2006年9月1日金曜日

☆John Lennon:『The U.S. VS. John Lennon』(Capitol/09463-74912-2-5)


ジョンのこのアルバムは、アメリカで公開中のドキュメンタリー映画「The U.S. vs. John Lennon」のサントラ盤である。悪名高いニクソン大統領により、アメリカを追放させられそうになっていたジョンと、アメリカ政府との闘いを記録したもので、日本で公開されたら是非見てみたい映画だ。そして東芝EMIの資料によると、このCDの売りは2曲の未発表トラックとある。ひとつは1971年のジョン・シンクレア・フリーダム・サリーでの「Attica State」のライブで、ハウリングが入りまくっているが、ジョンはアコースティック・セットで力強く歌っていた。1本のマリファナで懲役10年という見せしめ刑を食らったジョン・シンクレアを助けるためのコンサートに出演したジョンは、この71年にニューヨーク州アッティカ刑務所の暴動で州兵と警察の鎮圧による43人もの死者を出した悲劇を歌にして、当時の権力を批判した。こういった反戦・平和活動が、ニクソンにとっては憎くてしようがなかったのだろう。もう1曲は「How Do You Sleep(Instrumental Score)」、つまりカラオケである。これはただのカケオケとしかいいようがない。私にとってはこの2曲よりも、大きくミックスを変えた「Give Peace A Chance」と「Instant Karma」が収穫だった。とにかく音がクリアーだ。まず「Give Peace A Chance」はギターのストロークがはっきりと大きく聴こえ、すぐ近くでジョンが弾いているような感覚があって非常に新鮮だ。そして「Instant Karma」は、今までのミックスではヴォーカルとドラム以外は奥に引っ込んでしまい、こもったサウンドだったが、ピアノと手拍子が大きくミックスされ、特に手拍子が力強く、とてもパワフルでクリアーなサウンドになってこれも二重丸。この2曲のミックスのためだけにもこのCDを買う価値がある。なお、アルバムにはビートルズの「The Ballad Of John & Yoko」が入っているが、おそらくCDとしては初めて、最後のドラムを絞らず、正しいシングル・ヴァージョンになっていた。(佐野)
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