なぜ、スモール・フェイセスの方をトップに持ってきたかというと、1966年10月の収録で全てデッカ時代の曲ばかりなのだ。「Hey Girl」、「All Or Nothing」、「Whatcha Gonna Do About It」、「Sha-La-La-La-Lee」の4曲がリアル・ライブなんて、涙なしには見られない。この時代はみな口パクでデッカ時代は「All Or Nothing」くらいしか見られなかったので、一気に4曲が見られるなんて夢のようだ。まだ髪が短くマッシュルームになっていないスティーブ・マリオットの姿が素敵で、そのマリオットが目一杯ソウルフルに「Whatcha Gonna Do About It」を歌ってくれた時にはあまりのカッコ良さにクラクラしてしまった。ロックの映像でこんなに胸が熱くなったのはフーの『The Kids Are Alright』を見た時と同じで、つまりロック映像の最高のものがここで見られるのだ!ロニー・レーンの掛け合いのコーラスも野太くてカッコいいし、ケニー・ジョーンズのドラムも素晴らしい。デッカ時代のスモール・フェイセスは最高だ!そしてキンクスである。キンクスは「A Well Respected Man」、「Milk Cow Blues」(「Please」と表記されている)、「'Til The End Of The Day」、「I'm A Lover Not A Fighter」、「You Really Got Me」の5曲で、もちろんリアル・ライブ。収録は1965年11月で、この時代のリアル・ライブはいくつか存在するものの、5曲もまとめて見られるなんてこれも夢のよう。黒のタートル・ネックのレイ・デービス、髪の毛は前髪を揃えて短いのであまりカッコよくはないが、サウンドはギザギザしていてビートが満ち溢れ実に素晴らしい。2曲でデイブ・デービスがリード・ヴォーカルを取るのは、この時代、デイブがもて男だった事を示している。デイブのリード・ギターはヘヴィでソリッドであり、上手いギタリストだと改めて感じることができた。そして「You Really Got Me」は、ライブで聴くと今でも通用する重量感と切れ味があり、これらの曲を書いたレイ・デービスの才能には感服するばかり。天才だね。この2枚のDVD、NTSCでリージョン・フリーなので誰でも見られる。タワー・レコードで通販で買えるが、2枚で4200円は高い。日米のアマゾンでは売っていないが、amazon.co.ukでは売っていて送料込で13.57ポンド、つまり2200円ちょっと買える。そして注文からたったの5日で到着したから、これはamazon.co.ukで買いでしょう。(佐野)
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