン鳴っているバスドラなどなく出だしが違う。「Uncle Son(Alternate Version)」は、原曲は歌いだしからハモるが、こちらはソロでレイの低い低音で歌われていく。「20th Century Man(Alternate Instrumental Take)」はあのクールな原曲のサウンドに比べて出だしのアレンジがかなり違い、サビが冒頭直後に組まれていたような印象を受ける。「Queenie(Instrumental Backing Track)」はリフの入ったロック色が強いバッキングトラックで、歌が入ったらカッコいい曲に仕上がっていただろう。次回はすっ飛ばされた名盤『Lola...』のDeluxe Editionを切望する。(佐野邦彦)
Muswell Hillbillies: Deluxe Edition

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