このアルバムは "Don't Leave Me This Way" で知られるテルマ・ヒューストンのデビュー・アルバムとしてではなく、1曲を除く全ての曲を書き、プロデュースした若き天才ジム・ウェッブのワークスとして聴くべき傑作アルバムだ。ジム・ウェッブは67年にフィフス・ディメンションの "Up Up And Away" 、68年にグレン・キャンベルの "By The Time I Get To Phoenix" で2年連続最優秀歌曲賞を受賞するが、それは彼が若干20歳の時だった。有り余る才能を持つジムは67年にフィフス・ディメンションの『The Magic Garden』を1曲を除いて自作で構成し、その芳醇なメロディ・サウンドによってこのアルバムを20世紀に残る名盤に仕上げていた。68年にはジムはリチャード・ハリスにドラマティクな "MacArthur Park" を書き米英で大ヒット、アルバムもジムのオリジナルが占める。そういった彼の絶頂期が続く69年に作られたのが本作である。まず冒頭の "Sunshower" でジムらしい巧みな転調を駆使した高度で美しいメロディが全開、度肝を抜かされる。そして早速、アルバムの最高傑作 "Everbody Gets To Go To The
Moon" が登場する。アップテンポの高揚感に満ちた曲で、ハル・ブレインのドラミングも素晴らしい。その後でも "Didn't We" や "Someone Is Standing Outside" という素晴らしいバラードが続く。メロディの芳醇さに加え、テルマ・ヒューストンの歌の旨さが、各曲をさらに魅力的なものにしている。(佐野)
2001年10月29日月曜日
2001年10月26日金曜日
☆Harpers Bizarre:『Feelin' Groovy』(Sundazed/6176)☆Harpers Bizarre:『Anything Goes』(Sundazed/6177)☆Harpers Bizarre:『The Secret Life Of Harpers Bizarre』(Sundazed/6178)☆Harpers Bizarre:『4』(Sundazed/6179)
未収録曲を網羅して Sundazed よりリリースされた。メンバーのテッド・テンプルマン、プロデューサーのレニー・ワロンカー、アレンジャーのレオン・ラッセル、ペリー・ボトキンJr.、ランディ・ニューマン、ボブ・トンプソンらの超一流ミュージシャンが総力を挙げて作り出した一大プロジェクトが、このハーパース・ビザールだった。まるで優れたハリウッド映画を次々と見た時のような充実感、ゴージャスで、オールドタイミーで、ドリーミーなハーパース・ビザールのサウンドは、ソフトロックとしても最高レベルのものとだった。この4枚のアルバム、私が最も好きなのが1枚目。以降2、3、4と順につながる。ただ最高峰は3枚目、以降 2 or 1、4というのが、一般的だろう。内容に関しては言い尽くされた感があるのでこの場では書かない。ボーナストラックのみ紹介させていただくが、まず1枚目の "Bye,Bye,Bye" , "Lost My Love Today" はシングル B 面ながら、ハーパースのイメージとはまったく違うフォークロックであり、これは前身のティキス時代の録音だった。2枚目の "Cotton Candy Sandman" はシングルヴァージョン、爽やかなソフトロックの傑作ナンバーで、ハーモニーもドリーミー。 "Malibu U" はディキシースタイルの楽しいナンバーだ。3枚目の "Both Sides Now" はトーケンズなどでも知られるジョニ・ミッチェル作のナンバーだが、歌がユニゾンではなくコーラスが付いていればさらに良かった。 "Small Talk" はタートルズで有名なボナー=ゴードン作の傑作で、高度な曲の構成が素晴らしい。4枚目はニルソン作の "Poly High" 、徐々に盛り上がっていく構成が聴きもの。 "If We Ever Needed The Lord Before" はいかにも4枚目のサウンドで、ドリーミーではなくなったがその分ややメリハリが効いている。(佐野)
2001年10月23日火曜日
Radio VANDA 第 19 回選曲リスト(2001/11/3)
Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。
Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー)の STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。
日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 の1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。
佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。
Four Seasons特集
Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー)の STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。
日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 の1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。
佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。
Four Seasons特集
1.
Dawn ('64)
2. Spanish Lace ('62)...Goneからのデビューシングル
3. Rag Doll ('64)
4. Danger ('64)
5. Huggin' My Pillow ('64)
6. An Angel Cried ('64)
7. Bye Bye Baby ('65)
8. Let's Hang On ('65)
9. I've Got You Under My Skin ('66))
10. I'm Gonna Change ('67)
11. Love Isn't Here ('72)
12. The Night ('72)
13. Hickory ('74)
14. A New Beginning(Prelude) ('72)
15. With My Eyes Wide Open ('74)
2. Spanish Lace ('62)...Goneからのデビューシングル
3. Rag Doll ('64)
4. Danger ('64)
5. Huggin' My Pillow ('64)
6. An Angel Cried ('64)
7. Bye Bye Baby ('65)
8. Let's Hang On ('65)
9. I've Got You Under My Skin ('66))
10. I'm Gonna Change ('67)
11. Love Isn't Here ('72)
12. The Night ('72)
13. Hickory ('74)
14. A New Beginning(Prelude) ('72)
15. With My Eyes Wide Open ('74)
2001年10月17日水曜日
☆Flower Pot Men:『A Walk In The Sky』(RPM/229)
ジョン・カーター=ケン・ルイスが作曲・プロデュース、そしてヴォーカルまで取ったフラワーポットメンは、トニー・バロウズ、ピート・ネルソンといった優れたヴォーカリストを輩出し、60年代イギリスの最高峰のヴォーカル・グループと言ってかまわないだろう。シングル中心に集めた『Let's Go To San Francisco』、未発表アルバム2枚を1枚にした『Peace Album/Past Imperfect』というRepertoireの2枚のアルバムで曲はほぼ網羅されたが、本CD 最後の "E=MC2/Musha Hada" は初登場。10分を超える大作で、ホリーズのような歌い出しが中間では幻想的に変わり、その後はクラシック風で、エンディングはお経のような声と、大変な力作だった。そしてさらにその後はパソコン用の映像 CD-ROMになり、67年の "Let's Go To San Francisco" のTVショーでのライブが登場する。トニー・バロウズを中心とした4人組のフラワーポットメンの映像を実際に見ることが出来るとは。動くトニー・バロウズの映像に感動していたのは私だけではあるまい。(佐野)
☆Nino Tempo & April Stevens:『Deep Purple&Sing The Great Songs』(Collectable/6888)
ニノ・テンポ&エイプリル・スティーブンスの傑作アルバム『Sing The Great Songs』が初 CD 化された。このアルバムは全曲がスタンダード・ナンバー。これらの名曲にニノ・テンポが超一流のアレンジを施している。1曲目の "Tea For Two" でいきなり心を奪われるだろう。ラテンビートに乗った軽快なディオ・ハーモニー。なんてシャレたアレンジだ。次の "I'm Confessin' That I Love You" はアップテンポにアレンジされ、バックのハーモニカがいかにも楽しげだ。このハーモニカはニノ・テンポの十八番と言っていい。ボサにアレンジされた "All The Things You Are" は極上だ。曲の中間に出てくるエイプリルの色っぽい語りも十八番。 "Whispering" は自家薬籠中の出来で文句なし。ロックっぽくアレンジされた "Begin The Beguine" だが、それでいながらこの軽快さ、まさに職人芸と言ってもいいだろう。 "I Surrender Dear" も爽やかで心地よい。さて、このアルバムとのカップリングは1年前の63年にリリースされたデビュー・アルバム『Deep Purple』だ。大ヒットしたタイトル曲は、軽快なハーモニー、弾みような洒落たアレンジ、バックのハーモニカ、中間のエイプリルの語りと、すでにこの曲でニノ・テンポのサウンドは完成されていた。このアルバムもカバーばかりだが、ニノの卓抜したアレンジは十分に味わえるはず。4枚目の『All Strung Out』は随分前に CD 化されているので、残るは3枚目の『Hey Baby』のみ。このアルバムもいいので、なんとか CD 化して欲しいものだ。(佐野)
☆Rascals:『All I Really Need: The Atlantic Recordings (1965-1971) 』(Rhino Handmade)
1998年に日本では1~7枚目のアルバム+シングル・ヴァージョン8曲のボックス・セット『The Rascals Atlantic Years』を、山下達郎氏の監修でリリースしているので、基本的に同じ内容の本ボックスは目を引かないかもしれない。ただ制作はRhino Handmade。こだわりが半端じゃない。というのはシングル・ヴァージョンが38曲と30曲も増えた。この中には前者には漏れていたハーモニカのメロディが違う「Groovin’(Single Version)」も初収録。頭に5秒SEが入る「It’s Wonderful(Mono Single Version)」と、「Groovin’(Italian Version)」「Groovin’(Spanish Version)」のシングルももちろん前BOXと同じく収録。ただし前者の「A Beautiful Morning(Italian Version)」は落ちてしまった。値段も高いのでコンプリートを目指す人向け。ただしステレオ盤しかない時代にシングル8曲にモノミックスが収録されたので印象が大分違うのでここは注目。「Of Course (Mono Single Version)」「People Got to Be Free (Mono Single Version)」「A Ray of Hope (Mono Single Version)」「Any Dance’ll Do (Mono Single Version)」「Heaven (Mono Single Version)」「Baby I’m Blue (Mono Single Version)」「I Believe (Mono Single Version)」「Hold On (Mono Single Version)」(佐野)
2001年10月13日土曜日
☆Al Jardine,Family & Friends:『Live In Las Vegas』(HV100)
ビーチボーイズを脱退したアル・ジャーディンが、マットとアダムという二人の息子と、ブライアン・ウィルソンの二人の娘、ウィルソンズことカーニーとウェンディを中核に作ったグループが、このアル・ジャーディン、ファミリー&フレンズだ。マイク・ラブとの対立などが原因で別れたため、それまでのビーチ・ボーイズのバッキング・クルー、ジミー・ヒンチやエド・カーターもこちらのメンバーになった。いくら脱退したと言っても、ビーチボーイズを愛するアルなので、全27曲中26曲がビーチボーイズ・ナンバーであり、原曲に忠実なアレンジ、見事なハーモニーで、実に安定した仕上がりになっている。最近のブライアンのライブでのバッキングが凄いのでそれ以上ということはないが、ビーチボーイズのライブより明らかにクオリティが高い。そしてリード・ヴォーカリストとしてのアルの声の良さが持ち歌の "Sloop John B." や "Help Me Rhonda" などを聴けば際立っており、カール亡き後のビーチボーイズにアルの声がないのはまさに致命的と言えよう。個人的に好きなのは "Hawaii" と
"Catch A Wave" 。ウィルソンズがリードを取るナンバーも結構あり、特にカーニーが歌う "Darlin'" は素晴らしい。 "Break Away" も文句なしだ。 "God Only Knows" は彼女達のリードで始まるから、スピリチュアルな空気が保たれている。最後の曲は "California Energy Blues" といういかにもアルらしい内容のカントリーソングだが、ちょっと暗い仕上がりで出来はあまり良くない。 "Lady Lynda" や "California" のような冴えが見られなかったのはちょっと残念。裏ジャケには見事に痩せたカーニー(右端)が写っているので注目。なんとミニスカートだ。(佐野)
2001年10月11日木曜日
☆Cyrkle:『Red Rubber Ball』(Sundazed 11108)☆Cyrkle:『Neon』(Sundazed 11109)
Sundazedがサークルのコロンビア音源の完璧な CD 化を実現してくれた。未発表トラックまで入り、これでサントラの『The Minx』以外のサークルは完成である。まず『Red Rubber Ball』から。このファースト・アルバムはなんと初 CD 化なのだ。ブライアン・エプスタインに見いだされ、ジョン・サイモンがプロデュースに付き、ポール・サイモンから書き下ろしの "Red Rubber Ball" をもらって全米2位のデビューを果たしたサークル。グループ名の名付け親はジョン・レノンという豪華さだった。このファースト、典型的なフォーク・ロック・アルバムで、ポール・サイモンの曲とジャック・ケラーの "Turn Down Day" 以外は地味な印象だ。さてこれから肝心なボーナストラックを紹介しよう。未発表曲はインストの "Downtown Blues" と "How Can I Leave Her" , "Money To Burn" のデモで、出来のいいものではない。ただ、 "How Can I Leave Her" の歌のたどたどしさがGSを彷彿とさせ個人的には微笑ましい。 初 CD 化はB面曲の "The Words" 。トム・ドウズのオリジナルで、まさにフォーク・ロック。初 CD 化ではないが、シングル・オンリーのドラマティックな "Reading Her Paper" はサークルの最高傑作のひとつだ。なおシークレットトラックで、彼らのインタビューが入っている。セカンド・アルバム『Neon』は、全体的なクオリティがぐっと上がっている。ポール・サイモンやバカラックのナンバーもいいが、愛らしい "Two Rooms" とボサノヴァの "The Visit" が素晴らしい。まさにソフトロックだ。さてボーナストラックだが、未発表曲ではまず作者不明の "You Can't Go Again" 。アップテンポのなかなかキャッチーなナンバーだ。シタールが入らない "Don't Cry,No Fears,No Tears Comin' Your Way" の別テイクは、歯切れがよく、こちらの方が魅力的。そして今回の CD 化のハイライトが "Terry's Theme" 。解説のドミニックは気づかなかったと見え、何も書いていないが、この曲は "The Minx" の別ヴァージョンである。ホーンやフルートが加わったより完成された印象の見事なボサノヴァだ。67年の録音とあるので、70年の『The Minx』よりかなり前に録音されたものだと分かりこれには驚かされた。初 CD 化はB面曲の "Friends" 。カントリー・タッチのナンバーだが、重なり合うハーモニーが心地よい佳曲だ。シークレットトラックは、 "The Cyrkle For United Way" という未発表のジングル。(佐野)
2001年10月8日月曜日
☆Beach Boys Rarities Vol.5-7 (Dumb Angel/DA6-8)
このシリーズ、まだ続きがあった。今度は Vol.8までの4枚だが、 Vol.8は全て公式音源なので紹介はしない。まずはマイクのソロ中心の78年録音の Vol.5から。 "Almost Summer" 4テイクなど、複数テイクのものが多いが、かつての『Surfin' Rarities』シリーズや他に入ったものばかりで、確約はできないが、新発見はなさそうだ。78年-83年のデモ集 Vol.6では "Goin' On" がある。特に Track とカッコ書きされたカラオケテイクは、アップテンポの歯切れのいいドラムのパートが交互に加わり、完成していたらまったく別の雰囲気の曲ができあがったことを伺わせた。あとマイクの歌がまったくキーが違っていて、まともにはとても聴くことができない "Can't Stop Talking About American Girls" も私は初めて聴いた気がするのだがどうだろうか。84年-89年の公式音源集 Vol.7には唯一 84年『The Beach Boys』のアウトテイク "At The Hop" が入り、これは完全に初登場。古いロックンロールのカバーを完璧に歌いこなしたこのテイクは、このシリーズのハイライトになった。
(佐野)
(佐野)
2001年10月2日火曜日
☆Various:『Buttercups & Rainbows,The Songs Of Macaulay & Macleod』(Sanctuary/347)
遂にトニー・マコウレイとジョン・マクレオドの作品集がリリースされた。これで2001年のリイシュー大賞は決まった。この後、どんなアルバムが出ようが、このクオリティを凌ぐものはない。全てのポップミュージックを愛する人は必ずこのアルバムを購入しなければいけない。これは義務。この CD を聴かずしてポップミュージックは語れない。35曲もの全英トップ20を生み出した天才ソングライター/プロデューサーのトニー・マコウレイだが、彼はパイ・レコードの専属プロデューサーとして60年代に多くの名曲をパイのアーティストに提供した。マコウレイが最も旬のこのパイ時代の作品を一挙43曲も集めた究極のソングブックが本作なのである。ファウンデーションズは "Baby Now That I've Found You" 他7曲、フライングマシーンは "Marie Take A Chance" 他3曲、ピケティウィッチは "(It's Like A) Sad Old Kinda Movie" 他3曲、ペーパードールスは "Someday" 他3曲、ロング・ジョン・ボードレーは "Let's The Heartaches Begin" 他3曲と、既に CD 化が完了している大物はまずおいしい所をしっかり押さえている。そしてジェフェーソンの "Baby Take Me In Your Arms" 、マーマレードの "Baby Make It Soon" ももちろん収録。さて、これからはお楽しみの初 CD 化の曲を追っていこう。まずは完全未発表だったジェファーソンの "Love Grows" にビックリ。あの上昇していくリフがないが、ヴォーカルの魅力はトニー・バロウズと対等だ。そして最も楽しみなのが曲自体、初めて聴くものになる。その中ではシャッフルビートの洒落たDavid Garrickの "Rainbows" 、キャッチーなメロディと流麗なサウンドが素晴らしいSweetcornの "Catch Me,Catch Me" をはじめ、高揚感のあるイントロと展開が心地よいDavid Essex "Just For Tonight" 、パワフルなヴォーカルとマコウレイ・サウンドが一体となったアップの Committee "Sleep Tight Honey" 、力強いビートが爽快な Sandra Barry "Stop Thief" 、親しみやすいCarl Wayne "You're A Star" が特に印象に残る。イントロから耳をひき、頭の4小節で心を捕らえ、マコウレイしか書けないキャッチーなフックで夢中にさせてしまうこれらの曲はまさに「マコウレイ・マジック」だ。あと、マコウレイの相棒であるジョン・マクレオドもいい曲を書くのだが、その7曲のマクレオド作品ではSaffronsの "Baby Baby I Can't Let You Go" が、そのキャッチーさ、爽やかさでマコウレイ作品と比べても一歩も劣らない。マクレオド作品にも是非、耳を傾けてほしい。(佐野)
2001年10月1日月曜日
☆Various:『Rainbows:Ripples Volume7』(Sequel/431)
Pyeレーベルのポップ・ソングを集めたこの良質のコンピシリーズも、今回はいつもの2枚まとめてではなく1枚のみと、いよいよネタが尽きてきたようだ。しかし内容は個人的には7枚全ての中で最も収穫の多い充実した選曲だった。まずトニー・マコウレイ作の「Reach The Top」、これはGeneration Gapの69年のシングルだが、愛らしいフォーク・ロック・タッチの曲で、マコウレイらしいメリハリはないが、ハーモニーが効いていてなかなかの出来。そしてロジャー・ニコルス作のTwo Of Eachの69年のシングル「Trust」が素晴らしい。サークル・オブ・フレンズのヴァージョンとは違って、冒頭からハーモニーが全開、ビートも効いていて一聴の価値がある。ジム・ウェッブ・ファンにはFreshmenの68年のアルバムに収録されていた「Carpet Man」。アコースティック・ギターのカッティングの歯切れよさを生かている。トニー・ハッチ・ファンにはまずはTwo Of Eachの68年のシングル「Summer Of Our Love」だ。軽快で歯切れのいいメロとハーモニーがとてもいい。そして今回の目玉がMontanasの「I'm Gonna Change」。これはMontanasのCD「You've Got Be Loved」にも収録されなかったアメリカのみで68年にリリースされたシングルで、プロデュースはもちろんトニー・ハッチ。そしてこの曲は数あるフォー・シーズンズのナンバーの中でも最も私が好きな曲で、『New Gold Hits』に収録されていた名曲中の名曲なのだ。原曲のアレンジを生かし、ハーモニーとエコーをさらに加えた見事な出来栄えだ。これだけのネタが揃ったこのコンピ、もう買うしかないでしょう。(佐野)
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