人気DJとして活躍中の彼ならではの審美眼が貫かれたスタイリッシュで、センス溢れる作品となっている。
紹介が遅れてしまったが、本作は昨年12月1日にあんちゃん自身も運営に参画しているORANGE RECORDSよりリリースされ、これまでアナログ7インチのみで発表されていた「黄金の七人」(アルマンド・トロヴァヨーリ)や同レーベル・コンピレーションに収められていた「鏡の中の十月」(小池玉緒)のカバーを収録している。
また特筆すべきは複数のゲスト・ヴォーカリストが参加しており、元コーザノストラの鈴木桃子を筆頭に、小西康陽氏のレディメイド・インターナショナルでお馴染みの野本かりあ、以前WebVANDAで紹介したコーラス・グループのPecombo(ペコンボ)やアーバンギャルドの浜崎容子など、あんちゃんの幅広い交流関係が垣間見られて興味深い。
クラブ・ミュージック的手法でクリエイトされながら歌モノ・アルバムとしても聴けるのは、ノーマン・クックがハウス・マーティンズ解散後結成していたビーツ・インターナショナルにも通じ、ポップス・ファンも楽しめる内容となっている。
「Family Affair」のイントロ・パターンを引用した「Runnin' Away」(スライ&ザ・ファミリーストーン)や、嘗てその「Runnin' Away」をカバーしていた小池玉緒の「鏡の中の十月」など選曲にも強い拘りを感じさせる。この曲83年当時YMOの三氏がフランスのmikadoに影響されてソングライティング&アレンジした隠れた名曲で、今回は仏語ヴァージョンでカバーされているが、独特な美意識を感じさせるいい仕上がりになっている。
フリーソウル・ファンには鈴木桃子がフューチャーリングされたオリジナルの「Do It Again」がお勧めだ。マナサスにも通じるグルーヴィーでアーシーなロック・サウンドが楽しめる。
なお初回プレスのみ「黄金の七人」と「Do It Again」のリミックス・ヴァージョンのボーナストラックが収録されるので気になった人は早期に入手しよう。
(ウチタカヒデ)
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