この箱入り、ブックレット付きの豪華なブートは、CD3枚の『Lost Smile Sessions』、CD2枚の『Lost Recording Sessions 1962-1968』の2部構成になっている。ビートルズがそうだったように、ビーチ・ボーイズも『Unsurpassed Masters』シリーズの後は、驚嘆するような初登場音源になかなか出会えなかったが、このブートは初登場は少ないものの、様々なブートに収められていた音源が無駄なく収められ、また何よりも音質が素晴らしく、BBフリークのマスト・アイテムであることは間違いない。まず『Smile』の方だが、『Unsurpassed~』ではまったく不足していた「Heroes And Villains」のヴォーカルセッションが一気にまとめて収められた。それまで「Heroes And Vibrations」、「Heroes And Villians Session Part1&2」の2枚のブートに収められていた音源を上手に集めてあるが、ただしこれらの2枚のCDに入っていたスタジオ・チャットのような生々しいやり取りなど一部カットされている部分があり、お持ちの方は手放さない方が賢明。「Heroes~」の中に入れられていた「With Me Tonight」の様々なヴァリエーションも収録されている。(ただし『Smiley Smile』時のものも混在している)インスト部が長い従来の「Child Is Father To The Man」や、「Cabinessence」、「Wonderful」、「Holidays」、「Barnyard」、「Look」、「Good Vibrations」は『Unsurpassed~』に入らなかった既存のブート音源を集めてきたように思えるが(確信はない)、「The Elements Part1(Fire)」のピアノと不気味なキーボードによる初期ヴァージョンは初めて聴いた気がする。「Vegetables」はSmile Millennium Edition』に入っていた笑い声のヴァージョンである。ピアノの弾き語りの「Surf's Up」には、始めに“Surfin' Take 1"というカウント入り。『Lost Recording~』のディスク1はほぼ『Unsurpassed~』からの抜粋だが、「Do You Remember」のおふざけが長く聴けるなどの違いはある。『Andy Williams Show』に出演した時の3曲も入り、歌詞を変えた「Little Cycle」などが良好な音質で楽しめる。ディスク2のフェイドアウトしない「Fall Breaks And Back To The Winter」は初登場。トラック7の「Can't Wait Too Long」のつなぎのコーラスも初めて聴いたパート。そして「Breakaway」の初登場のアカペラや、その他のセッションはこの『Lost Recordings~』のハイライトだ (佐野)
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