パリス・シスターズの中心、プリシラ・パリスは美人である。声もちょっとハスキーで頼りなげで、男心をくすぐる声だ。さらに彼女は作詞作曲もできる。このアルバムは67年にYorkレコードからリリースされた全曲彼女のオリジナルの『Priscilla Sings Herself』と69年にHappy Tigerからリリースされた『Priscilla Loves Billy』をカップリングし、なによりもHappy Tiger時代の未発表曲4曲が入るのでこれは購入しないとけない。
『Priscilla Loves Billy』は既にCD化されており、ジャズのスタンダードナンバーをゴージャスな演奏とあの魅惑の声で歌ってくれる人気盤、既にWeb VANDAでも紹介済みなのでここで記載はしない。『Priscilla Sings Herself』は前述のとおり全曲オリジナル、冒頭はウォール・オブ・サウンドを意識した「He Noticed Me」はなかなかメロディアスな快作だ。「Help Me」も快調なビートが心地よい。「I'm Home」はミディアムの美しいバラード、重量感のある「He Own The World」は後半の転調を巧みに生かした盛り上がりが見事。「I Can't Complain」はポップなフックがある快作だ。飛び切りキャッチーな曲は書けないが楽しめる1枚だ。Happy Tiger時代の未発表の4曲はオリジナルやカバーでジャズではない。ジミー・ウェッブの名作「By The Time I Get To Phoenix」はアレンジが原曲の雰囲気で、ただし歌詞が女の立場で書き直されていて面白い。「Some Little Lovin' Me」「The Dark Side Of Loving You」「I Can't Understand」はプラシラのオリジナルで、可もなく不可もない出来。他の作曲家の「Twelve Twenty Nine」はなかなかポップだが、この路線でセールスは厳しいだろう。ボツにしてジャズ路線にしたのは正解だが、当時は売れなかった。(佐野)
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