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2009年3月1日日曜日
Minuano:『Love Logic』(MOTEL BLUE/MBRD-20)
このMinuanoは、Lampをはじめ数々のレコーディングでパーカッショニストとして活動している尾方伯郎のソロ・ユニットで、既にユニットMundo Novoとしてもアルバムをリリースしている彼の新たな世界観を結晶させたものである。全てのソングライティングとアレンジも彼自身によるものだ。
3月4日にリリースされる本アルバムの音源を一足先に入手して聴いてみたが、単に"アナザー・サイド・オブ・ランプ幻想"という訳ではなかった。
そもそもこのユニットのサウンドは、尾方がLampとの活動から触発されて制作したということで、多分にその影響を受けているのでは?という先入観を持って聴いてみたのだが、主に彼が追求している70年代ジャズ/クロスオーバー/ブラジリアン・フュージョンのエッセンスが所々にちりばめられ、ポップスとしても一曲一曲が丁重にプロデュースされている。
古今東西国内外を問わず、プレイヤー指向の強いミュージシャンがヴォーカリストをフューチャーさせたユニットのサウンドとは一線を画し、きちんと「歌モノ・アルバム」として機能していることに非常に感心させられたのだ。
また90年代からSpiritual Vibesのパーカッショニストとして活動してきた尾方であるが、本作ではキーボードやドラムス、エレキ・ベース、コーラスまでも担当しマルチプレイヤー振りを発揮しているのも特筆すべき点だろう。
洗練されたボッサ・フュージョン風の「レモン哀歌」、曲構成など和製ソフトロックとして完成度の高い「果てるともなく続く宙」、Lampの「夏に散らした小さな恋」に通じるヤング・ブルーアイドソウルの「恋人たちの雨」、スキャットではじまるアッパーなジプシー・ルンバ風の「裸足のシルエット」など聴きどころは多い。
榊原のヴォーカルも曲調とサウンドに合わせて、スタイルを絶妙にコントロールしており、曲によってフローラ・プリムからThird Wave辺りを彷彿させる瞬間がある。『ランプ幻想』で聴かれたアーティスティックな主張はないが、アルバム全体的にコンテンポラリーなサウンドで若いリスナーにも非常に聴き易いアルバムだと思う。
(テキスト:ウチタカヒデ)
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