2012年12月14日金曜日

☆Who:『Live In Texas 75』(WHD/EBP10104)DVD




世界最強のライブ・バンドは言われれば私はためらいなくフーをあげる。もちろんキース・ムーン、ジョン・エントウィッスルがいた時のフーだが。このDVD75118日のテキサス州ヒューストンのライブを丸ごと収録したものだ。フーの全盛時のライブを丸ごと収録したDVDは少なく70年のワイト島のライブくらいで、その後は77年のキルバーン、後者はキースがかなりの肥満になっていてイマイチなので、この75年のライブは歌も演奏力も最も充実した時期のライブと言えるだろう。

ただしカメラは2カメのみ。左上からの固定と右のカメラだが、ピートのアップの時など人がどんどん横切るのが見える。しかしだ。こんな芸のないカメラなのに見終わった時の興奮はMaxで、どれだけこの時代のフーが凄かったかを逆に思い知らされた。ロジャーのヴォーカルはパワフルそのもので、高音域に張りがあって、日本公演の時のヴォーカルとはけた違い。ピートのコードを効果的に生かす個人的に大好きなギターテクニックと、そのギタリストとして史上最強のボディ・アクションは風車弾きのスピードといいこれもけた違いだ。そして何といってもキース・ムーンのドラム。どうしてこんなカッコよく縦横無尽に叩けるのか、もうキースだけの独壇場だ。同じくジョン・エントウィッスルのもう一本のギターかと思わせるベースの凄さ、キースと並んで世界最強のドラマーとベーシストだった。1曲目が「Substitute」というオープニングも秀逸で、その次が「I Can't Explain」で、その後は当時の新作の『The Who By Numbers』の「Squeeze Box」となり、盛り上がる「Baba O'Riley」と展開がいい。『By Number』からは他に2曲入ったがいずれも出来がいい。レコードより魅力的だ。前作『Quadrophenia』からは1曲だけで、『Tommy』から9曲を選んで「抜粋版」を作ってくれたのも嬉しい。ただこの手の抜粋版では一番好きな「Go To The Mirror」が入らないのは残念だ。そして「Summertime Blues」。最強である。「My Generation」でジョンのリードギターベースを堪能したあと、「Join Together」はブルース調にアレンジされている。「Won't Get Fooled Again」はロジャーの叫び声がイマイチでピートのジャンプがないからこれはちょっと。アンコールでは楽器を壊さないで和気藹々と4人が去っていったがこれも新鮮。いつもぶっ壊すだけじゃ、芸がないといったところだろう。(佐野)


Live in Texas 75 [DVD] [Import]

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