2007年2月1日木曜日

☆Don & The Goodtimes:『So Good』(Rev-Ola/142)


「ソフトロックA to Z」でおすすめしていたドン&ザ・グッドタイムスのソフトロック時代のCDがリリースされていたことに気づいたので、ちょっと遅くなったが紹介させてもらいたい。このグループは1964年から66年までのWand,Jerdenレコード時代は、最強レベルのヘヴィなビートのR&Bナンバーをリリースし、ガレージ系のロック・バンドとして素晴らしいシングル、アルバムを生み出していた。しかし1967年にメジャー・レーベルのエピックへ移籍し、ジャック・ニッチェがプロデュースを担当すると、それまでのスタイルとまったく違う、ポップ・バンドへ変貌する。ロック・バンドは数あれど、これほどスタイルを変えたバンドは稀有だ。まずアルバム『So Good』の冒頭の「I Could Be So Good To You」は、3連譜のピアノのバッキングに乗せた、ゲイリー・ゼクリーのイエロー・バルーンを彷彿とするような曲想のポップ・ナンバーで、全米56位とグループ初のヒットになった。他のアルバム曲はポップながらハーモニー、演奏ともにB級感があるものが大半だが、その中で「If You Love Her,Cherish Her And Such」は、ハープシコードのバッキング、牧歌的なメロディと優しげなヴォーカルで、最上級のソフト・ロック・ナンバーに仕上がり、この1曲だけでも購入すべき価値があるだろう。そして本CDが素晴らしいのは、エピック時代の直前のPiccadellyBurdetteのシングル2枚と、アルバム後にリリースされたアルバム未収録の5曲全てがボーナス・トラックに入ったことだ。PiccadellyBurdette2枚はオリジナル・ナンバーで、ガレージっぽいがゾンビーズ風のポップな仕上がりで、ジャック・ニッチェ以前にも既に変化の兆しが現れていたことが分かる。そしてエピック2枚目のシングル「Happy And Me」は、シャッフル・ビートの陽気なオリジナル・ナンバーで、98位と僅かにヒットした。ヒットはしなかったが内容的にはエピックの34枚目のシングルが上回る。それは作曲・プロデュースをフォー・シーズンズのソング・ランティングを手がけるサンディ・リンツァー=ダニー・ランデルが担当、アレンジはチャーリー・カレロと、まさにフォー・シーズンズを支えた最強スタッフの作品となったからだ。まず「Bambi」は高揚感のあるメロディが魅力で、ハーモニーに彩られたキャッチーなフックは愁眉の出来。ただサビの後のテンポ・チェンジした部分がどうにも不要。続く「May My Heart Be Cast Into Stone」はわくわくするようなビートに乗せ、さらに高揚感のあるメロディによって作られた文句なしのソフト・ロック・ナンバーに仕上がった。お徳用のこのCD、購入する価値は十分過ぎる。
(佐野)
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