ブライアン・ウィルソンの2年ぶりの新作は、ブライアンが敬愛するジョージ・ガーシュインの全曲カバーのアルバムだ。
38歳の若さで夭折したこのアメリカの天才作曲家の大ファンであることをブライアンは常に公言していたが、こうやってカバーアルバムまで作るのは嬉しい驚きだ。ガーシュインの曲はコードの展開や転調が素晴らしく、ブライアンが好きなのはよく分かる。そしてイコール、ソフトロックが好きな人も好きになる曲なのである。代表曲である「Rhapsody In Blue」がイントロとクロージングを受け持ち、まずとてもゴージャスな気持ちにさせてくれる。2曲目の「The Like In I Love You」が素晴らしい。メロディもハーモニー、アレンジも伸びやかで素敵だが、何よりもブライアンの声が艶やかで、素晴らしい。かつての『Love You』や『Brian Wilson』ではその復活劇が感動的で歌ってくれるだけで十分という空気だったが、今聴くと痛々しいばかりの声だ。それに比べて定期的にアルバムを出している現在は心の回復とともに声も復活した。ゆったりとしたジャズの「I Love You Porgy」もいいし、ボサノヴァにアレンジされた「'S Wonderful」がまた飛び切り素晴らしい。ブラシを使ったジャズナンバー「Love Is Here To Stay」、3連譜のピアノに導かれる「I've Got A Crash OnYou」
、落ち着いた美しいバラード「Someone To Watch Over You」と、幸せな気持ちになれるナンバーが続き、とても素敵なカバーアルバムに仕上がった。(佐野)
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