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2003年6月18日水曜日
Melting Holidays : 『Seven Favorites』 (sucre SCPN-8)
前作の『Cherry Wine』が21世紀型ソフトロックとして各方面で話題になり、海外でも注目されている男女二人組ユニットのセカンド・アルバムが早くも登場。
本作も打ち込みメインのサウンド・プロダクションであるが、ササキの職人技的な楽器配列は相変わらず巧みで、その音像はさらに深まったといえる。
又カトリーヌ・スパーク似のヴォーカリスト、ケイの描く歌詞も休日の幸福感と日常のメルヘンとが交差する、郊外型ファンシー娘の面目躍如を発揮。
そして今回のもう一つの話題は、前代未聞のトート・バック・メーカー「みつばちトート」とのコラボレーションで、"音楽もそのままトートに詰めて街に繰り出そう!"という訳だ。
肝心な曲で気になるのは先ず「Monsoon」。『Bali』の頃のワンダーミンツを彷彿させる、ヴァーチャルなエキゾティズムが彼らの新境地を切り開いた傑作。フックの空間処理等サウンドスケープのディテールも曲を演出する重要なエレメントとして機能している。
A&M系サウンドとクリエーション・レーベル系サウンドと一見相容れないエレメントがハイブリッドに溶け合って弾ける「Rainbow,Rainbow」もかなり気になる曲。 ありそうでなかった展開ではないだろうか。
「Holiday in a totebag」のソフロ・ボッサ感は、ジミー・ウエッブ&5th ディメンションを研究している成果が出ていて、フックから一旦下降して上がるライン等ツボを押さえて全く飽きさせない。 今後の課題としては、素晴らしい楽曲を風化させないためにも生楽器を上手く融合させ、サウンドのパレットにヒューマンな新色を加えるべきだろう。 因みにMelting Holidaysの二人は、9月発行予定のVANDA29号にも登場してくれるので、こちらもお楽しみに。
(テキスト:ウチタカヒデ)
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