Pages

2010年4月28日水曜日

ジャンクフジヤマ:『JUNKTIME』(Mil Music/MICL-70001)


 昨年4月にミニアルバム『A color』で彗星の如くデビューした、シティポップ系シンガーソングライターのジャンクフジヤマが初のフルアルバム『JUNKTIME』をリリースする。
 この『JUNKTIME』は、彼の歌声に惚れ込んだ巨匠ドラマーの村上"ポンタ"秀一を中心としたスペシャル・バンドのサポートのもと、最高のライヴ・パフォーマンスを収めた実況録音盤であり、筆者も強力にプッシュしたいアルバムなので紹介したい。

 その魅力溢れる声質から山下達郎の再来とデビュー時から大きな反響を呼び、70年代後半~80年代初期のAOR~シティポップを踏襲したサウンドは、時代性を超えた感動としてリスナーの心を熱くしている。またソングライターとしても比類ないセンスを発揮しており、アーティストとしての器の大きさを感じずにはいられない。それがジャンクフジヤマなのだ。
 さて本作の内容だが、目黒ブルース・アレイ・ジャパンでのライヴ・レコーディングから、今年1月の6曲と昨年11月の3曲を収録しており、村上"ポンタ"秀一と岡沢章という70年代から活動している日本音楽界の至宝と呼ぶべき超一流ミュージシャンを筆頭に、セッションマンとして高名な松原秀樹や天野清継などが脇を固めるという、新人アーティストとしては異例な布陣に音楽通はきっと驚くだろう。つまりは早くもミュージシャンズ・ミュージシャンとして認められた証拠なのだ。

 その熱気から、山下達郎の『IT'S A POPPIN' TIME』(78年)を彷彿させるのは容易いかも知れないが、ダニー・ハザウェイの『ライヴ』(72年)やカーティス・メイフィールの『Curtis/Live!』(71年)など歴史的ライヴ・アルバムの名作を源流とする熱いパフォーマンスは、この『JUNKTIME』にも息づいていると確信している。
 本作には上記のライヴ音源の他、アンコール・ナンバーとして知られる「ゆっくり歩こう」のスタジオ・ヴァージョン(アコースティックギターとエレピのみのバッキング)も収められており、静かに余韻を楽しむのもいいだろう。
 シティポップやAORファンは元より多くの音楽ファンにお勧めできる、本年度上半期の傑作アルバムの一つなので是非入手して聴いて欲しい。なおamazonでは7月7日から流通されるようだ。
(ウチタカヒデ)



0 件のコメント:

コメントを投稿