まずはCDでリリースされたラストのボックスから紹介しよう。レアリティーズを作る意図はなく、シングル・ヴァージョンがあっても馴染みの深いアルバム・ヴァージョンなどを使っている。目玉はやはりマーク・リネットらのステレオ化計画が『Wild
Honey』まで進んでいたことを明らかにする「Darlin'」と「Wild
Honey」のステレオがまず目玉。「Darlin'」はステレオになってピアノの影に隠れていたホーン・セクションがクリアに聴こえ実に素晴らしい出来。「Wild
Honey」はテルミンとキーボードが左右に分離したが「Darlin'」ほどの驚きはない。ただ中間の1分12秒から7秒ほどのほんの小さなバックコーラスがステレオでは消えていた。一番の問題は「Isn't It
Time」はシングル・ヴァージョンで、このヴァージョンはイントロに新しいコーラスが付けられ1コーラス目からブライアンの歌にコーラスが付けられていた。ここまではメリットといってもいいが、この曲のハイライトともいうべき2分15秒からのジェフリー・フォスケットによる美しいサビが、マイクの歌に変更されジェフリーのようなファルセットが出ないから音程を下げ、メロディも変えられていたのが大デメリット。シングル・ヴァージョンは4秒長いがアルバム・ヴァージョンの方がはるかに出来がいい。
この「Isn't It Time」のシングルはiTunesのダウンロード・オンリーで発売されたが、このシングルはEPになっていて2011年9月、シカゴでの50周年記念ライブの「California
Girls」、「Do It
Again」、「Sail On
Sailor」はこれだけでしか聴けないので威一括でダウンロードが必要。ついでに2009年5月と古いが、ブライアンの『「That
Lucky Old Sun AOL Sessions』(Morning Beat/Forever She's Be My Surfer Girl/Can't Wait Too Long~Midnight's Another
Day/Going Home/Southern CaliforniaもiTunesでのダウンロードだけで入手できるAOLでのスタジオライブだった。CDより音が少なくシンプルながら味わい深くこれも必要なのでお忘れなく。(佐野)