2001年7月25日水曜日

☆Buffalo Springfield:『Buffalo Springfield Box』(Rhino R2 74324)

待望久しいバッファロー・スプリングフィールドの4枚組 CDボックスがリリースされた。全88曲中、37曲もの未発表トラックが収められ、1カ月先の日本盤などとても待てないとすぐに購入した。では、未発表曲のハイライトを順に追っていこう。ディスク1は最も初期の1966年に録音されたシンプルなデモが並ぶ。その中では後に CSN & Y の『Deja VU』で "Country Girl" として姿を現すことになるニール・ヤングの "Down Down Down" が聴きもの。ステファン・スティルスの軽快なロックナンバー "Neighbor Don't You Worry" もいい。ディスク2は "Down Down Down" のバンドヴァージョンからスタート、ハーモニーで彩られているもののスティルスのヴォーカルが中心だと独特の哀愁が無くなってしまっている。トロピカルなインスト "Kahuna Sunset" 、粗削りな "Mr.Soul" の別ヴァージョン、爽快なスティルスのビート・ナンバー "We'll See" など素晴らしいナンバーが並ぶが、同じアップテンポのロック・ナンバーでもハーモニーの華があり、スティルスとは違った個性を見せるリッチー・フューレイの "My Kind Of Love" が最高だ。その後では1967年に録音されたスティルスのきれいなフォーク・チューン "So You've Got A Lover" などのデモが続く。そしてヤングの幻の名作 "Down To The Wire" が登場するが、リードヴォーカルがスティルスだったのには本当に驚かされた。スティルスだと完全なロック・ナンバーになってしまうな。ディスク3では1967年に録音されたヤングのデモが並んでいて個人的には嬉しい。 "I Am A Child" の習作 "The Rent Is Always Due" や、ソロになって登場する "Round And Round And Round" , "Old Laughing Lady" が、やはり引っ掛かる。勝手にストリングスが付けられたという "On The Way Home" のストリングス抜き別ヴァージョンが登場するが、これはストリングスが入ったほうがいい気がしたのは私だけ?ごめんなさい、ヤング先生。ハーモニカが哀愁をさそうヤング作のインスト "Whatever Happened To Saturday Night" 、フューレイ作のポップな "What A Day" も魅力的トラックだ。ディスク4は彼らがオリジナルと認める1、2枚目のアルバムがそっくり入っているだけなので、未発表トラックはなし。しかしこのボックス・セット、単なるコンプリート作品集とは違って、「バッファロー・スプリングフィールド」への誇りが満ちあふれている。スティルスが好きではないからと "Bluebird" の9分ヴァージョンは見送られ、フューレイは実験的な "The Hour Of Not Quite Rain" を外した。おそらく同じような理由でギターの間奏が違う "Mr.Soul" のシングルヴァージョンも入らなかった。3枚目の『Last TimeAround』は解散後に作られたものなので、正規メンバーではないジム・メッシーナの "Carefree Country Day" も削られる。バッファローの音源ではあとヤングの『Decade』に "Down To The Wire" のヤングのヴォーカル・ヴァージョン、同じくヤングの『Journey Through The Past』収録の "For What It's Worth/Mr.Soul" "Rock & Roll Woman" のライブがあるので、コンプリートを目指す人はお忘れなく。(佐野)


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