ニノ・テンポ&エイプリル・スティーブンスの傑作アルバム『Sing The Great Songs』が初 CD 化された。このアルバムは全曲がスタンダード・ナンバー。これらの名曲にニノ・テンポが超一流のアレンジを施している。1曲目の "Tea For Two" でいきなり心を奪われるだろう。ラテンビートに乗った軽快なディオ・ハーモニー。なんてシャレたアレンジだ。次の "I'm Confessin' That I Love You" はアップテンポにアレンジされ、バックのハーモニカがいかにも楽しげだ。このハーモニカはニノ・テンポの十八番と言っていい。ボサにアレンジされた "All The Things You Are" は極上だ。曲の中間に出てくるエイプリルの色っぽい語りも十八番。 "Whispering" は自家薬籠中の出来で文句なし。ロックっぽくアレンジされた "Begin The Beguine" だが、それでいながらこの軽快さ、まさに職人芸と言ってもいいだろう。 "I Surrender Dear" も爽やかで心地よい。さて、このアルバムとのカップリングは1年前の63年にリリースされたデビュー・アルバム『Deep Purple』だ。大ヒットしたタイトル曲は、軽快なハーモニー、弾みような洒落たアレンジ、バックのハーモニカ、中間のエイプリルの語りと、すでにこの曲でニノ・テンポのサウンドは完成されていた。このアルバムもカバーばかりだが、ニノの卓抜したアレンジは十分に味わえるはず。4枚目の『All Strung Out』は随分前に CD 化されているので、残るは3枚目の『Hey Baby』のみ。このアルバムもいいので、なんとか CD 化して欲しいものだ。(佐野)
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