アル・ジャーディンのサイトのみで発売されているのがこのアナログ・シングルだ。アルはアルバム『A Postcard From California』から「Don't Fight The Sea」をA面に入れ、B面にはビーチ・ボーイズの「Friends」のア・カペラ・ヴァージョンをカップリング、東日本大震災のチャリティとして限定1000枚でリリースした。
アルは2月に来日してビルボード・ライブに出演、A面のこの曲も歌い、熱いステージを見せてくれたが、その直後の震災に心を痛めてくれたのだろう、このシングルには「友」の漢字がプリントされていた。音的にはなんといっても未発表の「Friends」のア・カペラだ。どこまでも上昇していくようなコーラス・パートを持つこの曲、ア・カペラではビーチ・ボーイズの歌の上手さが堪能でき、実に満足。歌の音圧が違う。最後のコーラスのみ、演奏が被っていた。このシングル$10だが、送料が$20.72もする。しかしeBayでは$40以上するので、アルのサイトが案内してくれるSound Stage Directで買った方が安い。なにしろ円高だから日本円では2500円程度だ。お早目に。(佐野)
2011年7月21日木曜日
2011年7月3日日曜日
☆New Wave:『Little Dreams:The Canterbury Recordings』(Now Sounds/CRNOW26)
バービー人形の「マテル」の創始者であるケン・ハンドラーが作ったカンテベリー・レコードの残された1枚、ニュー・ウェーブの唯一のアルバムがCD化された。
これでカンタベリーの3枚のアルバム、ゲイリー・ゼクリーのイエロー・バルーンとリザ・ミラー、そしてニュー・ウェーブと3枚全てがCD化された。かつてこの3つのアーティストはそれぞれ『ソフトロックA to Z』で取り上げ、VANDAではカンタベリーレコードの特集を組んだこともあるが、今から15年も前には、もともとレアなレコードなので存在すら知っている人は稀だった。まったく夢のようで、取り上げておいてよかったなと改めて思う。さて、このグループはレイド・キングとトム・アンドリオリという無名のミュージシャンのデュオだが、アルバム11曲中、ミシェル・ルグラン作の「Autrefois」以外の10曲を二人が書いていて、二人の個性が発揮されていた。アルペジオのアコースティックギターから始まり、二人の囁きのようなハーモニーによって歌が綴られ、強いインパクトがある。この抑制された美しさは、ニュー・ウェーブ独自のものと言っていい。アレンジにはジーン・ペイジ、ドラムにハル・ブレイン、ベースにキャロル・ケイ、ピアノ&ハープシコードはヴァン・ダイク・パークス等とバッキングが豪華なのは、さすがケン・ハンドラーだ。お金もかけているからアレンジがいい。CDはステレオ&モノに加えてアルバム当時のデモのアセテートから2曲、1968年の1曲、1971年の2曲が加えられ、まさにコンプリート。ルグランのオシャレな1曲にまず酔って欲しい。残りはカンタベリーでの17枚のシングル盤だが、そこまでやってくれないかな。(佐野)
これでカンタベリーの3枚のアルバム、ゲイリー・ゼクリーのイエロー・バルーンとリザ・ミラー、そしてニュー・ウェーブと3枚全てがCD化された。かつてこの3つのアーティストはそれぞれ『ソフトロックA to Z』で取り上げ、VANDAではカンタベリーレコードの特集を組んだこともあるが、今から15年も前には、もともとレアなレコードなので存在すら知っている人は稀だった。まったく夢のようで、取り上げておいてよかったなと改めて思う。さて、このグループはレイド・キングとトム・アンドリオリという無名のミュージシャンのデュオだが、アルバム11曲中、ミシェル・ルグラン作の「Autrefois」以外の10曲を二人が書いていて、二人の個性が発揮されていた。アルペジオのアコースティックギターから始まり、二人の囁きのようなハーモニーによって歌が綴られ、強いインパクトがある。この抑制された美しさは、ニュー・ウェーブ独自のものと言っていい。アレンジにはジーン・ペイジ、ドラムにハル・ブレイン、ベースにキャロル・ケイ、ピアノ&ハープシコードはヴァン・ダイク・パークス等とバッキングが豪華なのは、さすがケン・ハンドラーだ。お金もかけているからアレンジがいい。CDはステレオ&モノに加えてアルバム当時のデモのアセテートから2曲、1968年の1曲、1971年の2曲が加えられ、まさにコンプリート。ルグランのオシャレな1曲にまず酔って欲しい。残りはカンタベリーでの17枚のシングル盤だが、そこまでやってくれないかな。(佐野)
☆Kinks:『Something Else By The Kinks(Deluxe Edition)』(Universal/273214-1)☆Kinks:『Arthur…(Deluxe Edition)』(Universal/273227-4)
先日紹介したキンクスのデラックス・エディション・シリーズでも、キンクス・ファンが最も泣くのが先日の『Face To Face』と既リリースの『The Village Green...』、そしてこの2枚である。1966年から1969年というキンクスのピークの時期、そしてロック全体としてもロック・レヴォリューションの時期であり、さらにその時期のアルバムがステレオとモノラルで楽しめるなんて、本当に最高だ。
1966年くらいからモノラルが貴重になり、CDになってもステレオばかりなので、この手のリイシューは本当に待っていた。さて、キンクスの中でも最もサイケデリックなムードもあって人気の『Something Else』だが、モノサイドの目玉は「David Watts」と「Harry Rag」の初期のデモだ。どちらもバンドの演奏だがまだアコースティックギターが中心であっさりと歌っているので新鮮だ。「Suuny Afternoon」「Autumn Almanac」「Mr.Pleasant」「Susannah's Still Alive」「David Watts」は未CD化の1967年のBBCのスタジオ・ライブだ。どれも息遣いが感じられるような生々しいテイクで、こういう荒々しさが残るテイクは聴き込んでしまう。ステレオサイドではまず「Tin Soldier Man」の原型であり歌詞が全く違う「Sand On My Shoes」が面白い。アレンジもまだデモ状態。「Afternoon Tea」「Mr.Pleasant」のデモも同じく初期の録音で、どちらもホンキートンク風のピアノが目立ち、レイ先生の歌い方はあっさりで、こちらも新鮮な感覚がある。そして何と言っても「Lazy Old Sun」。このピンク・フロイドもビックリのサイケデリックなナンバーの別ヴォーカル・ヴァージョンは、歌がシングルトラックとダブルトラックと交互に歌われ、実に面白い。でもこの曲はオフィシャルのダルなシングルトラックがベストなので、試行錯誤の過程が分かる。「Funny Face」の初期デモはこれらのデモの中ではかなり完成されていた。さらに「Tin Soldier Man」はカラオケ(「Sand On My Shoes」ヴァージョン)も入っていた。
続いて名盤の誉れ高いキンクスの代表作『Arthur』である。あの長いタイトルを今回はあっさりと縮めている。こちらは未発表トラックはステレオ・サイドにまとめて入った。まずは「Drivin'」の別テイクだ。アコースティックなタッチなので初期テイクなのは間違いないだろう。他はデイブの「Lincoln Country」と「Mr.Shoemaker's Daughter」のステレオと、デイブが歌う「Mr.Reporter」、さらに「Shangri La」のカラオケが収められた。
しかしこの2枚のアルバムのモノラルは新鮮で、「Victoria」「David Watts」「Waterloo Sunset」などをカセットテープを真ん中に置いて、ギター2本で自宅で友人と録音したことを思い出していた。アコギとエレキだったが、その音の手触りが似ていた。今から30数年前の録音だったが、そのカセットを探し出して聴いてみたら確かに似ている。もちろん歌声はハモっている程度だが。この時には合わせてフーの『Sell Out』の曲をアルバム大半ほぼ完コピしていた。このカセットを録音した1970年代後半には日本ではキンクスなんて話題にもならず、またフーでも『Sell Out』なんて誰も注目していなかったので、いい選曲してたじゃん、なんて思った次第。ギターの上手かったO君、元気にしてるかな。(佐野)
1966年くらいからモノラルが貴重になり、CDになってもステレオばかりなので、この手のリイシューは本当に待っていた。さて、キンクスの中でも最もサイケデリックなムードもあって人気の『Something Else』だが、モノサイドの目玉は「David Watts」と「Harry Rag」の初期のデモだ。どちらもバンドの演奏だがまだアコースティックギターが中心であっさりと歌っているので新鮮だ。「Suuny Afternoon」「Autumn Almanac」「Mr.Pleasant」「Susannah's Still Alive」「David Watts」は未CD化の1967年のBBCのスタジオ・ライブだ。どれも息遣いが感じられるような生々しいテイクで、こういう荒々しさが残るテイクは聴き込んでしまう。ステレオサイドではまず「Tin Soldier Man」の原型であり歌詞が全く違う「Sand On My Shoes」が面白い。アレンジもまだデモ状態。「Afternoon Tea」「Mr.Pleasant」のデモも同じく初期の録音で、どちらもホンキートンク風のピアノが目立ち、レイ先生の歌い方はあっさりで、こちらも新鮮な感覚がある。そして何と言っても「Lazy Old Sun」。このピンク・フロイドもビックリのサイケデリックなナンバーの別ヴォーカル・ヴァージョンは、歌がシングルトラックとダブルトラックと交互に歌われ、実に面白い。でもこの曲はオフィシャルのダルなシングルトラックがベストなので、試行錯誤の過程が分かる。「Funny Face」の初期デモはこれらのデモの中ではかなり完成されていた。さらに「Tin Soldier Man」はカラオケ(「Sand On My Shoes」ヴァージョン)も入っていた。
続いて名盤の誉れ高いキンクスの代表作『Arthur』である。あの長いタイトルを今回はあっさりと縮めている。こちらは未発表トラックはステレオ・サイドにまとめて入った。まずは「Drivin'」の別テイクだ。アコースティックなタッチなので初期テイクなのは間違いないだろう。他はデイブの「Lincoln Country」と「Mr.Shoemaker's Daughter」のステレオと、デイブが歌う「Mr.Reporter」、さらに「Shangri La」のカラオケが収められた。
しかしこの2枚のアルバムのモノラルは新鮮で、「Victoria」「David Watts」「Waterloo Sunset」などをカセットテープを真ん中に置いて、ギター2本で自宅で友人と録音したことを思い出していた。アコギとエレキだったが、その音の手触りが似ていた。今から30数年前の録音だったが、そのカセットを探し出して聴いてみたら確かに似ている。もちろん歌声はハモっている程度だが。この時には合わせてフーの『Sell Out』の曲をアルバム大半ほぼ完コピしていた。このカセットを録音した1970年代後半には日本ではキンクスなんて話題にもならず、またフーでも『Sell Out』なんて誰も注目していなかったので、いい選曲してたじゃん、なんて思った次第。ギターの上手かったO君、元気にしてるかな。(佐野)
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