2004年4月2日金曜日

☆Paul Simon:『The Paul Simon Songbook』(Columbia/Legacy/90281)

ポール・サイモンが、65年7月にイギリスで3日間、1本のマイクの前でギター1本でオリジナルの12曲を弾き語りしたのが、このアルバムだった。
サイモン&ガーファンクルとしてのアルバムが1枚リリースされていたもののヒットには至らず、サイモンは書き溜めていたこれらの曲を、惜しげもなく披露し、アルバムはイギリスと日本だけで発売された。
それから39年、コレクターズ・アイテムと化していたこのアルバムが、ようやく CD 化され、誰でも容易に聴くことができるようになったことは、本当に嬉しい。
というのも、このアルバムの12曲は、 "The Sound Of Silence" I Am A Rock" , "April Come She Will" "He Was My Brother" , "Most Peculiar Man" , "Kathy's Song" , "Flower Never Bend With The Rainfall" , "Patterns" といった、サイモン&ガーファンクルの3枚目のアルバムまでの中核の曲ばかりであり、極めて重要な意味を持つソロ・アルバムだったからだ。
ギター弾き語りと言っても、そのクオリティは文句なしに高く、サイモンの曲作りの凄さを堪能できる。シンプルだからこそ、逆に心に響くものもあるのだ。さらにこのアルバムには2曲の、未発表トラックが収録されている。途中から足の先で拍子を取りながら歌う "I Am A Rock" 、アルバムでは12弦ギターだが、ここでは6弦ギターのため、ストロークやアタックが強調されている "A Chuch Is Burning" がそれで、大きな違いではないが、やはり外されて仕方のないテイクだったように思う。
ただ、惜しいことに、イギリス滞在中の録音であり、当時、オリオールレーベルからシングルカットされたオリジナル曲で、本作に未収録だった "Carlos Dominguez" は、今回も収録されなかった。
サイモンらしい歌詞と、漂う哀調が魅力の佳曲だっただけに、惜しいことだ。(佐野)
Paul Simon Songbook

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