2007年11月22日木曜日

IRIS:『雪模様』 (RHYTHM TRACKS/TRACK-011)


IRIS(イリス)は以前、定期誌VANDA29号でも紹介したギターポップ・バンドのJET LAGを母体としたニュー・バンドである。


そもそもこのバンドは、ヴォーカリストの藤井美智代が2004年のJET LAG解散後に始めたソロプロジェクトjoyから発展しスタートさせたという経緯らしい。今回のミニアルバムが彼らのデビュー作となる訳だ。
彼らの基本的なスタイルは、藤井の作る楽曲のポテンシャルを、メンバーの演奏表現力やアレンジから、エンジニアリングやミキシングに至るまで深く追求していることである。

岡本のテクニカルなドラム・ワークが光る「夕凪につつまれて」と「雪模様」は、J・マッケンタイヤが作り出すシカゴ音響系サウンドに通じ、「浮雲のように」は『English Settlement』や『Mummer』の頃のXTCサウンドを彷彿させる、大陸的なアコーステック・サウンドにファンキーなインタープレイが絡むというもの。 ジャズワルツ風の「あいの風」にはジョニ・ミッチェルやスティーリー・ダンの匂いまで感じる。 ともかく筆者のツボをよく突いてくれる楽曲が揃っているのだ。

ラストナンバーは昨年筆者が共同プロデュースしたコンピレーションアルバム『Easy Living Vol.1』に、joy名義で提供した「ゆるやかな午後」のニューヴァージョン。 ゆるいラテン・フレイバー漂うリズムセクションと、内田のワウギターがアクセントになった新たなアレンジで、アルバム中最もストレートなサウンドかも知れないが、普遍的なメロディーはシュガーベイブや大貫妙子のファンに強くアピールしそうだ。
今後の活動も期待出来る面白いバンドの登場を心より喜びたい。
(ウチタカヒデ)

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