2012年2月28日火曜日

★鹿児島・長崎・熊本ツアー2012

鹿児島・長崎・熊本ツアー2012

佐野邦彦












長男の就職が決まり、約束通り、「就職おめでとう旅行」を実現することにした。幕末ファンの長男なので、亀山社中のある長崎、熊本城攻防戦のあった熊本、そして維新の立役者が揃った鹿児島、この3カ所を3泊4日で回ることにした。例によって貯めたマイルで行くので、行きはいい時間帯が取れず移動のみとなる。実質2泊3日の強行軍だ。以前、長崎に行ったが、その頃は私自身も「週刊江戸」を読んでいなかったので、幕末に興味がなく、その際には亀山社中に行かなかった。今はすっかり江戸時代、幕末のファンなので、再び長崎に行くのは楽しみだ。そして初めていく鹿児島には幕末偉人の資料がたっぷりあるそうで楽しみ。今も噴煙を上げる桜島にも渡ってみたい。3泊する長崎・熊本・鹿児島のホテルはじゃらんで、レンタカーは最安値だったマツダレンタカーを利用し、長崎出発、鹿児島乗り捨てで申し込む。準備は万端だ。













☆2月24日(金)


予約できたのは16時45分羽田発、18時50分長崎着。長崎空港から長崎市内は高速バスが最もリーズナブルで19時45分に長崎バスターミナルホテル前で降り、急いで中華街の中にある蘇州林へ向かう。ここの皿うどんは絶品ですっかりファンになっていたため、必ず行きたいと思っていた店だった。閉店時間に間に合い、念願の皿うどんを再び食べることができた。ちなみに三軒茶屋で長崎ちゃんぽん・皿うどんの名店として知られる「来来来(ライライライ)」の皿うどん(もちろん細めん)は、長崎本場の味なので、東京で味わうならここである。長崎市内のホテルへ向かい、初日はあっという間に終わった。

 
☆2月25日(土)

せっかく長崎まで来たのだからと、午前は「軍艦島上陸ツアー」を申し込んでおいた。長男は特に軍艦島には興味がなかったが、午前中はここへ行こうと誘っておいた。
大波止には長崎海軍伝習所の復元帆船「観光丸」が停泊していて、坂本竜馬や勝海舟が乗ったこの船に長男は興味津々、ぐるぐる回って数多くの写真を撮っていた。実際の就航は4月からだという。軍艦島へ行くやまさ海運の船は進行方向右側をキープだ。特に帰りは右側にいないと軍艦島を海上から見ることができない。
 
行きは寒風吹きすさぶデッキにいたが、海上自衛隊のイージス艦などが停泊していてこれにも長男は興味津々。出港から30分ほどで軍艦島が見えてくる。








私と妻は2回目になるが、やはりその威容は圧巻である。行きは接岸デッキのある方なので、見えるのは炭鉱側の軍艦島だ。

 
乗客を2班に分け、3つの観光ポイントで、もと軍艦島(本当は端島という)の住人の人の解説を聞きながら廃墟を見るのは同じである。 



最終の3つ目のポイントは、一番船から離れていた場所だったので、説明が終わるや否や、全力で船へ舞い戻った。おそらく5番以内に船に戻っただろう。念願の船の右側の座席を確保、船はゆったりと軍艦島を一周するように回り込んで長崎港へ戻っていく。











メインの住宅側の軍艦島こちらは残念ながら上陸できない昨年はこちら側の席を確保できなかったので撮りまくる。




軍艦島は回り込む直後に一番「軍艦」らしく見えるポイントがあり、今回はうまく撮影できた。回り込んで見えるのは、実は軍艦島のハイライトである住居地区側だ。最盛期にはわずか0.063k㎡の小島に5151人が住んでいたのだから高層のコンクリートアパートがひしめき合うように立ち並びその光景は壮観である。私は夢中になってシャッターを切っていた。




昼食後、午後はさっそく亀山社中記念館へ向かう。長崎は石段続きで歩いていくのが大変。ここの人は健脚になるなあ...。中には坂本竜馬の着物や刀、ピストル、ブーツなどがあるがいずれもレプリカでちょっとがっかり。

そのあと、その少し先にある亀山社中資料展示場へ行く。
ここはボランティアでやっているようで入場料などなく、カンパの箱が置いてあるだけ。いわゆる「モノ」はないが、幕末の偉人の写真が膨大にあり、一通りみた後はカンパを入れて後にする。





この上には坂本竜馬がお参りしたという若宮勤王神社があり、
そこで坂本竜馬の像の前で写真を撮っていると突然の大雨、するとすぐ下にある先ほどの亀山社中資料展示場の方が我々を見ていてくれ、「傘を差し上げますから寄ってください」
と声がかかる。

さっそく展示場に戻ると3人分の傘を渡してくれ、これはお客様がずっと前に忘れていった傘なのでそのまま持っていってください嬉しいお申し出。何も買わないと悪い気がして、竜馬の扇子を買って、お礼をいって傘を差しながら道を戻っていった。なんとも親切な方達だ。我が家はすっかり亀山社中資料展示場のファンになってしまった。
 

そのあとは前回の長崎で見られなかった浦上天主堂へ。ここは原爆で破壊されつくしたが、なんと瓦礫の中にマリア様の顔だけが焼け焦げて残っていて、その姿は「被爆マリア」として展示されている。ちょうどミサの最中で祭壇近くにはいけなかったが、被爆マリアの像は瞬時に私の心を掴んだ。



焼け焦げた顔、目は焼け落ち黒い穴となっている。その悲しみを湛えた表情は、原爆の愚かさを一目で伝えてくれる。この被爆マリア像を世界中に回して、全世界の人に、言葉を使わずに原水爆とはどういうものか伝えていってほしいものだ。







その後は長崎駅前のマツダレンタカーへ行き、一気に熊本へ向かう。宿泊は熊本のホテルだ。ホテルのチェックイン前に熊本で大人気という「天外天」へ入る。ここの辛口ラーメンは、極めて美味!熊本というと白い豚骨スープが想像されるが、スープは豚骨と鶏がらのミックスで豚骨臭さはなく、脂っぽさの中にさっぱり感がある。スープにはニンニクパウダーがたっぷりかかっているが、ニンニクくささがなくまさに絶品。最近はつけ麺ばかり食べ歩いていたが、ラーメンでは今まで食べた全てのラーメンでここのが一番美味しいと自信を持ってお勧めできる。熊本へ訪れたら是非。
 
 ☆2月26日(日)




朝はすぐに熊本城へ向かう。我々夫婦は2回目だが、長男にとっては熊本城の内の展示はたまらないものになるだろう。熊本籠城戦で焼け残った宇土櫓を見たあとは熊本城へ。
 
官軍だった熊本鎮台の、「官軍に降参するもの殺さず」というビラや西郷軍側が熊本鎮台側へ送った投降を呼びかける矢文とか、思わず見入ってしまう。武器マニアの長男はエンフィールド銃とか、スナイドル銃とかを熱心に見て、これは前装式、これは後装式とか説明してくれる。その後、熊本博物館にも足を運び、こちらにはさらに当時の銃、大砲、刀などがあって、長男は興味が尽きないようだ。
 
しかし今日はどうしても鹿児島の「黎明館」へ行かないといけない。というのも翌月曜日は休館日だからだ。
 熊本から鹿児島までの高速道路は自分が運転を買ってでて、まさしく高速で移動、入館時間最終が17時30分だったが、17時前に入館することができた。長男は私の運転を見ていてヒヤヒヤしたそうだ。
 ここは本当に幕末、そして明治維新の中核になった薩摩の資料が満載で、見るものが多いが時間が無い。幕末に使用した銃の数々や、撮影に使ったと思われる篤姫の籠や、篤姫の着ていた服などが目をひいた。

しかし最も個人的な収穫は、日本の秘境中の秘境、トカラ列島で行われている祭り、悪石島のボゼ、硫黄島のメンドンそのものが展示されていたからだ。妻が教えてくれたのだが、その異様な姿に、八重山のアカマタ・クロマタや、宮古島のパーントゥにつながる南洋由来というべき見ている人間を畏怖させる姿を目の前で見られ興奮してしまった。




18時の閉館時間に黎明館を出ると、目の前に見える桜島からは噴煙が立ち上っている。遂に鹿児島へ来たかと、何となく嬉しくなった。夕食は鹿児島の黒豚のトンカツを食べたがさすが美味だった。
 
☆2月27日(月)
 朝はフェリーで桜島へ向かう。
 デッキで見ていると突然大きな噴煙が吹き上がる。桜島は1年中噴火しているというが、目の前で見てまずびっくりさせられた。

 
その後は桜島を回るが、何度もモクモクと高く噴煙を吹き上げ、見ていて飽きない。島の人に聞くと、大噴火の時は雷も鳴り、降灰も凄く夜みたいになるとか。今日のような景色は、まったくの平穏なもののようだ。降灰で鳥居の上の方まで埋まってしまったという埋没鳥居を見たが、それだけ見ると特に面白いものではない。それよりも島の中に点在する大噴火時のコンクリート製の避難小屋が、この島が噴火と常に向き合っている様を感じさせてくれた。






昼食は鹿児島で人気のラーメン店「ラーメン小金太」でラーメンを食べる。突き出しで大根の漬物が出てきてラーメンに合う。ネギは取り放題で好きにラーメンに入れて食べる。豚骨ベースだがあっさりで食べやすい。ここも美味しいラーメン店だった。
 
次に幕末の資料を集めた「維新館」に向かう。いかに西郷隆盛が西南戦争で賊軍になったといえども、ここ鹿児島では西郷の人気は絶大で、西郷由来のものはいくつも展示されている。明治政府時代の西郷の軍服とか、またその軍服のレプリカを着て記念撮影できるコーナーまである。




興味深かったのは、最初に作られた「君が代」で、イギリス人が明治3年に作曲した「君が代」を聴くことができたが、西洋風のメロディで少しも趣きがなかった。それで後の明治13に日本人によって作り直され今の「君が代」になったそうだが、オリンピックで聴いても日本の「君が代」は独自のメロディと雰囲気があり、日本らしさが出ていてとてもいい。このイギリス人の「君が代」
がそのまま使われていたらどうなっていただろうか。軍服では東郷平八郎、山本権兵衛などの服もあり興味は尽きない。その後、薩摩近代化の立役者、島津斉彬を祭る照国神社へ行くが、大きな島津の家紋がお守りにも入っていて思わず記念に買ってしまう。


そして最後に西郷隆盛や西南戦争で敗れた死者を祀った南州神社へ行く。西郷はじめいくつかの墓には多くの花が添えられていたが、これらの死者はみな靖国神社には祀られていない。明治天皇もその死を嘆いたという明治維新の立役者の西郷隆盛が、理由は分かるにせよ未だ祭らない靖国神社の姿勢はどこかおかしい気がする。
 南洲神社前の公園から噴煙を上げる桜島を眺め空港へ向かう。




空港のレストランには我々の好物の鶏飯のバイキングがあり大喜び。そして20時50分鹿児島発の飛行機で東京へ戻った。
幕末を堪能した今回の旅行、長男にどこが一番よかった?と聞いたら、「軍艦島」との返事。おや?嬉しい誤算だったな。







 








 


 


2012年2月10日金曜日

☆『The Dig Special Edition ポール・マッカートニー』(Shinko Music Mook)

これは嬉しいポール・マッカートニーの「全ライブ活動徹底解剖」だ。1972年から現在までのツアーライブから数多いイベントライブの出演日、曲目が網羅され、そして主なテレビ出演でのライブの曲目も載っている。そのライブが収録されたCDDVDが網羅され目が釘付けになった。およそつまらない音楽評論家の解説文がなく、紹介文に徹底しているのも素晴らしい。資料編としても超一級で、ポールのファンなら絶対に買うべきマスト・バイ・アイテムである。
ポールはビートルズ解散後も休まずライブ活動を続けてきた唯一のメンバーであり、最もライブを愛したメンバーであろう。ただ、世の中の「ロック命」という音楽評論家連中にはエキセントリックなところがなく、メロディアスな曲が多いポールはどうにもお気に召さないらしく、音楽誌でずっと不当な扱いを受けてきた。しかしビートルズのヒット曲の7割を書いたのはポールであり、解散後のヒットは他の3人に比べて圧倒的に多い。たしかにポールのコメントには共感できることが少なく、ジョンのストレートさやジョージの深さに比べて面白みがない。しかし音楽に関しては切り離すべき。フィル・スペクターが典型的な例だ。音楽は画期的で文句なしに素晴らしいが人間的にはクズ。実際は人殺しで一生刑務所の中。明らかにポールの実績・存在の方が格段に上なのに、エキセントリックさでスペクターの方に耳目が集まってしまう。自殺したジョー・ミークとか、日本人は破綻した人間がとかく好きである。天才とは破綻した人間でなければいけないと思い込んでいる。そういうことで音楽から離れた人間としては凡人のポールの活動の詳細を簡単に知ることができる本は極めて少ない。1997年に出版されたレコード・コレクターズ誌の『ビートルズ・ソロ・ワークス』が一番詳しい本だった。しかしこれももう15年前の本だ。以降の活動、特にCD、DVD,とりわけCDに関してはポールは様々なライブや企画ものに参加するのでチェックが追い付かない。日本の音楽誌は「タイアップ特集」と「ネタがないので無理やり作った特集」ばかりでつまらないので、ここ10年くらいほとんど買っていない。CDの購入先は95%がインターネットで、そのほとんどが日本と米英独のamazon。お店に足を運ぶのは仕事の関係で2か月に一遍は届け出を渋谷のハローワークに出しに行くので、その帰りに寄る渋谷のタワーレコードと地元の三軒茶屋のCD店くらいだ。ちなみにこのタワーへ寄るのは楽しみで、それもあってハローワークに行くのは職場の定時の数十分前で直帰にしている。店へ行くのは時間外なので気兼ねがない。ちょっと前も、店でニール・ヤングがやっている障害児のブリッジ・スクールのためのチャリティ・ライブ『The Bridge School Cncerts 25th Anniversary Edition』での「Get Back」のライブや、バディ・ホリーのコンピレーション『Rave On』でのポールの「It's So Easy」のカバーを見つけて買ったばかり。そうしたらこの本を見ると、古くは2007年リリースのキャバーン・クラブの記念盤『The Cavern』の「All Shook Up」のライブという買い逃しを見つけ、さらに2011年でもビリー・ジョエルの『Live At Shea Stadium』での「Let It Be」「I Saw Her Standing There」と、『The Best Of Rock And Roll Hall Of Fame+Museum Live』での「Let It Be」のライブを見つけ、慌てて購入した。さらに驚いたのは2007年のポールのシークレットライブの『Amoeba's Secret」で、4曲入りの同タイトルのCDは有名だが、このCDに入っていない「Drive My Car」「Dance Tonight」「Blackbird」「Here Today」「Back In The USSR」「Get Back」「Hey Jude」「Lady Madonna」を加えて12曲仕様にしたCDがイギリスの新聞Mail On Sundayのオマケに付けられことを知った時は愕然とした。これはきっと有名な事なのだろうが、普通のCD販売でないので私はまったく知らずお恥ずかしい限り。このCDeBayが圧倒的に安かったので数百円で購入できた。しかしまだBest Buyで買うと某DVDにオマケのライブCDが付いていて、これは限定なのでまったく入手できないまま。残念だ。そのDVDのタイトルと内容はこの本を読んで確認してみよう。(佐野)
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