2006年9月24日日曜日

Radio VANDA第78回選曲リスト(2006/10/5)


Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


 

特集:Pete Anders & Vinnie Poncia




1. London's A Lonely Town...Dave Edmunds

2. Mister Lonely...Videls

3. Ringo,I Love You...Bonnie Jo Mason

4. Do I Love You...Ronettes

5. How Does It Feel...Ronettes

6. Stumble And Fall...Darlene Love

7. Strange Love...Darlene Love

8. The Girl From Greenwich Village...TradewindsRed Bird

9. Summertime Girl...Salt Water Taffy

10. Bad Misunderstanding...Tradewinds

11. Only When I'm Dreamin...Tradewinds

12. Marryin' Kind Of Love...Critters

13. There's Got To Be A Word...Innocence

14. All I Ask...Innocence

15. Your Show Is Over...Innocence

16. A Lifetime Lovin' You...Innocence

17. Sunrise Highway...Spurrlows

 

 





2006年9月1日金曜日

☆George Harrison:『Living In The Material World』(東芝EMI/TOCP70073)

 ジョージのこのアルバムは1973年にリリースされた実質上の2枚目のソロ・アルバムである。70年の前作『All Things Must Pass』がフィル・スペクターのプロデュースもあり、あまりに華麗であったため、スペクターが外れ(1曲を除く)その宗教色の強い内容もあって、あまり話題にされない存在だった。当時はシングル「Give Me Love」とアルバムがどちらも全米1位になったが、それは『All Things Must Pass』の残滓のように思われていたふしがある。ただ私にとってはこのアルバムはジョージのアルバムの中ではファイバリットのアルバムで、特にポップでスペクターばりのリフレインが心地よい「Don't Let Me Wait Too Long」は、ジョージの全ての曲の中でも最も好きな曲と言ってもいい名曲中の名曲だと思っている。また、しっとりとしたサウンドに美しいメロディが生きる「The Light Has Lighted The World」、「That Is All」やドラマティックな「 The Day The World Gets 'Round」も十分なクオリティがあり、軽快で絶妙なテンポ・チェンジを聴かせる「Give Me Love」と合わせて、このアルバムは名盤とされるべきアルバムなのだ。そして今回はボーナストラックに「Bangla Desh」のB面の「Deep Blue」と、「Give Me Love」のB面の「Miss O'Dell」の2曲のアルバム未収録曲が初CD化された。どちらもフォークタッチの軽快なナンバーで嬉しい収録だが、今、ベスト盤が廃盤でCDで聴けない「Bangla Desh」も入れるべきだったのに...ね。そしてカップリングのDVDだ。これ目当てで買った人が大半だろう。まず目玉は初めてディスク化される1991年の日本ツアーの「Give Me Love」だ。この日本ツアーはジョージが生涯2回しか行わなかったツアーのひとつ(1回だけの出演は除く)であり、この91年のエリック・クラプトンを帯同したツアーは日本だけで終わっており、私も東京ドームへ足を運んだが、今から考えると歴史的なコンサートだったんだなと感慨深いものがある。そのライブが初めてディスク化されるのだからこれは感激だ。そして残りはオーディオ・トラックになる。まずは「Miss O'Dell(Alternative Version)」で、あの笑いながら歌っているシングルと違ってきちんと歌っていて、こちらが正規ヴァージョンかと思ってしまう。もうひとつは「Sue Me,Sue You Blues(Acoustic Demo Version)」で、ドブロだけの弾き語りのデモで、シンプルな分逆にブルース色が強くなっていた。映像はトメでおまけ。(佐野)
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☆John Lennon:『The U.S. VS. John Lennon』(Capitol/09463-74912-2-5)


ジョンのこのアルバムは、アメリカで公開中のドキュメンタリー映画「The U.S. vs. John Lennon」のサントラ盤である。悪名高いニクソン大統領により、アメリカを追放させられそうになっていたジョンと、アメリカ政府との闘いを記録したもので、日本で公開されたら是非見てみたい映画だ。そして東芝EMIの資料によると、このCDの売りは2曲の未発表トラックとある。ひとつは1971年のジョン・シンクレア・フリーダム・サリーでの「Attica State」のライブで、ハウリングが入りまくっているが、ジョンはアコースティック・セットで力強く歌っていた。1本のマリファナで懲役10年という見せしめ刑を食らったジョン・シンクレアを助けるためのコンサートに出演したジョンは、この71年にニューヨーク州アッティカ刑務所の暴動で州兵と警察の鎮圧による43人もの死者を出した悲劇を歌にして、当時の権力を批判した。こういった反戦・平和活動が、ニクソンにとっては憎くてしようがなかったのだろう。もう1曲は「How Do You Sleep(Instrumental Score)」、つまりカラオケである。これはただのカケオケとしかいいようがない。私にとってはこの2曲よりも、大きくミックスを変えた「Give Peace A Chance」と「Instant Karma」が収穫だった。とにかく音がクリアーだ。まず「Give Peace A Chance」はギターのストロークがはっきりと大きく聴こえ、すぐ近くでジョンが弾いているような感覚があって非常に新鮮だ。そして「Instant Karma」は、今までのミックスではヴォーカルとドラム以外は奥に引っ込んでしまい、こもったサウンドだったが、ピアノと手拍子が大きくミックスされ、特に手拍子が力強く、とてもパワフルでクリアーなサウンドになってこれも二重丸。この2曲のミックスのためだけにもこのCDを買う価値がある。なお、アルバムにはビートルズの「The Ballad Of John & Yoko」が入っているが、おそらくCDとしては初めて、最後のドラムを絞らず、正しいシングル・ヴァージョンになっていた。(佐野)
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☆比嘉栄昇:『とうさんか』(テイチク/TECI1134)

ビギンのヴォーカリストである比嘉栄昇の初のソロアルバム。石垣島出身のビギンは、「涙そうそう」の大ヒットや、オモトタケオのアルバム・リリースで、今の島唄ブームを先導したリーダーだった。唄のみならず石垣島を中心とした南西諸島(八重山)の離島観光がブームになり、観光客はうなぎのぼり、東京では書店に行けば何種類も「石垣・宮古・西表」というタイトルの離島ガイドブックが書店の店頭に並んでいるし、沖縄料理店もいたるところに出来、私の自宅のある世田谷の上町(ボロ市以外は閑散としているボロ市通りで開店し、他の店の二の舞にならなければいいがと思っていたが、いつも客がいるので流行っている)にも出来た。テレビでは毎週のように沖縄の離島を取り上げている。今の八重山については、8月に書いた「Journey To Yaeyama Island 2006」のコラムをご覧いただきたいが、ともかく観光客が多くなっていて、昔と言っても8年前だが、その頃と比べても隔世の感がある。ましてや石垣島に生まれ育った比嘉にとって、この変化の大きさはいかばかりだろう。東京から大型ジェットを飛ばせられる新空港の建設も始まり、本土からの資本で観光ホテルや移住者向け住宅が次々と作られ、土地の値段はバブルそのもの、それまで坪数千円の土地が10万円、新空港ができたあかつきには25万に値上がりするだとうと報じているテレビがあった。あの素晴らしい自然に囲まれた八重山が、ハイヒールで東京からそのまま乗り込んでくる連中にスポイルされる、豪華ホテルの別世界を島の中に作ってしまった小浜島のように他の島も変わっていってしまうのではないか、と東京に住む私ですら思ってしまう。このアルバムからは石垣島限定の「八重のふるさと」、宮古島限定の「アララガマまたワイド」、沖縄本島限定の「ティダナダ」と、3枚のシングルがリリースされた。アルバムのトップであり、シングル化もされた「八重のふるさと」では「さよなら八重のふるさと」と、石垣島にさよならを告げている。もちろん決別するのではない。今までの八重山の風景に、島で生まれ育った人間だからこそ、「さよなら」を言っておかないといけないと比嘉は語る。そしてさらに感銘を受けたのは、このアルバムに琉球音階や三線を使わなかった理由だ。比嘉は語る。「近年は島唄と呼ばれるような新しい沖縄のうたが湯水のごとく生み出されているのでそれについては満足しているのですが、三線や琉球音階といわれているメロディーは、時として強すぎる個性のため、旅行先の沖縄で聞いたら良かったのに、地元に帰ったらどうも...となる事があります。石垣島生まれの僕でさえたまに東京でそんな気分になります。ですからあえて今回は先人からいただいた宝物をそっと封印し、平成18年の島唄ではない 島のうたを作りたかったのです」。さすがだ。私ももう7回も離島へ足を運んだ離島ファンであり、向こうの店や空港で聴こえる沖縄民謡は本当に素敵だし、お茶といえばサンピン茶(ジャスミン茶)と、すっかり島に同化してしまう。ところが東京へ戻ると、どこかしっくりこない。だから東京ではほとんど聴くことがなかった。(サンピン茶も飲まないね)俺って本当はエセ?なんて密かに思っていたが、比嘉の言葉を聴いて、やっぱりそうなんだと、とても安心できた。こういうトラディショナルなものは原理主義のようになってしまう人が多い中、比嘉、そしてビギンの言葉はいつも自然体で、心を打つ。だから大好きだ。前置きが非常に長くなってしまったが、そういう訳で、このアルバムに収められた8曲は、マイナー調のメロディーをベースにアコースティック・ギターとピアノを生かしたサウンド、萩田光雄の見事なストリングスアレンジによって、宝石のように美しい歌が生まれた。石垣島の地名を織り込みながら島からの旅立ちを歌う「八重のふるさと」、自分の子供の卒園式を通していつか巣立っていくその日を描いた「まえの日」、これから一緒に長い時間を過ごしていく新しく生まれた夫婦を描いた「宝石箱」と、あまりに美しい歌が続く。じっくりと、そして長く聴き続けるアルバムだ。(佐野)
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☆Michele:『Saturn Rings』(Fallout/FOCD2003)

これもまた「ソフトロック A to Z」で紹介していた盤なのに、レビューが遅くなってしまった。インターネットだけだと「出ているのに気づかない」という見落としがあるから怖い。このミシェルとは、ボールルーム、サジタリアスなどで御馴染みのミシェル・オマリーのことで、彼女のおそらく唯一のソロ・アルバムである。ボールルームでカート・ベッチャーと同じグループのメンバーだったこともあり、アルバム全11曲中7曲がカートの作品で注目された。ただし、「Would You Like To Go」がサジタリアスのアルバムではカートとゲイリー・アレクサンダーの共作になっているのに本作ではボビー・ジェイムソンの作品になっており、また「Songs To A Magic Frog」もサジタリアスではカートとミシェルの共作なのにここではミシェルの単独作とクレジットされているため、アルバム・クレジットを見るとカートの曲は5曲に減っている。サウンドはフォークで、ハーモニーがなく、またアシッド色が強い曲もあるので、ソフトロックを期待していると、ちょっとガッカリさせられる。だからこのアルバムは前述の「ソフトロックA to Z」では、カート・ベッチャーのワークスとしてしか紹介していない。このアルバムだけで聴くことが出来るカートの3曲に期待が集まるが、基本的にカートは作曲に秀でているわけではないので、マイナーからメジャーに変わるサビの展開が美しい「Misty Mirage」が唯一の収穫かな。しかし、このFalloutというレーベル、トミー・ロウのアルバム同様、許諾に関する文やレーベルの住所が一切なく、本当にライセンス商品なのかな?(佐野)
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☆Fun & Games:『Elephant Candy』(Rev-Ola/CRREV121)

イエローバルーンを作る出したゲイリー・ゼクリーの次のプロジェクトとして、10年前の「ソフトロックA to Z」で取り上げ、いち早くプッシュしていたのに、CD化に気づかず、1年も経ってしまい間抜けなレビューになってしまった。しかし紹介しない訳にはいかなだろう。このアルバムのプロデューサーであるゲイリー・ゼクリーは、全11曲中7曲を作曲し、まさにソロ・プロジェクトに近いものになった。典型的なバブルガム・タイプの曲もあるが、ハープシコードをフィーチャーしたバッキングにコーラスというソフトロック・タイプの曲が光り、全体的に憂いを帯びているのが特徴。「Topanga Canyon Road」や「Close To Camel」のくすんだ美しさが素晴らしい。シングル・カットされたものはシングル・ミックスも収録されたが、この中にはアルバム未収録のゲイリー・ゼクリー作品「We」も収録された。雄大なメロディとサウンドを持つ快作だが、ミックスがおかしい。バッキングのギターが非常に大きくミックスされ、ヴォーカルすら阻害している。何でこんなミックスが入ってしまったのか、いい曲だけに残念だ。(佐野)
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☆Tommy Roe:『It's Now Winter's Day』(Fallout/FOCD2016)


最近、というかここ何年かは、輸入盤を直接、店舗で買うことはほとんどなくなっている。というのも、インターネットがあるからだ。1500円以上は送料無料のネット通販は、いわば購入に費用も時間もまったくかからないことを意味している。仕事が忙しい中、時間をかけ、交通費をかけて大規模輸入盤店に行くメリットはほとんどない。Web VANDARadio VANDAのため(VANDA本誌もなかなか出せない状況だが、基本的にやりたいネタは全てやってしまったため、特に出す必要にかられていない事が大きい)に、リイシュー盤には目を光らせていないといけないのだが、どうしてもネットでは見落としが出てしまう。このトミー・ロウの名盤もその見落としのひとつだ。このアルバムが名盤だと書いたのは、間違いなくVANDAの「ソフト・ロック A to Z」が最初だったのだが、それから10年経ってようやくこのアルバムにもリイシューの手が及んだ。何度も何度も紹介文を書いているので、内容に関してくだくだとは書かないが、キモはヴォーカル・アレンジメントを担当したカート・ベッチャーのマッドなコーラス・ワークにある。コーラスはミレニウム、サジタリアス、ボールルームのメンバー達なので、その実力は折り紙つき。カートのコーラス・ワークは時にトミー・ロウのヴォーカルを食うくらいで、バックコーラスの域を超えてしまっている。しかしトミー・ロウも負けてはしない。トミー・ロウのソングライティグも頂点を迎えていて、ポップでソフトロック・タイプのものからアグレッシヴなロック・ナンバーまで自在に書き分けていた。この2人の才能の頂点で生まれたのが、この奇跡のようなポップ・サイケ・アルバムだったのだ。このアルバムを持っていない人は、購入する義務がある。持っていない人間はポップ・ファンとは言えないね。ただしこのレーベル、Micheleと、ハーフ・オフシャルかも(佐野)
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☆Various:『Pete Anders & Vince Poncia Masterworks』(Brill Tone/APW888)

出ました!貴重な未発表音源をガンガン紹介してくれる我らがBrill Toneレーベルの最新作は、なんとアンダース&ポンシアだった。やったね!Radio VANDAで特集する前に入手しておきたかったが、収録が終わったあと、プロデューサー氏が「佐野さん、これもうお持ちですよね?」と見せてくれたのがこのCD、もう後の祭り...。このBrill Toneはかなり怪しげなのだが、大手の輸入盤店でも置いてくれるので助かる。久々、その足でショップまで買いに行ってしまった。曲は1961年から67年までのアンダース&ポンシアのワークスで、2枚組のCD64曲が収録されていた。すでにリイシュー済の音源は、Tradewinds,Inncence,Videls,Treasures,Pete Anders,Anders'n'Ponciaで、約半数が御馴染みの音源だ。ただRed Bird時代のTradewindsはアナログでリイシューされていたが、CD化は初めてかな?ディスク1で、まず耳に止まったのは、スローでとてもシンプルなアレンジの「New York's A Lonely Town」のデモだ。フィレス時代に、この曲を出して欲しいとフィル・スペクターに頼んで断られたというエピソードがあるが、これがその時のデモという可能性もあるな。そして圧巻はPete & Vinnie名義などで録音された未発表曲が14曲も入ったことだ。そして未CD化のVince Parelle名義(Poncia)名義のシングルとPete Anders名義のシングル4曲も収められた。62年から63年の録音は、いかにもオールディーズだが、64年の未発表曲「Summer In The South」はゴージャスなコード進行を持つ洒落た佳曲だったし、63年の未発表「Understand Me」は甘酸っぱいメロディが魅力的で、これも出来がいい。また62年のPete Andersのシングル「Remember Me」は流れるようなオールディーズ・ポップスで心地良く、いくつか収穫があった。そしてディスク2ではInnocenceの「I Don't Wanna Be Around」のデモを聴くことができた。シンプルなテイクだが貴重だ。さらに64年に録音されたTradewindsの未発表曲4曲が入ったが、これはいかにもボツというレベル。それよりも64年のLovelitesに書いた未発表曲「He's My Eddie Baby」の方が、サビに工夫があり、愛らしい出来だった。(佐野 

☆ザ・クロマニヨンズ:『タリホー』(BMGジャパン/BVCR19982/3)

今年、嬉しいことと言えばまずWBCで日本が優勝したことだ。そして早稲田実業高校が夏の甲子園で優勝したこと。早実は子供の高校とは従兄弟のような関係で入学は辞退したが、ユニフォームは袖のエンブレム以外まったく同じ、それはもう熱心に応援した。そして最終回になると最速のスピードを出す斉藤君の投球には、久々にかつての野球少年の血が騒いだ。スコアブックを付けたり、チャンスになるとそのシーンのラジオを録音し結果が出れば後で何度も聞いたり、野球博物館へ行って成績を書き写してきてノートに付けていたり、買った日のスポーツ新聞を全部保存しておく、優勝特別号や選手の別冊の特集号は全部買う(今年もWBCと早実は買ったな)、そして実際に球場に足を運んで応援する(多いときは年間で30回くらい後楽園球場へ行っていた。ちなみに東京ドームの巨人戦には一度も行っていない)とまあ、私は音楽や、VANDAの前にやっていたマンガとアニメーションの人間だと思っている人が大半だと思うが、実は巨人が負けると、悔しくて飯も喉に通らない熱狂的な巨人ファンだったのだ。東京生まれの東京育ち、巨人ファンの父親(祖母も晩年熱烈な巨人ファンになった)のもとで育って、巨人ファンになるのが当然だと思っていた。読売ジャイアンツではなく、東京ジャイアンツのファンだった。でもどうして過去形かというと、今は巨人戦を見ることはなく、どういう成績かもよく知らない程度になってしまった。弱いから、ということではない。だいたい、私が巨人を熱心に応援しだいたのはV9の年からで(高校をサボって日本シリーズのV9の優勝決定の瞬間を後楽園球場で見た。あの時はペナントレースが最終戦で勝った方が優勝という際どさで、それで応援しはじめた)、以降の巨人はちっとも強くない。日本シリーズだって負け越している。長嶋と王がいないから?いや、それだけじゃないんだ。華がない?確かにそうだけど、つまらないから。心をゆさぶる何かがないから。弱くてもひたすら巨人を応援していた父親が亡くなってから、一緒に喜びを分かち合う相手もいなくなり、巨人ファンでいる必要もなくなってしまった。しかし、他のチームのファンになる気にはならないので、プロ野球自体を見なくなっていた。大リーグもさして興味がない。WBC以降、イチローは好きになったが、王監督の要請に応じなかった松井にはガッカリして、関心がなくなった...
とまあ、関係ない話をだらだらと書いてしまったが、話が野球に触れた瞬間、思わず書いてしまったしだい。はじめてこの手の話題を書いたので許されよ。ブログになってしまったが。
でも関係ない訳ではない。本来書こうとしたのはWBCと早稲田実業の優勝も嬉しかったけど、同じくらい嬉しかったのが、ヒロトとマーシーが三度一緒になって新しいバンド、クロマニヨンズを結成したことだ。ハイロウズの解散が、突然で、理由も一切語られず、ヒロトとマーシーは仲たがいしてしまったのかという噂もあったからだ。ブルーハーツ時代からの大ファンなので、どういう風になっていくのか心配していた。ただ今年もらったマーシーの年賀状には「ストーンズのコンサート、楽しみだね!」といつもどおりの一ロックファンとしてのコメントが書かれていたので、何だかすべてうまく行きそうな気もしていた。私自身は年賀状に解散のことは怖くてかけなかった。そしてついにクロマニヨンズのCD&DVDが届いた。ヒロト作の「タリホー」は、ヒロトらしい平易な言葉を使いながら奥が深い哲学的な歌詞が素晴らしいカッコいいストレートなロックナンバーで、まずは一安心。続くヒロトの「弾丸ロック」は、今度もヒロトらしい特に意味はないけれど勢いを感じる歌詞のこれまたストレートでシンプルなロックナンバーだった。そして最後はマーシーの「クロマニヨン・ストンプ」。これがメチャクチャカッコいい!前の2曲に勝る強烈なビートを持つロックナンバーで、マーシーらしい、はき捨てるようなべらんめえ調の歌詞がさらに曲に力を与えている。ヒロトの歌にマーシーのカウンターのシャウトのコーラスが入ると、それはロック史上最強のサウンドになる。ロバート・プラントだって、ジョン・レノンだって敵わないぜ!この原稿を書きながらも何度も何度も聴いてしまった超カッコいいロックナンバーだった。このCD、ショップで手にとっても、帯には何のコピーもなく、付録のDVDには二人の姿はまったく映っていない。いやー、気をもたせるカッコいい演出だ。このDVD、外人の間抜けな「博士と助手」のコンビが、ジャングルの中を探検していると、何気なく「クロマニヨン」がカットに写りこんでいるというもの。「クロマニヨン」といってもただの人形なのだが、気を持たせる演出が面白く、最後は「クロマニヨン」の存在に二人が気づいたところで終わっている。歌も一切なく、まさに予告編、これも面白いなあ。1025日のアルバムがいまから楽しみだ。(佐野)
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