こうしてリリースされるのは嬉しい限り。このセカンド・アルバムからのシングルB面のみに入っていた「Lisa,But Not The Same」もボーナス・トラックで収録されたのは素晴らしい。なかなかいい曲だったが、この曲は誰にも知られずにリストの一部で終わってしまうと思い、Radio VANDAの中でかけていた。この曲まで入るとは、二重丸である。さて、Kapp時代のクリッターズで、クリッターズ最高のナンバー「Mr.Dieingly Sad」を書いたドン・シコーネはこのアルバムの前にグループを離れていて、プロジェクト3時代はジム・ライアンのグループになったといって過言はないだろう。
では1968年のセカンド『Touch'n Go With The Critters』から。冒頭のゲイリー・ボナー=アラン・ゴードン作の「Touchi'n
Go」を聴けばこのアルバムが優れたアルバムであることがわかる。いきなりベースのリフからスタート、サイケっぽいかと思ったら、歌はポップでハーモニーが次々重なり歯切れのいいギターとドラムで曲が進んでいく。次の「Reason To Believe」はゆったりと雄大なバラード。1曲おいてラヴィン・スプーンフルの「Younger
Generation」のカバー、原曲がいい。それよりも次の「A Moment Of Being With You」、ワルツのリズムに思わせぶりなメロディがハーモニーとピアノで解放されていく素敵なナンバーだった。ハーモニーが心地よい牧歌的な「Let's Love」を挟み、ベースとエコーのサイケデリックな歌いだしから「Awake In A Dream」がスタートする。途中のアカペラ・パートの美しさ、サイケデリックな演奏との対比が実にいい。1曲おいてワルツのビートの「Cool Sunday Morning」へ。ボサノヴァ風のギターが心地よい実に洒落たナンバーだ。「A
Moment Of Being With You」からの4曲はジム・ライアンの曲である。その後は同じクリッターズのメンバーのクリス・ドアウェイが書いた2曲になるが、これらの曲もポップでなかなかいい。その中の「Sweet Breezes」はイントロのシタールがコレクターズ風。加藤ひさしはこの曲を知っていたのだろうか。最後の曲だけ重いR&Bナンバーで嫌な予感が。それが現実のものとなったのがサード・アルバムの『The Critters』である。ポップさは一部残っているものの、基本的にロック・バンドであろうとしてハーモニーや洒落たアレンジを捨ててしまったため、印象に残らないアルバムになってしまった。最後のグループによるインスト「Harold」だけが救い。ボーナス・トラックの「Lisa,But Not The Same」はセカンド時代の曲なので、曲の前半は光るメロディがあり、セカンド・アルバム最後の曲と交換したいくらいだ。(佐野)
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