ローリング・ストーンズ絶頂期の待望のライブ映像がリリースされた。1978年にリリースされた『Some Girls』を受けてのツアーであり、アルバム10曲の内7曲を披露、懐メロに頼らないところがまずカッコいい。ストーンズ人気はまったく衰えることがなく、70年代に入って逆に加速していた感がある。ビルボードのアルバム・チャートの話だが、60年代で1位になったアルバムは1枚だけだったが、70年代はスタジオ・アルバムの6枚全てが1位にランクされた。その中でも一番売れたのが『Some Girls』で400万枚以上の驚異的なセールスを見せたのである。
おりしもディスコブームでストーンズは「Miss You」でサラリとディスコビートを取り入れ全米1位の大ヒット、しかしどこからどう聴いてもストーンズのサウンドであり。ディスコをすっかり飲み込んでしまった。そしてパンクロックの嵐に晒されても、本家本元は俺たちだといわんがばかりのハードでソリッドなロックンロールの「When The Whip Comes Down」「Shattered」「Respectable」で実力の差を見せつける。ストーンズはいつも貪欲に新しい音楽を取り入れ、全てストーンズ風に消化してしまうから凄い。そしてこのライブ、今まで見たストーンズのライブで文句なしのベストだ。派手な演出が一切ないが、ミックもキースもロン・ウッドも最も脂がのっていた時の演奏と歌なので、そのパワーで耳も眼も画面にくぎ付けになってしまい、下手な演出は逆に邪魔になることころだった。演奏にパワーと切れがあり、以前のようなルーズでやる気のなさそうな演奏でない点が最高だ。それに呼応してミックのヴォーカルは全開でパワフルかつ、適当に崩して歌っていないところが素晴らしい。オープニングが「Let It Rock」、エンディング付近に「Sweet Little Sixteen」というチャック・ベリーのオールド・ロック・ナンバーを配しているところが逆にカッコいい。「お前ら知ってるか?ロックンロールってこれなんだぜ!」と叩きつけているかのようだ。60年代のナンバーは3曲のみだが、「Jumpin' Jack Flash」など凄い音の密度。70年代の名作『Exile On Main Street』から「All Down The Line」「Tumbling Dice」「Happy」と3曲入っているもの嬉しい。そしてボーナストラックに1978年の『Saturday Night Live』に出演した時の貴重なライブが入っていてこれも目玉だ。「Beast Of Burden」「Respectable」「Shattered」の新曲3曲を披露してくれるが、ミックの声の調子がイマイチでパフォーマンスとしては出来があまり良くない。やはりストーンズは大観衆の前の方がより実力が発揮できるのだろう。とにかく、このライブは見ないと大損だ。絶対購入すべきマスト・バイ・アイテムである。(佐野)
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