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2011年2月16日水曜日

徳永 憲/『ただ可憐なもの』(SUZAK MUSIC/WaikikiRecord/NGCS-1006)



98年『魂を救うだろう』でデビューした孤高のシンガーソングライター、徳永憲が7枚目となるアルバム『ただ可憐なもの』をリリースした。
独創的なコード進行と歌詞の世界観は誰にも真似できない素晴らしさである。

先月Lampの新作サンプル盤を喜々として聴き続け1週間程経った頃、丁度届いたこのアルバムであるが、一聴しただけで直ぐに虜になってしまった。
彼のプロフィールについてあれこれ書くより、その音楽に触れてこそ理解できる魅了というか魔力というべき理屈抜きのサムシングを持っている。



グルーヴィーなドラムと地を這うウッドベースをお伴に、迷宮へと誘うアルペジオを奏でながら冬の情景を綴った「本屋の少女に」から、ミニマルなフィンガー・ピッキングのフレーズが頭から離れないタイトル曲「ただ可憐なもの」まで、アルバムのどこを切っても彼の世界に浸れる。
アルバム中最もポップな展開を持つ「神に麻酔を」は、サイケデリック期のジョージ・ハリスンに通じるコード進行で一筋縄ではいかないし、「空を切る」はGREAT3~ソロ活動での片寄明人を思わせるひんやりしたロマンティズムがたまらない。
インスト2曲が配置されたバランスや、小編成の木管を中心としたホーン・アレンジなどアルバム全体が実に効果的にまとめられている。
とにかく聴くべきアルバムの一つであることは間違いない。
(ウチタカヒデ)


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