2008年3月3日月曜日

☆Beach Boys:『In The Beginning The Garage Tapes』(Sea Of Tunes/C0759/60)

アマゾンのプレミア会員になって、ほとんどの商品が送料無料(制限が無いのでコミック1冊でも無料)で朝出勤前に注文すると夜には着くようになってしまったため、およそCDショップや本屋に行くことがなくなってしまった。
地元の三軒茶屋の店には行くが、交通機関を使っていく事は皆無になってしまった。そのため、車で数分の渋谷にも行くことがまったくなくなり、ブートレグの情報も皆無、まあ、噂になっているものもないようなので、もうブートレグはライブだけでもうスタジオ録音のレア音源など無くなってしまったのだろうと思っていた。しかしあの驚異的な伝説のブートレグシリーズ『Unsurpassed Masters』の続編(直接そう書いていないが、レーベルが同じでレイアウトも同じである)が出ていると伊藤博道さんからのメールがあり、こいつは一大事と早速購入した次第。このシリーズを紹介しないわけにはいかない。
さて2枚組みのこのCD、タイトルのとおり1960年から1963年かけての未発表の初期音源を集めたもので、内容的にはコレクターのみ必要な代物である。『In The Beginning』はまずはゲイリー・アッシャーが書いた3曲で、ビーチボーイズが歌と演奏を担当している。6110月の作品なので歌と演奏はアマチュアレベル、さらに曲のクオリティが低い。なお「Visions」は後にブライアンとゲイリーがRachel & The Revolversに歌わせた「Number One」の原曲だった。ここからはまず63年の録音でシャロン・マリーの「Summertime」のカバーのデモがあり、続いて作者不明の「Mother May」、この曲は2番を誰か分からないシンガー(おろらくハニーズ)が歌うがたいした曲ではない。この中で面白いのは「Do You Remember」の原曲の「The Big Beat」で、歌詞がまったく違い、よりロックンロールになっている。乗りもいいし間奏も決まっている。作者不明の「Marie」は3コードのロックンロールで、たいした曲ではないが歌と演奏はそこそこ仕上がっている。「Funny Boy」はブライアン作のハニーズの未発表曲で、彼女らにしてはタフなナンバー、シャウト気味に歌うリードは「Mother May」と同じ声で、おそらくジンジャー・ベイカーだろう。「Runaway With You」はブライアンとボブ・ノーバーグ、Vicki Kocherの共作で、ブライアン(?)とハニーズが交互に歌うB級ビートナンバー。この3人作のインスト「Unknown Instrumental」はビンビン鳴るけっこう激しいリードギターが入っていて面白い。「In My Room」、「Hawaii」、「Your Summer Dream」のバッキングのみのデモを挟み「The Rockin'g Surfer」の原曲「Good Humour Man」が登場する。ギターのイントロがあり、キーボードのメロディが一部違っていた。ブライアンとマイクの共作のインスト「Rabbit's Foot」は「Our Car Club」の原曲。「The Surfer Moon」はかなり完成されたテイクだが、完奏しない。「Little Saint Nick」は完成したアルバム・ヴァージョンに、シングル・ヴァージョンのグロッケンを加えている風景だ。
続いてもう1枚のCDThe Garage Tapes』は、1961年当時(CDには1960年と書かれているが「Surfin'」があるので1961年と考えられる)の「Surfin'」の練習風景からスタートする。演奏しながら歌っているライブだ。その後はアカペラの「Bermuda Shorts」に取り組むが、ラップのようなマイクのリードヴォーカルがうまくいかずに放り出される。ブライアンのスタジオでの的確なプロデュースぶりは聴きもの。ブライアンとマイクがデニスのやる気のなさに怒りグループを追い出すと脅すくだりがあったり、新しい録音機材のテストに呼んできた女の子達と一緒に歌う「Sloop John B」、マイクと女の子のデュオ「Dream」、短い「White Christmas」のアカペラなど色々なやりとりが収められ、果てはブライアンの学校でのレポートや、マリーと女性との交通事故の電話など、当時の生活がリアルに映し出されている。音楽的に完成されたものはないが、グループの最初期の模様がわかる貴重なテープといえるだろう。(佐野)
 









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