2011年11月3日木曜日

☆Rolling Stones:『All 6 Ed Sullivan Shows』(Sofa/B0015967-09)DVD

ビートルズに続き、ローリング・ストーンズも、主演した6回分をノーカットで収録したDVDがリリースされた。ノーカットとはその放送回の全てが入っているので、他の出演者のシーンはもちろん、CMまでそのまま入っている。
1964年から1969年までの6回だが、他の出演はもう一組ミュージシャンはいるものの、他はひとり漫談、民族ダンス、サーカスなどのパフォーマンスで、ビートルズの出演回も同じくノーカットだったので分かるが、このエド・サリヴァン・ショーは音楽番組というより、音楽中心のバラエティ番組だと言えよう。
 安価で真ん中の4回の出演回だけ入った『4 Ed Sullivan Shows』というDVDが先行で発売されていたが、この『6』の方はリージョン1として扱われていて、仕方なく『4』を買った人も多いようだ。しかし届いてみるとこのDVDはリージョン・オールでおまけにアメリカ産なのでNTSC、あらゆる日本のプレイヤーで見られることが分かった。まあ、そんな失敗をしないよう、音楽ファンなら最低でもリージョン・フリーの再生機(この手のものはイギリス盤のPALも間違いなく再生する)を買っておくべき。アマゾンで設定済みのものが4千円くらいで買えるからね。まあWeb VANDAの読者でリージョン・フリーのプレイヤーを持っていない人はいないと思うが。
 さて、肝心のストーンズだが、ディスク1の3回は演奏・歌ともにリアル・ライブ、ディスク2の3回は歌のみ生で、演奏はカラオケだ。当然、ディスク1が目玉になる。この頃はキース・リチャーズが笑顔で演奏していて、その若さが爽やかだ。まずは1964年10月25日放送分では「Around and Around」「Time Is on My Side」の2曲を披露する。いやーストーンズはカッコいい。他のグループが皆スーツを着ている中、無地のトレーナーにズボンという超シンプルなミック・ジャガーのファッションは逆に断然光る。そして歌う時のミック独特のパフォーマンス、この当時のロック・グループの中で群を抜いていて、お揃いを着ない、揃った動きをしないという自由さが、今につながっていて少しも古くならない。1965年5月2日は「The Last Time」「Little Red Rooster」「Everybody Needs Somebody to Love」の3曲だ。この頃のキースはアップになるとジョージ・ハリスンに似ていてハンサム。「The Last Time」のハーモニーがレコードと同じに歌ってくれるのが嬉しい。「Little Red Rooster」ではブライアン・ジョーンズがボトル・ネック・ギターを披露し、ようやく存在感を見せる。この回はエンディングがストーンズの生演奏の「2020 South Michigan Avenue」で、ストーンズの演奏をバックにCMが入り、エンディングロールとまあバチ当たりな使い方だ。ここまでがモノクロ。1966年2月13日の「Satisfaction 」「As Tears Go By 」「19th Nervous Breakdown」からはカラー。「As Tears Go By 」ではキースの生ギターをバックにミックが歌うという嬉しい2ショットで、惚れ惚れと見てしまった。男同士だって素敵なものは素敵なんだから仕方がない。」「19th Nervous Breakdown」ではキースのミストーンがあり、後半も少々怪しく、まあストーンズらしい。ディスク2は1966年9月13日の「Paint It Black」「Lady Jane」「Have You Seen Your Mother, Baby, Standing in the Shadow?」の回からスタートだ。演奏はオケなのでフェイドアウトするものはフェイドアウトしてしまう。「Paint It Black」でのシタール、「Lady Jane」でのダルシマーと、見慣れない楽器を弾きこなすブライアンは、ストーンズの中でもこの頃が頂点だっただろう。この時の縦のストライブのスーツはコレクターズの加藤ひさしが似たようなのを着ていたので、これに憧れたのかも。1967年1月15日は「Ruby Tuesday 」「Let's Spend The Night Together」。「Ruby Tuesday」はキースがピアノ、ブライアンがリコーダー、ビル・ワイマンはコントラバスト、クラジカルなパフォーマンスを見せる。「Let's Spend The Night Together」は有名なエド・サリヴァンの要請で歌詞を「Let's Spend Some Time Together」と変えて歌ったその回だ。あの反逆のストーンズが受け入れるなんて、エド・サリヴァン・ショーの力の凄さを感じさせる。1969年11月23日の「Gimme Shelter」「Love in Vain」「Honky Talk Women」は歌も演奏もオケ。ブライアンはストーンズ脱退後廃人のようになって亡くなり、美しいミック・テイラーが参加していた。
 しかし60年代のストーンズ、そのカッコよさに夢中になって見てしまった。絶対に購入すべき最重要DVDだ。(佐野)

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