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2003年5月7日水曜日
アン・サリー : 『day dream』 (BMG Funhouse/ BVCR-14008)
この作品との出会いは、3月末にある音楽誌の原稿依頼がきっかけであったが、もうここ最近の愛聴盤になってしまっている。70年代のロック、ポップス・ファンにも楽しんでもらえる作品として強くお薦めしたい。
アン・サリーはドクター(医療研究)を職業とする傍らで、ジャンルに囚われないシンガーとして活動しているユニークな逸材である。 2001年10月に『Voyage』でデビューし、今回この『day dream』と『moon dance』を同時リリースした。 2作とも基本的にカバー曲をアコースティック楽器によるアレンジで構成しており、内容も非常に近いテイストを持っているので、2枚組でリリースしても良かったのでは?と老婆心的な思いもしているのだが、選曲的に前者の方がより興味を引いたのでここで紹介しておきたい。
先ずは、ブルース・ジョンストンの最高傑作といえる「Disney Girls」(初演はビーチ・ボーイズ『Surf's Up』収録)、ここではマリア・マルダーを思わせる、ハイ・ピッチでの官能的なビブラートを随所に生かして聴き手を虜にする。 作者であるティム・ハーディンのオリジナルより、コリン・ブランストーンの『One Year』でのヴァージョンが有名になってしまった感の「Misty Roses」は、以前このコーナーでも紹介して、最近めきめき頭角を現している saigenji のギターとハーモニーをバックに情感溢れるボッサ・サウンドを展開している。 そしてこの作品の価値をより一層高めたのは、細野晴臣の隠れた名曲「三時の子守唄」を取り上げた事に尽きる。 心に響く名曲はいつの時代でも風化しない事を証明した好例といえよう。
(テキスト:ウチタカヒデ)
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