2004年4月10日土曜日

carnival balloon:『songbird』(HAPPINESS RECORDS HRCD-023)


 アーシーなアメリカンロックをベースにしつつ、新たなセンスを振りまく魅力的なバンドを紹介したい。carnival balloonは男女4人組で、本作はデビュー・アルバムとなる。
 全てのメンバーが器用な演奏力を武器に様々なセッションに参加しているのに興味を惹かれるのだが、先ずドラマーの北山ゆう子は、目下VANDA編集部で人気急上昇中のLampの『恋人へ』に参加し、リード・ギターの内田はJETLAGのベーシストでもあり、初期のCymbalsのライヴではギターを弾いていたらしい。そんな達者なプレイヤー達からなるこのバンドの可能性に期待しない訳にいかないのだ。
 ヴォーカル&ギターの北山昌樹とヴォーカル&ベースの鈴木のセンスの異なる二人のソング・ライターの存在も注目に値する。

 初期スティーリー・ダンや70年代バーバンク・サウンドを思わせるラテン・テイストを加味したサウンドに、爽やかなヴォーカルとドライヴするリード・ギターが唸る冒頭の「カントリー・ロード」から引き込まれてしまうのだが、バリエイション豊富な楽曲群も彼らの魅力であろう。
 タイトルからBB5を意識させる「wouldn't it be nice!」はハワイアン・ソフトロック的なコーラスがアクセントになっており、「マヨネーズ・ストーリー」ではウッドストック~ベアズヴィル系SSWのサウンドをしていて侮れない。 
 個人的には後半の「dawn」~「サンディエゴ・サンセット」の流れも評価したい。アントニオ・アドルフォ&ブラズーカの2ndを彷彿させるサウンド・スケープによるパノラマ感が瑞々しく美しい。
 とにかくアメリカンロックだけにおさまらない懐の広さを感じさせる曲である。全体を通して聴き飽きない楽曲とサウンドは、多くのポップス・ファンに強くお薦め出来る作品といえる。 
(テキスト:ウチタカヒデ

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