2011年7月3日日曜日

☆New Wave:『Little Dreams:The Canterbury Recordings』(Now Sounds/CRNOW26)

バービー人形の「マテル」の創始者であるケン・ハンドラーが作ったカンテベリー・レコードの残された1枚、ニュー・ウェーブの唯一のアルバムがCD化された。
これでカンタベリーの3枚のアルバム、ゲイリー・ゼクリーのイエロー・バルーンとリザ・ミラー、そしてニュー・ウェーブと3枚全てがCD化された。かつてこの3つのアーティストはそれぞれ『ソフトロックA to Z』で取り上げ、VANDAではカンタベリーレコードの特集を組んだこともあるが、今から15年も前には、もともとレアなレコードなので存在すら知っている人は稀だった。まったく夢のようで、取り上げておいてよかったなと改めて思う。さて、このグループはレイド・キングとトム・アンドリオリという無名のミュージシャンのデュオだが、アルバム11曲中、ミシェル・ルグラン作の「Autrefois」以外の10曲を二人が書いていて、二人の個性が発揮されていた。アルペジオのアコースティックギターから始まり、二人の囁きのようなハーモニーによって歌が綴られ、強いインパクトがある。この抑制された美しさは、ニュー・ウェーブ独自のものと言っていい。アレンジにはジーン・ペイジ、ドラムにハル・ブレイン、ベースにキャロル・ケイ、ピアノ&ハープシコードはヴァン・ダイク・パークス等とバッキングが豪華なのは、さすがケン・ハンドラーだ。お金もかけているからアレンジがいい。CDはステレオ&モノに加えてアルバム当時のデモのアセテートから2曲、1968年の1曲、1971年の2曲が加えられ、まさにコンプリート。ルグランのオシャレな1曲にまず酔って欲しい。残りはカンタベリーでの17枚のシングル盤だが、そこまでやってくれないかな。(佐野)

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