久々に素晴らしい音楽DVDに出会った。このDVDはグレン・キャンベルが1969年から1972年にCBSテレビで担当した『Good Times Hour』のハイライトを集めたもので、現在のグレンの回想をはさみながら、ソロで5曲、デュエットで11曲、全て完奏し、その間はナレーションもスーパーも被せないという音楽ファンにとって最良の編集がなされている。時代といい構成といい、『Andy Williams Show』を見ているかのようで、何だかとても嬉しい。もっとも女性とのデュオでは、恋人どうしかのように振舞うアンディのようにはいかないが。「Let It Be Me」を歌うときにボビー・ジェントリーにしっかり抱きつかれるが、なんだかグレンは慣れない様子だった。でもリンダ・ロンシュタットとの「Caroline In My Mind」、シェールとの「All I Really Want To Do」、アン・マレーとの「Don't Think Twice,It's All Right」はグレン・キャンベルのギターの腕が冴え渡り、アコギ一本だけで雰囲気を明るく楽しいものに変え、見事に女性シンガーとのデュオをこなしている。ソロでは名曲連発で、「Wichita Lineman」、「For Once In My Life」、「Galveston」、「By The Time I Get To Phoenix」、「True Grit」はその曲の良さ、グレンの歌の上手さ、そしてそのギター・テクニックの見事さに、耳も目も釘付けになってしまった。さすが元スタジオ・ミュージシャン、元ビーチ・ボーイズだ。男性陣はレイ・チャールズ、リッキー・ネルソン、ロジャー・ミラー、B.J.トーマス、ジョニー・キャッシュ、ウィリー・ネルソン、ジョン・ハートフィールドという面々で、大物が多いせいか、グレンはメインより少し引いた立ち居地でデュオを担当していた。ボーナスマテリアルでは、ジミー・ウェッブとの名曲の数々に対するエピソードや、ビーチ・ボーイズ参加の時のエピソードなど披露され、これも興味深い。全てが最高のDVDだ。Web VANDAでのYou Tubeアクセス・ランキングはアンディ・ウィリアムス、ビーチ・ボーイズ、フォー・シーズンズに次いで堂々4位にグレン・キャンベルがつけており、グレン・キャンベルのファンは多いはず。絶対購入しよう。
(佐野)