ブライアン・ウィルソンがバート・バカラックの大ファンだったことは知られているが、このポップスの2人の巨人の共作がついに実現した。まず、本CDの概略から紹介しよう。このCDはターゲットから独占販売で発売された、ポップ・ミュージック・シーンの偉大なミュージシャンによる新録の作品集である。バート・バカラックを中心に、ブライアン、キャロル・キング、ポール・ウィリアムス、ウィリー・ネルソン、ケニー・ロギンス、クリス・クリストファーソン、リチャード・マークス、ピーボ・ブライソン、ステファン・ビショップなどの錚々たる面々が、曲を書き、カバーし、そして歌う。プロデューサーはフィル・ラモーンだ。凄い顔ぶれでこれだけでため息が出てしまう。キャロル・キングとポール・ウィリアムスが共作し、キャロル・キングが歌う美しいバラード「Say Goodbye Today」があったり、ステファン・ビショップが書いて歌う心地よいボサノヴァ「Save It For A Rainy Day」はバックのアコギがエリック・クラプトンだったりと、組み合わせも楽しい。CDのタイトル・ナンバーは「New Music From An Old Friends」はポール・ウィリアムスが書いたナンバーで、ジェーン・モフィットのヴォーカルにより極上のバラードに仕上がった。ポール健在である。そしていよいよブライアンへ移ろう。まずは「God Only Knows」のセルフ・カバーだ。ベースの音色などかなりオリジナルに忠実なバッキングで、ブライアンの素晴らしく透明感のあるヴォーカルにより、この名曲が蘇る。ソロ活動を始めてから20年、いや、しわがれた声に変わってしまったと認識させられた1977年の『Love You』より30年、ブライアンの声はついに天使の歌声に戻った。少なくともこの曲ではそうだ。『Pet Sounds』で録音したかのような歌声に、胸がいっぱいになる。本当に素晴らしい。そしてブライアンとバカラックの夢の共作「What Love Can Do」だ。アカペラのハーモニーから曲はスタート、そしてゆったりとした優しげなメロディの歌が始まり、ぞくぞくするような転調で曲が一気に盛り上がる。魔力のような展開の妙、ブライアンの新作としてはここ10年で最高の曲だろう。サビの後のファルセットのハーモニーも、お得意のパターンとはいえ、メロディとサウンドが極上なので、心地よさでため息が出るほどだ。こんな素晴らしい曲に出会えて本当に幸せだ。なお、バカラックはピアノでも参加していた。ターゲットの独占販売で、先のHallmarkのCDと同様に日本には輸出してくれないので、eBayで買いましょう。(佐野/Special Thanks To 伊藤博道)
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