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2011年12月13日火曜日

☆Doris Day:『My Heart』(Sony/888697927752)

ドリス・デイがテリー・メルチャーの母親というのは誰でもご存じのことだろう。そのドリス・デイが2004年にガンのため亡くなったテリー・メルチャーに捧げたのが本作である。音源の多くは1980年代の彼女のテレビ・ショー『Doris Day's Best Friends』のレコーディングからセレクトされている。本作で注目されるのはブルース・ジョンストン単独作品2曲、ブルースとテリーの共作が3曲と、12曲中5曲がブルース・ジョンストン作品という、我々ブルース・ジョンスソン・ファンにはたまらないセレクションになっていることだ。
永遠の名作「Disney Girls」で万人を酔わせ、バニー・マニロウが歌った「I Write The Songs」でグラミー賞のソング・オブ・ジ・イヤーまで獲得したブルースだが、賓作のコンポーザーであり、また控えめな性格なので、「遅れて入った6人目のビーチ・ボーイ」としてか、ビーチ・ボーイズのコンサートでも自作を歌わず、コメントも少ししか出さず、身を引いてしまっているのが実に寂しいところ。一緒に活動しているマイク・ラブが、みんなに眉をしかめられているのに平気で自己主張し続けているのと対極の位置にいる。そんなブルースだが、ビーチ・ボーイズ加入前にブルース&テリーとして活躍し、ブルースが一時ビーチ・ボーイズを脱退していた時期はテリーとイクイノックス・レーベルを作ってカリフォルニア・ミュージックとして活動するなど、テリーの一番の親友がブルースだった。母親のドリスはテリーへのメモリー・アルバムを作る際、当然、ブルースの曲を多く選んだ。「Disney Girls」は当然入ったが、注目は「Heaven Tonight」である。このアップテンポで明るくポップなナンバーはブルースが自分のソロ・アルバム用にレコーディングまでしていた「Let's Visit Heaven Tonight」であり、貴重なカバーである。ブルース自身の歌は、未だに海賊盤でしか聴くことができない。そしてブルースとテリーとの共作だが、まずはビーチ・ボーイズがシングルとしてもリリースした「Happy Endings」で、ここではテリー・メルチャーのヴォーカルのものを収録していた。イントロのアナウンスはドリスで涙を誘う。他の2曲はしっとりとした美しいバラードの「The Way I Dreamed It」と「My Heart」で、どちらも個人的に初めて聴いた曲で、久々出会ったブルースの「新作」に嬉しさ一塩だ。ただ、アルバム全体を通して聴くと、最も魅力的なのは、ブルース関係の曲などではなく、ゴージャスなストリングスをバックに歌うジャズ・ナンバーの数々で、歌姫ドリス・デイの面目躍如、幸せな時間を送れること間違いなし。「Hurry It's Lovely Up Here」「My One & Only One」「Life Is Just A Bowl Of Cherries」「My Buddy」「Ohio」がおススメ。(佐野)


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