2008年7月17日木曜日

☆ 『ビートルマイナス・ワン(Beatleminus One)』(Vivid Sound/VGL182-187)

ビートルズ・ファンなら誰でも経験があるでしょうが、ビートルズのナンバーはジョンとポールの超強力ハーモニーにより、フロントで聴こえてくるメロディーがジョンとポールのパートでゴチャマゼになってしまい、多くの人がその「ゴチャマゼメロディー」で歌うので、ちょっとイライラしてしまう、そんな経験がありますよね?だから自分が歌うときは、そのパートをしっかり歌える人間を探すわけですが、それぞれが正しいパートで歌うと、二人の声が合わさった時の快感は本当に最高なのです。どっちがリード・メロディか分からないビートルズ・ハーモニーのマジック。しかしそんな人間は限られているし、一人でギターを弾きながら歌うと、どうしてもひとりの寂しさが募ってしまうもの。ジョージが入った3パートのハーモニーの曲になるとその快感が飛躍的に高まるのですが、3つのパートを正確に歌える人間をさがすのはさらに難しく、仕方がないので、一人で多重録音をしてしまう...それは私ですが、このサイトを見てくださっている方ならよく分かっていただけるでしょう。このCD、フジテレビの『とくダネ!』で小倉智昭さんが絶賛していましたよね。
 前置きが長くなりましたが、このCDはそんなビートルズ・ファンの気持ちを吹き飛ばしてくれる、最高のカラオケ集です。たとえばデュオでのハーモニーの最高峰、「If I Fell」は、まず完成パート(All in)、ポールの人用(-Paul)、ジョンの人用(-John)、カラオケ(-John & Paul)と展開し、例えば3パート・ハーモニーの最高峰、「This Boy」は完成パート(All in)、ジョンの人用(-John)、ポールの人用(-Paul)、ジョージの人用(-George)、ジョンのパート練習用(-Paul & George)、ポールのパート練習用(-John & George)、ジョージのパート練習用(-John & Paul)、カラオケ(-John & Paul & George)と各パート別のカラオケだけでなく、それぞれのパートも耳で聴けて練習できてしまうわけです。これだけ見ても買いたくなったでしょう?
 この歌、演奏はCASHVOXとなっていますが、これはジョンがCASHの太田シノブ、ポールがスプリングス、CASHのヒロ渡辺、ジョージもおそらく太田シノブ、プロデューサーは十郎ザエモンと、まさにCASH、スプリングスのメンバーなので、歌と演奏の実力は織り込み済み。トラックによってはリードギターや、「And I Love Her」のガットギターのように目立つギターを抜いてあり、弾きながら歌う楽しみも作ってくれています。そしてロックンロールを思いっきり歌いたい人用のロック編(「Twist And Shout」「Long Tall Sally」「Rock And Roll Music」「Mr.Moonlight」「Can't Buy Me Love」など)や基本的にソロで楽しむバラード編(「And I Love Her」「Michelle」「In My Life」「Yesterday」など)、『Let It Be』編(「Get Back」「Don't Let Me Down」「Two Of Us」「Let It Be」など)、さらにビートルズは特にポールのキーが高く、歌えない人が多いので、本編とは別に2度キーを下げたキー下げ編(「I Want To Hold Your Hand」「Please Mr.Postman」「A Hard Day's Night」など)も作ってあり、この企画を考えた十郎ザエモンさんに拍手ですね。今、紹介した以外の曲で、一緒にハモって歌ったのは「She Loves You」「Please Please Me」「Ticket To Ride」「Nowhere Man」「If I Needed Someone」「I'll Be Back」「I Saw Her Standing There」など。CD6枚組ですが、これは買いでしょう。その際は続編として「No Reply」「Yes It Is」「You're Going To Lose That Girl」「Paperback Writer」「Drive My Car」「You Won't See Me」「Here There And Everywhere」「And Your Bird Can Sing」を希望します。これらの曲のハーモニーも最高なので、真柄さん是非!またビーチ・ボーイズ編、全編が無理だったらせめて3パートでも様になる「Surfer Girl」や「In My Room」「Wendy」や、3パートのフーの「See Me Feel Me」、CS&Nの「Suite:Judy Blue Eyes」、デュオではS&Gの「Sound Of Silence」やエヴァリーなんて入れた番外編を作ってもいいのでは。どうでしょう?(佐野)








 





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