既に発売中のものばかりだが、冨田勲の貴重な音源が入った DVD と CD が発売されているので、まとめて紹介しよう。
まずは何と言っても『新宝島』である。まずこのアニメを見ることなどほとんどできなかった幻の作品だったからだ。1963年8月に虫プロとフジテレビの間で全26回の1時間番組として仮契約された「虫プロランド」は、制作体制が行き詰まり、翌年4月には制作中止となってしまう。既に完成していた「新宝島」のみ、65年1月に正月特番として放送されたが、それが唯一のオンエアーだった。
このアニメは手塚のデビュー作として知られる同名のマンガとは無関係の、スチーブンソンの「宝島」を動物キャラで擬人化したもの。
昔、私は『漫画の手帖』というミニコミの編集人を10年間くらいやっていたが、その時にまだブレイク寸前の宮崎駿にインタビューしたことがあった。(つてがないので、その当時所属していた会社にいきなり電話、本人に直接インタビューを依頼するというとんでもない行動が実を結んだ訳だが、快く応じてくれたいい人だった) その時に宮崎駿はこの「新宝島」に厳しい評価をしていたので、内容的には期待していなかったが、意外と面白かったというのが感想。
動物キャラの当て方は的確だし、欲望が沸き立つと4ツ足になって獣になってしまうという設定は手塚らしい。しかい何よりも冨田の音楽がよかった。ファンファーレのような勇壮な短いテーマをアレンジして展開していくのだが、冨田の音楽は重厚になりがちな映画よりも、こういうアニメの方が軽快で分かりやすく爽快でいい。話のエンディングは宮崎駿が言っていたようにちょっと拍子抜けだが、1時間楽しめたし、この1作のためにこの DVD ボックスを買う必要がある。
続いて虫プロの「アニメ主題歌集」の DVD だが、ここには冨田が音楽を担当した「ジャングル大帝」、「ジャングル大帝進めレオ」、「リボンの騎士」、「どろろ」、「千夜一夜物語」、「クレオパトラ」、そして「新宝島」のありとあらゆるオープニング、エンディング( TV シリーズ)が収められている超マニアックなもの。
歌詞のあるもの、ハミングだけのものがある「ジャングル大帝」オープニング、歌詞のあるもの、インスト版、さらに歌詞とメロディの一部が異なるオープニングがある「リボンの騎士」など分かりやすいものはベーシック・モード。
「ジャングル大帝」のオープニング後半でトランペットが被る、被らない、「進めレオ」でオープニングの字体が違う、「カルピスまんが劇場」の文字が変化して「どろろ」の文字になるオープニング冒頭 (信じられない!) など全 11 作品 65 ヴァージョンはマニアック・モードで楽しめる。
なお、この「新宝島」はほんの一部だけなので、これでは冨田の音楽は味わえない。念のため。
次に「ジャングル大帝ヒット・パレード」の CD へ移ろう。これは1966年7月にリリースされた LP の初 CD 化である。曲はTV用のサントラの歌唱者をそのまま使ってステレオで再録音したものなので、ちょっとイメージが違うものになっている。
「星になったママ」や「たまごの赤ちゃん」、「レオのうた」はどうにも馴染めないが、TVよりはるかに壮大な「ジャングル大帝」や、「ライヤのうた」は逆にこちらの方が出来がいい。
このための書き下ろしとも言えるトランペットが泣くエキゾチックな「砂漠の嵐」は冨田ファンなら是非持っていたい1曲だろう。こういう CD は、いつ再びリイシューされるか分からないからすぐに購入しておこう。
最後にアニメではないが、冨田が音楽を担当した「しなの川」が、由美かおるプレミアム・コレクションとして DVD 化されているので紹介しておこう。
ジャケットはこういうサイトなので販売用の肝心なところをうまく隠してくれるシースルー・ケースのまま掲載しておくが、もう1作の「同棲時代/今日子と次郎」のジャケットと同様に、由美かおるのヌードが拝めるというのが売りで、購買層のほとんどが由美かおるのファンだろう。
冨田の音楽目当てで買う人は少ないだろうが、ビデオ化もされていないのでこういう機会でないと入手困難な映画である。曲は男性コーラスの入った重厚なもので、いかにも映画の時の冨田。エンディングでは由美かおるの歌う「しなの川」が流れるが、これは冨田の曲ではないので要注意である。
なお、カップリングの「同棲時代」にはひし美ゆり子のお宝シーンがあるので、こちらの方が注目である。アンヌ隊員ファンよ、急げ!(佐野)
まずは何と言っても『新宝島』である。まずこのアニメを見ることなどほとんどできなかった幻の作品だったからだ。1963年8月に虫プロとフジテレビの間で全26回の1時間番組として仮契約された「虫プロランド」は、制作体制が行き詰まり、翌年4月には制作中止となってしまう。既に完成していた「新宝島」のみ、65年1月に正月特番として放送されたが、それが唯一のオンエアーだった。
このアニメは手塚のデビュー作として知られる同名のマンガとは無関係の、スチーブンソンの「宝島」を動物キャラで擬人化したもの。
昔、私は『漫画の手帖』というミニコミの編集人を10年間くらいやっていたが、その時にまだブレイク寸前の宮崎駿にインタビューしたことがあった。(つてがないので、その当時所属していた会社にいきなり電話、本人に直接インタビューを依頼するというとんでもない行動が実を結んだ訳だが、快く応じてくれたいい人だった) その時に宮崎駿はこの「新宝島」に厳しい評価をしていたので、内容的には期待していなかったが、意外と面白かったというのが感想。
動物キャラの当て方は的確だし、欲望が沸き立つと4ツ足になって獣になってしまうという設定は手塚らしい。しかい何よりも冨田の音楽がよかった。ファンファーレのような勇壮な短いテーマをアレンジして展開していくのだが、冨田の音楽は重厚になりがちな映画よりも、こういうアニメの方が軽快で分かりやすく爽快でいい。話のエンディングは宮崎駿が言っていたようにちょっと拍子抜けだが、1時間楽しめたし、この1作のためにこの DVD ボックスを買う必要がある。
続いて虫プロの「アニメ主題歌集」の DVD だが、ここには冨田が音楽を担当した「ジャングル大帝」、「ジャングル大帝進めレオ」、「リボンの騎士」、「どろろ」、「千夜一夜物語」、「クレオパトラ」、そして「新宝島」のありとあらゆるオープニング、エンディング( TV シリーズ)が収められている超マニアックなもの。
歌詞のあるもの、ハミングだけのものがある「ジャングル大帝」オープニング、歌詞のあるもの、インスト版、さらに歌詞とメロディの一部が異なるオープニングがある「リボンの騎士」など分かりやすいものはベーシック・モード。
「ジャングル大帝」のオープニング後半でトランペットが被る、被らない、「進めレオ」でオープニングの字体が違う、「カルピスまんが劇場」の文字が変化して「どろろ」の文字になるオープニング冒頭 (信じられない!) など全 11 作品 65 ヴァージョンはマニアック・モードで楽しめる。
なお、この「新宝島」はほんの一部だけなので、これでは冨田の音楽は味わえない。念のため。
次に「ジャングル大帝ヒット・パレード」の CD へ移ろう。これは1966年7月にリリースされた LP の初 CD 化である。曲はTV用のサントラの歌唱者をそのまま使ってステレオで再録音したものなので、ちょっとイメージが違うものになっている。
「星になったママ」や「たまごの赤ちゃん」、「レオのうた」はどうにも馴染めないが、TVよりはるかに壮大な「ジャングル大帝」や、「ライヤのうた」は逆にこちらの方が出来がいい。
このための書き下ろしとも言えるトランペットが泣くエキゾチックな「砂漠の嵐」は冨田ファンなら是非持っていたい1曲だろう。こういう CD は、いつ再びリイシューされるか分からないからすぐに購入しておこう。
最後にアニメではないが、冨田が音楽を担当した「しなの川」が、由美かおるプレミアム・コレクションとして DVD 化されているので紹介しておこう。
ジャケットはこういうサイトなので販売用の肝心なところをうまく隠してくれるシースルー・ケースのまま掲載しておくが、もう1作の「同棲時代/今日子と次郎」のジャケットと同様に、由美かおるのヌードが拝めるというのが売りで、購買層のほとんどが由美かおるのファンだろう。
冨田の音楽目当てで買う人は少ないだろうが、ビデオ化もされていないのでこういう機会でないと入手困難な映画である。曲は男性コーラスの入った重厚なもので、いかにも映画の時の冨田。エンディングでは由美かおるの歌う「しなの川」が流れるが、これは冨田の曲ではないので要注意である。
なお、カップリングの「同棲時代」にはひし美ゆり子のお宝シーンがあるので、こちらの方が注目である。アンヌ隊員ファンよ、急げ!(佐野)