音が出た瞬間、「あれ、これライヴ盤?」と思ってしまった。
約2年振りの本作は、大阪にてわずか数日間で録音されたらしい。ライブ・バンドのCDを聞いて「あれれ」となったり、またその逆のパターンも多い訳で。つまりは音をパッケージするというのはとても難しく、危険なことであるわけです。完成度を求めて何度も録り直すのか、はたまたノリを最優先に一発録りでいくのか…。
今回コンロスが選択したのは後者。これは大正解!
確かに演奏の粗いところも少々あるのだが、そんなの問題なし。ノリも勢いもそして何よりも、コンロスの楽しさをパッケージすることに大成功。
これ、勝手に“セミ・ライブ・アルバム”と呼ばせていただきます。
独特な響きのテナー・ギター(いい音だな)に、やんちゃなホーン隊(個人的にファン)、土っぽいリズム隊。人懐っこいヴォーカル。いいですねえ、コンロスの音は。実に人懐っこい。ルーツ音楽をやっているバンドは他にもたくさんあるけど、どこか取って付けたような、どこか借り物のように聞こえるものが少なくない。その点、コンロスは異国のリズムに、日本語が違和感なく乗っかっている。
「こういうのは何ていうジャンル?」いやいや、そんなことはどうでもいいのですよ。だってこれがカセットコンロスという音楽だから。
ゴジラのテーマを作曲した伊福部昭さんの言葉によると「アイヌの音楽は、言葉と音、そして踊りが一体になっていた」のだそうだ。それは祈りであり、祭りであり、感情の自然な表現だった。カラオケ用の歌?踊るためだけの音?機能食品?音・詩・踊、三つ揃えば尚楽しい。アイヌの音楽じゃないけど、コンロスはもはやコンロス印のルーツ音楽なのです。
そしてもう一つ、コンロスのライヴは夏の野外が最高らしい。今年は野外コンロスを観るチャンスがいっぱいあるらしい。
最後に、勝手ではありますが、今年の夏は日本全国「カプリソの夏」に決定!とさせていただきました。
(テキスト:ナカモトコイチロ / bonjour)
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