2009年5月17日日曜日

ghq:『grahambread quicklunch』(Rallye/RYECD058)

 

 これまでも日本の若手ギターポップ(ロック)系バンドのアルバムを多く紹介してきたが、先月25日にセカンド・アルバム『grahambread quicklunch』をリリースしたばかりのghqを取り上げてみたい。 

 今回紹介するghq(ジーエイチキュー)は2003年に結成され、現在は野村雄一郎(ギター)、石橋悠三(ヴォーカル)、藤田真哉(ベース)、小貫真規(ドラム)の4人で構成されている。 ファースト・ミニアルバム『街待ち』(2005年)のリリース後、自主制作盤として昨年発表されていたものを、インディーズ系全国流通盤として新装リリースしたのが本作である。 因みにヴォーカルの石橋は、昨年11月にWebVANDAでも取り上げて絶賛したLampの『ランプ幻想』の2曲にコーラスで参加しており、同業のアーティスト間では既にそのヴォーカルはお墨付きのようだ。 成る程そのソフティーなハイトーンのテナーヴォイスは、コリン・ブランストーンあたりを彷彿させる魅力ある声質で、UK寄りのギターポップを志しているバンドとしては大きな武器となるだろう。

  アコギのアルペジオからC&W系のリズムへと展開する冒頭の「スノーボウル」、同様にUK経由のC&Wサウンドの「SUBWAY」への流れなどは聴く度に懐かしさを覚える。 
 まるでコリン・ブランストーンが歌いそうなシャッフル・ビートの「アドバルーン、ワンダーランド」はポップスとしても完成度が高く、個人的に最も惹かれた曲だ。 
 他にも英語詞と日本語詞のパートが無理なく融合した「Mr. Melancholy」など聴きどころは多い。 アルバム全体的にシンプルなサウンドであることで、石橋のヴォーカルを余すことなく引き立たせており、きちんと計算してプロデュースされているのも注目すべきだろう。
 例えば、80年代UKのネオアコースティック系の楽曲群とランダム再生で聴き続けても、日本語の歌詞が違和感なく自然に溶け込むといえばいいだろうか。 ヴォーカリストの魅力的な声質が、曲の世界観を大きく作り上げる好例である。
(テキスト:ウチタカヒデ)


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