過去の気に入った企画を、再現してご覧いただこうと、このミニコーナーを始めた。といっても全2、3回程度だが...。第1回は花火編。今からなんと20数年前に実施したものだ。
当時はVANDAに掲載したが、非常にクオリティの低い白黒映像で、とても見られたものではなかった。何しろその当時はオフセット印刷、文章をワープロで打って打ち出したものを縮小コピー、タイトルは拡大コピー。写真はコンビニのコピーなのでコントラストだけがキツく中間色は吹き飛んでしまう。それを割付用紙に糊で貼り付けて1ページごと組んでいく。最初のうちは季刊だったので、3ヵ月後とこの地獄の作業がやってくる。千葉にあった印刷屋は、シャッターの鍵を開けたままにしてくれるので、夜中に店内に入って手作業を続け、納品は明け方。メモを置いて東京へ戻り、そのまま寝ないで会社へ...とまあ、30代だからできた荒行だ。お店への直発分は、父母から当時80代だった祖母まで手伝ってもらってまる1日作業。そして取次ぎや近くの店は車に限界まで詰め込んで配達。こうやって今、事実を書いただけでも辛さが甦りイヤになってくる。
20代にはコミックのミニコミを10年以上やっていた(ある年にコミケの売り上げ1位になったことがある。1980年代の昔の話。.)し、会社の傍らずっとこんなことを続けてきたわけだ。さて前置きが例によって長くなってしまったのでさっそく本題に入ろう。
Aヘビ花火編
ヘビ花火をいくつかまとめて火を付けたことがある人も多いと思う。するとにょろにょろとメドウサの髪の毛のように四方に伸びていくのだが、合体して太くなった時があり、この実験を思いついた。台座はお菓子の缶。
ここに500個のヘビ花火を4段にセメダインで円形にギッシリ貼り重ねて、いわば巨大なヘビ花火が完成する。一番上に点火剤代りにセメダインを塗り、ライターで火を放った。火はすぐに全体に回り、早く火が回ったところから小さいにょろにょろが幾つも出始めた。するとその直後、一気に合体し、直径20センチ以上の真っ黒なヘビ花火が周りから火を噴き出しながら一気に上昇していく。こいつはすげえ。1メートル近く立ち上がったら根元からボキリと折れて、その下から新たなヘビ花火がまた伸びていった。
都合、3回折れて、4回目の上昇の途中で終了した。簡単な上にインパクト大。お勧め。
Bロケット花火編
今度は巨大なドラゴン花火を作ろうというコンセプトだ。まずはロケット花火を隙間なく並べたいのでロケット花火大の網目の金網を買ってきて、いらないコタツを逆さにしてその足に金網を固定した。これで台座は完成。そこに220発のロケット花火を差し込んでいく。完成したものを上から見るとまるで蜂の巣だ。
夜になるのを待ち、火災が起きないよう海岸に移動していよいよ点火だ。点火剤は、ドラゴン花火2個。ドラゴン花火はロケット花火の下に並べて置き、左右からチャッカマンで同時に火をつけた。ドラゴンが火を噴きだすとロケット花火の導火線に火がつきヒュンヒュンと飛び始めた。すると直後に一斉に火が回り、タタタタタという連射音と共に機関銃の弾丸のようにロケット花火が夜空に打ち上がっていく。巨大なドラゴン花火だ!その時間、わずか5秒程度。だからこの写真1枚しか撮れず、迫力が伝わらないのが残念だ。
これもインパクトは凄い。
C打ち上げ花火(ガンダム編)
まあ、ガンダムというのは気分であり、要は15連発の打ち上げ花火を手に持って水平打ちして戦うという「戦争ごっこ」である。しかし安全面は最大限に配慮しないと危険過ぎて楽しめない。なんといってもキーは盾だ。木を切って持ち手を取り付け、戦闘用の盾を制作する。製作は会社で仲良くしていた設備運転の担当者に手伝ってもらう。当時、20才以上年上のエンジニアにこんなことを頼むんだからとんでもない社員だなあ...。場所は西伊豆にあった大滝ランドという廃墟となった遊園地。
仏教テーマパークで、巨大な大仏などが放置されていると聞き、それも見学に行ったのだが、大仏は既に撤去されていた。しかし草むらの中に仏像が多く打ち捨てられていて、首が転がったりしていてなかなかいい雰囲気だ。長袖長ズボン軍手をはめ、夏だったので全身水をかける。そしてフルフェイスのヘルメットを被れば、どこに花火が当たっても怪我をすることがない。夜の帳が降りた。左右に分かれてお互い手に持った打ち上げ花火に火を付け、一発飛び出したらもう戦闘開始だ。
夜の闇に曳航弾のようにタマがこちらへ向かって水平に飛んでくる。慌てて手に持った盾で防いだ。すげー迫力!
お互いに位置を変えながら連射されるタマを避けつつ攻撃を続ける。しまった。服に弾着が!肩の下に火花が散っている。やられた!しかしこの程度なら戦闘継続、タマが切れるまで撃ち合いを続けた。まあサバゲーみたいにルールはまったく決めていなかったので、幾つ当たってもかまわないんだけど。でも盾で防ぐのがなんとも快感だった。
この戦闘は緊張感に満ち、強くお勧めしたい。しかし準備を怠らぬよう。
(佐野邦彦)
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