ソニーより、紙ジャケの「ソフト・ロック・ペイパー・スリーヴ・シリーズ」と題されたアルバムが、まず3月に7タイトルリリースされた。お馴染みの盤のリイシューが多く、初CD化のものは2枚だけだが、ボーナス・トラックに付加価値を持たせている盤もあり、細かいチェックが必要だ。何といっても目玉は初CD化のゴールドブライアーズの2枚だ。ゴールドブライアーズは、カート・ベッチャーが1963年に結成したフォーク・グループで、2枚のアルバムが作られたが、その両方にアルバム未収録シングル1枚を加え、コンプリートにリイシューされたのは朗報である。内容的にはソフト・ロックというよりフォークで、高揚感は得られないが、そのハーモニーのマジックは既に萌芽しており、またセカンド・アルバム「Straight Ahead」では、もうフォークの範疇を越えた洒落たソフト・ロック系のナンバーも幾つか登場した。カート・ベッチャーのルーツを探る作品として、歴史的な価値はある。ただしミレニウムのようなレベルのものを期待してはいけない。そのミレニウム、加えてサジタリアスのCDもリリースされたが、またかとお思いの方も多いと思う。まずサジタリアスの「Present Tense」だが、今回は初CD化の曲としてゲイリー・アッシャーが単独で作ったシングルB面用のインスト3曲(チープなピンク・フロイド風)も収められ、モノ・シングル・ヴァージョンが3曲加わった。ミレニウムの「Begin」にも1曲新しくモノ・シングル・ヴァージョンが入ったので、コレクターのみ要チェックである。一般の人にはまったく不要なボーナス・トラックだが。ブルース・ジョンストンは、これも御馴染みの「Going Public」がリリースされた。大甘の佳作だが、今までのリイシューの中、最後の"Pipeline"が日本盤と米盤でそれぞれオリジナルのものと12inchエクステンデッド・ディスコ・ヴァージョンが交互に収められていたのだが、今回はシングル・ヴァージョンも加えどちらも収められたのはリーズナブル。このほかはチャド&ジェレミーの佳作「Of Cabbages And Kings」と「The Ark」がリリースされたが、どちらも初CD化ではないものの、モノ・シングル・ヴァージョンを追加した。特に違うテイクはないので、まだ持っていない人のみお勧めである。(佐野)
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