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2001年10月29日月曜日

☆Thelma Houston:『Sunshower』(Celeste/CMYK6154) 

このアルバムは "Don't Leave Me This Way" で知られるテルマ・ヒューストンのデビュー・アルバムとしてではなく、1曲を除く全ての曲を書き、プロデュースした若き天才ジム・ウェッブのワークスとして聴くべき傑作アルバムだ。ジム・ウェッブは67年にフィフス・ディメンションの "Up Up And Away" 68年にグレン・キャンベルの "By The Time I Get To Phoenix" 2年連続最優秀歌曲賞を受賞するが、それは彼が若干20歳の時だった。有り余る才能を持つジムは67年にフィフス・ディメンションの『The Magic Garden』を1曲を除いて自作で構成し、その芳醇なメロディ・サウンドによってこのアルバムを20世紀に残る名盤に仕上げていた。68年にはジムはリチャード・ハリスにドラマティクな "MacArthur Park" を書き米英で大ヒット、アルバムもジムのオリジナルが占める。そういった彼の絶頂期が続く69年に作られたのが本作である。まず冒頭の "Sunshower" でジムらしい巧みな転調を駆使した高度で美しいメロディが全開、度肝を抜かされる。そして早速、アルバムの最高傑作 "Everbody Gets To Go To The Moon" が登場する。アップテンポの高揚感に満ちた曲で、ハル・ブレインのドラミングも素晴らしい。その後でも "Didn't We" "Someone Is Standing Outside" という素晴らしいバラードが続く。メロディの芳醇さに加え、テルマ・ヒューストンの歌の旨さが、各曲をさらに魅力的なものにしている。(佐野)
Sunshower



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