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2006年11月1日水曜日

☆Neil Young & Crazy Horse:『Live At The Fillmore 1970』(ワーナー/WPCR12527)

この時代のニール・ヤングが一番好きだ。ニール・ヤングはいつでもニール・ヤングであり、嫌いな時代はどこにもないのだが、音楽的に時に好きな時代は60年代後半から70年代前半になる。このアルバムはタイトルの通り、19703月にニューヨークのフィルモア・イーストで行われたライブで、ライブ後半のクレイジー・ホースをバックに従えたエレクトリック・セットの模様を収めてあり、まさに最高の時代の最高のライブと言えよう。やはり何といっても14分を超える魂のギターソロが聴ける「Cowgirl In The Sand」と12分に渡る「Down By The River」が圧巻だ。私は元来、「3分の曲」の支持派であり、長い演奏だとほとんど退屈してしまって聴く意欲を失ってしまうのだが、ニールの曲に漂う独特の哀調と、テクニック云々ではないその狂おしいまでのギター・ソロが一体となると、曲のパッションに引きずり込まれ、長い時間など忘れてしまう。長い演奏でも聴けるのはニール・ヤングだけだ。その当時未発表だった「Winterlong」も熱い。『Decade』収録のヴァージョンより、若いニールのパワーを感じさせてくれ、魅力的だ。同じく未発表だった「Wonderin'」の軽快なカントリー・タッチは、重い先の2曲の箸休めとしていい味を出している。そしてこのエレクトリック・セットで名曲「Cinnamon Girl」をカットしてまで収録したのが、ニールとダニー・ウィットンの共作でダニー・ウィットン自身がリード・ヴォーカルを取った「Come On Baby Let's Go Downtown」である。この2年後にドラッグ禍で他界してしまったこの優れたクレイジー・ホースのメンバーを、いかにニールが愛していたかということを感じさせる。ニールのヴォーカル曲と少しも見劣りしない素晴らしい出来だった。(佐野)
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