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2012年7月27日金曜日

☆Beach Boys Mono & Stereo シリーズ遂にリリース!!

ビーチ・ボーイズのアルバムで『Today!』からステレオが作られず、またその前のアルバムはCD化されているのは『Surfin' USA』以降ステレオだけで、様々な違いがあるモノラルは何ひとつCD化されていないことは、筆者とEMIミュージック・ジャパンの阿佐美さんとの間でいつも話題になっていた。 ステレオの方はマーク・リネットらの手によってパラパラとトゥルー・ステレオ化され、少しずつCDになっている。ステレオとモノラルの2イン1が出せるといいね、出したいねというのは阿佐美さんとの挨拶代わりだった。実際に今から20年前に、『All Summer Long』から『Summer Days』までを日本独自でアナログLPで復刻した際、『All Summer Long』をオリジナル・アルバム以降初めてモノラルで復刻したことがある。夢はそのままずっと続いていて、『SMiLE』の後に阿佐美さんがステレオ&モノラルのオファーをかけたのがきっかけとなった。するとキャピトルはこの仕様で本気で出すことに同意、遂に日本先行発売でこの夢の企画が実現したのである。この中でのハイライトは『Today!』。コアなビーチ・ボーイズ・ファンの中では、『Today!』は別格の存在で、このアルバムをステレオで聴くのは、『SMiLE』と並ぶほどのファンにとっての見果てぬ夢だった。『Today!』『Summer Days』など、ステレオが存在しない時代の曲は、『The Warmth Of The Sun』『Summer Love Songs』『US Single Collections』『Hawthorne,CA』『Endless Harmony』などのコンピレーションでトゥルー・ステレオ化された曲が2~3曲収録され、その音の素晴らしさに感動するとともに、『SMiLE』と同じくカードを揃えていくような感覚で、これで何曲ステレオが揃った。あの何曲...と指折り数えるのを楽しみにしていたファンも多いはず。そしてこの突然のように見える2イン1のリリースである。さぞや驚かれたことだろう。『Today!』をはじめ『Summer Days』『Beach Boys' Party』『Smiley Smile』のステレオが初登場、そして逆に『All Summer Long』『Surfer Girl』『Little Deuce Coupe』『Shut Down Volume 2』『Surfin' USA』のモノラルは初のCD化である。既にモノ&ステレオ仕様でCD化されていた『Pet Sounds』と合わせ計10枚が、目出度くモノ&ステレオでリリースされたのである。
では先に世界初登場のステレオ・ミックスの方から紹介しよう。まず『Today!』の初ステレオは「Do You Wanna Dance」「Don't Hurt My Little Sister」「Help Me Ronda」「In The Back Of My Mind」。ブライアンがモノラルでミックスに埋めこんでしまった楽器やハーモニーが聴こえるようになり思わず息を飲む。これだけ丁寧に作ったサウンドを惜しげもなくモノラルに埋めこんでしまってしまったから、モノラルでこれだけ長い間、感動を与えられたのだろう。しかしステレオ好きの筆者としては、これらの曲をステレオで聴けるのは極上の喜び。そして「Do You Wanna Dance」のステレオは19秒も長くなり、最後の目いっぱいのファルセットのリフレインを、もう一回味わえた。「In The Back Of My Mind」のステレオも5秒長く、エンディングのストリングスがフェイドアウトしないで完奏する。また既にステレオ化がバラバラに進んでいた「Please Let Me Wonder」から「She Knows Me Too Well」までの黄金のバラード4曲も、こうやってステレオで順に聴くのは最高である。そして『Summer Days』だ。ここでは「The Girl From New York City」「Amusement Parks USA」「Summer Means New Love」「I'm Bugged At My Ol' Man」は初ステレオで、「Help Me Rhonda」(=シングル・ヴァージョン)と「Girl Don't Tell Me」はマーク・リネットの監修のもとでDerry FitzgeraldによってStereo Extraction Mixが作られた。まずはなんといっても「Amusement Parks USA」が素晴らしい。封印されていたミックスが一気に飛び出し、エコーで多少モコモコしているが、新曲を聴いたような新鮮さがある。Stereo Extraction Mixは、今回では他にやはりモノラルしか存在していない「I Get Around」と「Good Vibrations」がこの手法。トゥルー・ステレオほどの解像度はないが、例えば「Help Me Rhonda」では、シングル・ヴァージョンのキモである"Help Me Rhonda"のリフレインからの歯切れのいいギターの飛び出しが鮮明に聴こえてより魅力的になった。「Girl Don't Tell Me」もギターのアコースティック感が増している気がする。『Beach Boys' Party』は全てが初ステレオ化。こういうスタジオ・ライブなので顕著な違いは現れにくいが、「Mountain Of Love」のアコースティック・ギターが鮮明に聴こえてくるところなど魅力だ。『Smiley Smile』は「Heroes And Villains」と「Vegetables」以外が初ステレオ。このアルバムは何度聴いても好きになれないが、ステレオの「With Me Tonight」はあの乾いたサウンドではなく、しっとりとした肌触りで魅力が増していた。「Good Vibrations」のStereo Extraction Mixもきれいに振り分けられ健闘している。

さて続いて初CD化のモノラル盤を順に、明らかな違いがあるもののみ、紹介しよう。ステレオに比べて短いものはメリットがないのでパスさせていただく。『Surfin' USA』では「Lana」が6秒長い。ステレオは"Lana"とキーを高くして歌うパートでファイドアウトしてしまうが、モノはもう一度リフレインになり、そこは別に崩したメロディで歌う。「Finders Keepers」は4秒長いが、最後のマイクがゴチャゴチャ言うところが長い程度。『Surfer Girl』は、まず「Catch A Wave」が11秒長く、最後のリフレインがステレオは2回だがモノラルは4回である。「The Surfer Moon」は4秒長くリフレインが2回から3回に。「South Bay Surfer」は5秒長く、ステレオではマイクの低音ですぐにフェイドアウトしてしまうが歌が続く。「Hawaii」は3秒長く、ステレオではウーウーのファルセットが高くなってすぐに終わるが、モノラルはホノルル、ワイキキ...とリフレインが続く。「Your Summer Dream」は6秒長く、ステレオでは"summer dream"のキーを高く歌うとすぐにフェイドアウトするが、モノラルはもう一度リフレインを聴くことができる。『Surfer Girl』は総じてモノラルが長くお得。「Little Duece Coupe」も9秒長いシングル・ヴァージョンである。ところがこの曲を冠にいただいたアルバム『Little Duece Coupe』のモノラルはステレオと同じ長さでしかなく、最後のブライアンのファルセットのアドリブ・ヴォーカルを聴くことができない。加えて「Spirit Of America」と「Our Car Club」は最後のリフレインが1回ずつ少ないなど、お得な部分がない。『Shut Down Volume 2』の「Louie Louie」が5秒長いが、ステレオの"me gotta go now""now"がモノラルでははっきり聴こえず、その代わりリフレインが1回長い。このアルバムのステレオはフェイドアウト部分で演奏を絞りアカペラに近い編集をしているが、モノラルでは演奏を絞っていない。なお「Fun Fun Fun」のモノラルはもちろん14秒も長いシングル・ヴァージョンである。
All Summer Long』の「Don't Back Down」は8秒長く、最後の"ウーウーdon't back own"のコーラス部分が続いていく。「Wendy」は3秒長く、エンディングの"hurt so bad"が3回目まで聴こえる。「Girls On The Beach」も2秒長く最後のリフレインが1回多い。
そして「Do You Remember」のモノラルは最後のフェイドアウトしていく部分にブライアンのウーウーというファルセットが多く入っている。
 『Sunflower』『Surf's Up』も含め、デジパックで、折になっているので本来のバックジャケットは内側の表2部分になり、表から見える表4のバックジャケットは別の写真を使っている。表3の部分の写真のセンスもよく、アート・ディレクションも素晴らしい。
 なおオファーのあった『Surfin' Safari』『Wild Honey』のステレオは制作を続けているそうで、モノラルが未CD化の「Beach Boys Concert」「Christmas Album」と合わせて後にリリースされる可能性があるようなので楽しみに待とう。またオリジナル・アルバムから漏れる「The Little Girl I Once Knew」や「Be True To Your School」のシングル・ヴァージョンのステレオも忘れずに。(佐野)


Surfin' USA』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71371
Surfer Girl』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71372
LittleDeuce Coupe』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71373
Shut Down Volume 2』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71374
All Summer Long』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71375
The Beach Boys Today!』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71376
Summer Days(And Summer Nights)』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71377
The Beach Boys' Party』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71378
Pet Sounds』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71379
Smiley Smile』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71380
 
以下はステレオ・リマスター盤
Sunflower』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71381
Surf's Up』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP71382
Surfer Girl (Mono & Stereo Remastered)All Summer Long (Mono & Stereo Remaster)トゥデイSummer Days (and Summer Nights!!) (Stereo & Mono)
























 
 


2012年7月7日土曜日

☆ソニーミュージックより、ビーチ・ボーイズ関連の6枚のCDがリリース

ビーチ・ボーイズ結成50周年、ブライアン・ウィルソンがビーチ・ボーイズに戻りフル・メンバーでの27年ぶりの新作アルバム、日本を含むワールド・ツアーと、大きな「サーフズ・アップ」が訪れた。
EMIミュージックはまずサーフィン&ホットロッド・シーンのアルバム20枚をリリースしたが、ソニーミュージックはビーチ・ボーイズのメンバーのソロ・アルバムを中心にCD6枚リリースしている。『SMiLE』での挫折以降、ブライアンが急速にグループからリタイアしてしまったため、他のメンバーは自分たちで曲を書く必要性が生まれ、そのおかげで隠れていた才能が表に出てくることになる。メンバーはアルバム曲に留まらず、ソロ活動を行い、みなソロ・アルバムまで作るのだが、それがデニス・ウィルソンの『Pacific Ocean Blue』(1977年。未発表で終わった『Bamboo』とセット)(20084-5)とカール・ウィルソンのセカンド・ソロ『Youngblood』(1983年)(20395)である。重厚で壮大な世界観とサウンドを持つデニス、ファンキーなロックンロールを歌うカールのアルバムは、ビーチ・ボーイズの中では表現しきれないもので、この2人の個性が十分に伝わってくる。もうひとりのメンバー、ブルース・ジョンストンは、当初、スタジオでの曲作りに専念するブライアンの代わりにツアー用に呼ばれた「遅れた」メンバーだが、最も多くのソロ作品を作っていた。ビーチ・ボーイズ加入前にサーフィン&ホットロッド・シーンの中心人物のひとりだったブルースは、ソロ名義でも2枚アルバムを出していたが、その中でのベストが1963年のセカンド・ソロ『Surfin' Round The World(20391)である。ブルースはテリー・メルチャーと作ったブルース&テリーなど素晴らしいレコードを制作、ブルース・ジョンストンに関しては私は専門分野なので幾らでも書けるため、ここでは「その他多くの」と言っておこう、シンガー、ソングライター、プロデューサーとして八面六臂の大活躍をしていたため、人気絶頂のビーチ・ボーイズからお声がかかったのである。ビーチ・ボーイズに加入後、1970年代初頭には、「Disney Girl」などの名曲を書き、大きな期待を集めたものの、マネージャーと対立してグループを数年脱退してしまう。そこで再び組んだのがバーズのプロデューサーとして大成功を収めていたテリー・メルチャーと共にイクイノックス・レーベルを作り、カリフォルニア・ミュージックなどの素晴らしいレコードを作る。その時代にテリーが1976年に発表したセカンド・ソロが『Royal Flush(20393)だ。ブルースはコーラスとプロデュースで参加していた。その中、ブルースはバニー・マニロウに書いた「I Write The Song」がグラミー賞最優秀楽曲賞を獲得、その栄誉を受けてこの曲やビーチ・ボーイズやブルース&テリーの曲などを歌ったソロ・アルバム『Going Public(20392)1977年にリリースする。ブルースらしい甘い歌声、甘いメロディ全開のアルバムだ。ここまでは5枚は過去にリリースされたアルバムなので既にお持ちの方も多いはず。しかし『Good Vibration-The Beach Boys Songbook(20390)は初登場のカバー集だ。トッド・ラングレンの完コピカバーの「Good Vibrations」からスタート、ママ・キャスの「Disney Girls」などブルース&テリーがらみが7曲、アンディ・ウィリアムスの「God Only Knows」、トーケンズの新旧カバー3曲、ブライアンもコーラスで参加したジョニー・リヴァースの「Help Me Rhonda」などが収められた。これらの選曲は既CD化の曲が多く、内容的に驚くようなものはないが、レア度でペトラ・クラークがフランス語で歌う「No-Go SnowboatJ'ai Pas Le Temps)」が目玉だろう。この1曲でも価値がある。それにしてもブルースのソロはファーストがライブものだし、レーベルも違うのでセカンドなのはわかるが、カールとテリー・メルチャーのアルバムもセカンドで、ファーストが出ないのは不思議だ。(佐野)


☆Hollies:『Radio Fun』(EMI/4407702)

遂にホリーズのBBC音源がリリースされた。1964928日の「Here I Go Again」「Set Me Free」から197133日の「Too Young To Be Married」まで32曲が収録されている。
ホリーズは『Look Through Any Window』のDVDで明らかなように、ライブでの実力は相当なものだ。演奏はカッチリと適格だし、ハーモニーもほぼ完璧。だからよりビートの効いたライブは聴きどころ十分だ。中には公式音源にはない「Shake」があってビックリだ。1966年に収録されているが、さすがにスモール・フェイセスまでの迫力はないが、かなりビートが効いていて、ホリーズがロック・バンドだとはっきりと感じさせてくれるだろう。「Bus Stop」や「I Can't Let Go」「Look Through Any Window」などの大ヒット曲はさすがにいい出来だが、個人的に好きな1967年~1968年の音源、アルバム『Evolution』『Butterfly』から「The Games We Play」「Away Away Away」「Wishyouawish」「Charlie And Fried」「Step Inside」そして「Jennifer Eccles」の収録が嬉しいところ。ポップでビートがあって、まさにソフト・ロックだ。特に「The Games We Play」が最高だ。(佐野)

2012年7月6日金曜日

☆EMIミュージックよりサーフィン&ホットロッドの名盤第2期10枚リリース

1999円と超お得なこのシリーズ、第2期10枚がまとめてリリースされた。
まずは第1期に『Surf Route 101』1枚だけがリリースされていたゲイリー・アッシャー率いるスーパーストックスは1枚目の『Thunder Road(71326)2枚目の『School Is A Drag(71327)がリリースされ、これで全てのアルバムが出揃ったことになる。ゲイリー・アッシャーは、数多くの覆面グループを作り、大量にサーフィン&ホットロッドのレコードを製作したこのシーンの立役者。他ではジャケットがとてもキュートなナイツの『Hot Rod High』(71325)、キックスタンズの『Black Boots And Bikes(71328)がリリースされ、軽快なホットロッド・ナンバーが楽しめる。サウンドは薄く、コーラスも薄く、メロディもどこかで聴いたことがある曲が多いゲイリー・アッシャーのプロダクション。ビーチ・ボーイズとは違い、とても薄いアメリカン・コーヒーを飲んでいるようだが、短期間にこれだけリリースすることが凄い。レア盤ではグレン・キャンベルがギタリストとしてクレジットされているインスト・アルバム『Sunset Surf(71330)と、レオン・ラッセルも参加した覆面バンド、エリミネイターズの『Liverpool! Dragsters!! Cycles!!! & Surfing!!!!』(71334)が世界初CD化だ。ただグレン・キャンベル、レオン・ラッセルといっても、この当時はみなスタジオ・ミュージシャンだったので、ハル・ブレインやトミー・テデスコ、ジョー・オズボーンなどのレッキングクルーと一緒が多く、今となっては豪華メンバーで作られているということになる。前者はサーフィン・ミュージックとは言い難く、後者もマージービートのカバーという意欲は伺えるが出来はちょっと...なのだが、コレクターは外せない。他ではベンチャーズのプロデューサーとして知られるジョー・サラセーノがプロデュースしたマーケッツの『The Surfing Scene(71333)と、T.ボーンズの最初期のアルバムである『Boss Drag(71329)があるが、どちらもインスト・アルバムながら、リード・メロディをサックスが吹くのでダサい感じが否めない。その点、名サーフィン・ギタリスト、リッチー・パドラーことリッチー・アレン&ザ・パシフィック・サーファーズの『The Rising Surf(71331)、『Surfer's Slide(71332)は、リッチーのリード・ギターが炸裂するエレキ・インストで内容はこちらが遥かに上。曲も大半がリッチーのオリジナルで、この当時からその才人ぶりが伺える。(佐野
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