2000年12月31日日曜日

☆Various:『The Concert For New York City』(Columbia/96270)




9月11日の同時多発テロで大打撃を受けたニューヨークを支援するため、10月20日に急遽開催されたチャリティコンサートのライブ盤だ。テロの深刻さを物語るように出演者は実に豪華。デビッド・ボウイ、ボン・ジョヴィからスタートして、エリック・クラプトン、ジェームス・テイラー、エルトン・ジョン、ビリー・ジョエルなど織り込みながら CD 2枚に渡って繰り広げられる。
個人的に特筆したいのはまずポール・マッカートニー。チャリティ好きの人なので各種ライブに登場しているが、ここでは "I'm Down" , "Yesterday" "Let It Be" "Freedom" の4曲を歌う。ラストの曲は『Driving Rain』にも収録された新曲。久々の "I'm Down" が嬉しい。 "Let It Be" の間奏のギターはクラプトン。
そしてミック・ジャガー、キース・リチャードの2人は "Miss You" "Salt Of The Earth" を披露する。後者はいつ聴いても感動的だ。
そしてベストパフォーマンスがやはりフー。ドラムにはザック・スターキーが入り "Who Are You" "Baba O'Reiley" (O'Reillyは誤植) "Won't Get Fooled Again" の3曲を歌う。いやーやはりフーはライブはエレクトリック・セットに限る。フーのライブのダイナミズム、その演奏力の高さに改めて驚かされた。音のひとつひとつが実に美しい。ライブの後の歓声も、おそらくすべてのアーティストで一番大きかったのではないか。私の見たいライブの筆頭は文句なしにフー、このライブ盤を聴いていてますますその思いは強くなった。(佐野)

The Concert for New York City

2000年12月20日水曜日

Radio VANDA 第 9 回選曲リスト(2001/1/4)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


 
第一特集My Favorire Soft Rock Part2

1. Don't Play With The One Who Loves You...Cotton. Lloyd & Christian ('74)
2. End Of The Line...Terry Silvester ('74)
3. It's Gonna Take A Lot...Gordian Knot ('68)
4. So Lovely...Joy(?)
Composed by Rick Henn
5. You're Too Young...Silverbird ('73)
6. Happiness Is...Orange Colored Sky ('69)
7. Get The Message...Bobby Vee ('67)
8. May My Heart Be Cast Into Stone...Don & The Goodtimes ('68)
9. You Don't Need A Heart...Teddy Randazzo ('65)
10. Old Fashioned Feeling...High Noon ('70)
11. It Take A Lot Of Loving[Original LP Version]...Harmony Grass ('70)

2

12. Ten Below...Chris & Peter Allen ('66)
13. California Home...Mark Eric(?)
14. Solitude...Pastors(?)
15. Melody Fair...Bee Gees ('71)
16. More Today Than Yesterday...Spiral Starecase ('69)

 


2000年12月13日水曜日

DVD/CD『劇場版エースをねらえ!』(バンダイビジュアル/BCBA0657)

映像作品は音楽物以外、紹介しないようにしてきたが、この DVD は作品のBGM 集が CD として付けられた画期的なディスクだったので、紹介することにした。「劇場版エースをねらえ!」は以前 VANDA 本誌でも特集した日本アニメーション史上に輝く金字塔だ。宮崎駿、高畑勲監督と並ぶ名監督、出崎統の作品の中でも最も充実した傑作中の傑作である。TV シリーズとはまったく別の劇場版を作る際、出崎はこの長編を削ぎ落とすだけ削ぎ落とした。私が苦手だった部員のイジメはすべてカットされ、岡の成長と共にサラっと描かれる淡い慕情が、この作品を青春賛歌に変えた。青春賛歌と書くといかにもクサそうに見えるだろうがそうではない。誰の心の中にも、そうこの今でも、心の中に大切に抱かれている、人間の根源への賛歌だ。そしてスピーディーな演出、作品の最大のクライマックスである岡が緑川の弾丸サーブからエースを取り、その力を驚きを持って認めた竜崎が「ひろみ、勝ちに行くわよ」とフォーメーションを指示したその時だ。取材のヘリコプターの爆音がオーバーラップして、画面は試合後の学校へ変わっている。普通の演出家なら、逆転で勝利する感動の場面を必死で描くだろうが、出崎は岡と竜崎の気持ちがつながったその時だけで、私達に勝利を確信させ、さらにカタルシスも果させていた。「ガンバの冒険」、「宝島」とシャープな演出で我々を夢中にさせてくれた出崎監督の真骨頂と言えよう。「エース」が嫌いな人にこそ見てもらいたい作品である。さてこの作品の音楽は馬飼野康二で、BGM も非常にいい。なんといっても基調が爽やかであり、プロの作曲家の実力を十分に見せてくれる。DVD で聴ける少年探偵団が歌う主題歌「まぶしい季節に」は、日本のソフトロックの傑作と言ってもいい1曲。フォーク調ながらダサくならないこの曲は作品を見た後だとさらに光るはず。
(佐野)

2000年12月1日金曜日

☆Tony Rivers Collection Volume 1:『Castaways』(RPM/193)☆Tony Rivers Collection Volume 2:『Harmony Grass』(RPM/194)




EMレコードでリリースされ、大ヒットとなった『Harmony Grass: This Is Us』『Tony Rivers & The Castways: Birth Of Harmony』の成功を見て、イギリスのRPMレーベルが出したのが本CD。素晴らしいハーモニーと芳醇なメロディのアンサンブルで我々を酔わせてくれたハーモニー・グラスの音源と、スタイルを変えながら最終的にハーモニー・グラスのスタイルになっていく変遷が聴きもののキャスタウェイズ時代の音源はどちらも素晴らしく、特に名曲揃いのハーモニー・グラスは必ず入手すべき。でもこれは前にも書いたね。選曲はほとんど同じだが、 EMレコードの方が曲が多く、『This Is Us』ではPyeのサントラ盤のみに入っていた好バラード「It Takes A Lot Of Lovin'」と名曲「I Remember」のイタリア語版「To Lo Ricordi」、ラジオ用のスタジオ・ライブの「Move In A Little Closer Baby」「Walk On By」、『Birth Of Harmony』ではラジオ用のスタジオ・ライブの「Windy」がRPMの方には入っていない。よってはじめて買う人には解説も充実したEMレコードの方をおすすめする。しかしこしゃくなことにRPMのCDには1曲づつ初登場の音源があり、まず『Harmony Grass』にはキャスタウェイズ末期の68年、ポリドールのスタジオで録音されたGibb作の「Turn Of The Century」が収められた。この曲はキンクスの「Sunny Afternoon」そっくりのイントロから始まり、ハープシコードのバッキングに乗せた哀調を帯びたメロディとハーモニーが心地良い好作品。『Castways』には67年にラジオ・ルクセンブルグのFAB 208スタジオで録音された作者不明の「For Once In My Life」が収録。この曲はアコースティック・ギター1本のバッキングに自慢のハーモニーを乗せた爽やかなフォーク・ナンバーだった。そしてさらに『Castways』にはEMレコードでは4曲入りEPのみのリリースの「Nowhere Man」と「The Girl From New York City」が収録された。結局このRPMのCDも必要ということである。来年春にはVol.3が予定されている。『Tony Rivers Harmony Works In The Studio 1971-1993』の内容と同じなのはミエミエだが、きっと1曲ぐらい違うんだろうなあ。(佐野)
Tony Rivers Collection Vol.1: CastawaysThe Tony Rivers Collection, Vol. 2: Harmony Grass

ソフト・ロック in JAPAN(VANDA編/音楽之友社)



GS、加山雄三から始まる日本のソフトロック前史、そしてガロ、シュガー・ベイブ、杉真理、スターダスト・レビュー、カルロストシキ&オメガトライブ、村田和人、大瀧詠一、山下達郎など日本のソフトロックを生み出したキーパーソンを90年代のアーティストまで約200組を紹介。筒美京平、村井邦彦、加藤和彦などはワークスで、またアニメ、特撮までウィングを広げ冨田勲、山下毅雄、宇野誠一郎などの素晴らしい楽曲をまとめた。林哲司インタビューと作品リスト、喜多嶋修ストーリー、そしてソフトロックを音楽的に分析する。

2000年11月20日月曜日

Radio VANDA 第 8 回選曲リスト (2000/12/7)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


 
第一特集: Ron Dante

1. Muddy River Water...Ron Dante ('70)
2. Look At Me...Ron Dante ('65)
3. Think...Ron Dante ('66)
4. The Absence Of Lisa...Ron Dante ('67)
5. Brandy...Eighth Day ('68)
6. Sayonara Baby...C. G. Rose[alias] ('68)
7. That's What Life Is All About...Ron Dante ('72)
8. Don't Call It Love...Bo Cooper[alias] ('73)
9. Charmer...Ron Dante ('74)
10. Midnight Show...Ron Dante ('74)
11. Yellow Van...Ronnie & The Dirt Riders[alias] ('76)
12. Shaking Hands With The Wind(from Acetate)...Ron Dante (?)

第二特集: More

13. In The Mirrors Of Your Mind...Definitive Rock Chorale ('65)
    Composed by Teddy Randazzo
14. High Time...Barry Mason ('70)Composed by Tony Macaulay
15. Have Yourself A Merry Little Christmas...Happenings ('66)


2000年11月16日木曜日

☆Lee Mallory:『That's The Way It's Gonna Be』(TYO/0038)

ボールルームからミレニウムまで、長くカート・ベッチャーと共に活動したリー・マロリー。その彼のカートがプロデュースしたシングル2枚に未発表曲、デモを加えたのが本CDだ。全14曲の中で光るのはやはりシングルの4曲。それもファーストの2曲がずば抜けている。「That's The Way It's Gonna Be」のアヴァンギャルドさはどうだ。ポップなメロディとサイケデリックなサウンド、そして革新的なカートのハーモニーが合わさったこの曲は66年の作品とはとても思えない。B面の「Many Are The Times」はサウンドはオーソドックスだが、虚空から現れるようなカートのハーモニーが凄い。ブライアン・ウィルソンのそれとは明らかにまったく違う、カート独自のスタイルである。セカンドの「Take My Hand」は一転、ポップでキャッチーな曲になった。これらのシングルの同時期に録音されたのがトラディショナルの「Wild Mountain Thyme」で、さらにオーソドックスなサウンドながらハーモニーはさすが。残りのカートが関係しないデモはロック調のものが並び、ミレニウムのサウンドとは遠い作品ばかりだった。(佐野)
That's the Way It's Gonna Be

☆Sandy Salisbury:『Falling To Pieces』(TYO/0037)

 昔からサンディ・サルスベリーは最もポップで、カート以上の曲を書けると押していただけに、先日リリースされたサンディのCD『Sandy』はちょっと期待はずれだった。というのも輝いていたのはシングル3枚の曲で、初めて聴く未発表曲のインパクトが薄かったからだが、『Sandy』より前の67年から69年に録音されたこの未発表曲集は、我々がサンディに期待していたとおりの素晴らしいものだった。まず冒頭の「Falling To Pieces」からノックアウト、キャッチーなコーラス部分の上手さは天性、歌もコーラスも実に爽やか。続く「A Little Bit Of Love」は、軽快でお洒落なポップ・ナンバーでとても愛らしい仕上がりだ。3曲目の「So Close To Heaven」は、コーラス部分のメロディの持っていき方がまさしくトニー・マコウレイで、知らなければマコウレイ作品の勘違いしてしまうほど魅力的なナンバーだった。さらに4曲目の「Bring Me On Back Home Again」はギターの音色とハーモニーが素晴らしい佳曲。その他では「Do Unto Others」がシングルとは違うややラフでワイルドなヴァージョンが収められ、力強いパワーポップでカッコいい。高音を響かせたギターが効果的な「Lonely Girl」のデモは完成ヴァージョンに負けない魅力的なアレンジが施されていた。珍しいサンディとゲイリー・アッシャーという組み合わせの「Together In The End」は、ギターのリフとキャッチーなメロディが組合わさったなかなかの傑作といえよう。バックにはカート、リー・マロリー、マイケル・フェネリー、ジョーイ・スティック、ダグ・ローズ、ロン・エドガーと完璧にミレニウム。このアルバムはおすすめだ。(佐野)
Falling to Pieces

2000年11月6日月曜日

☆Bruce Johnston:『Going Public』(Edsel/697)

今から9年ほど前に日本でCD化されたのでWeb VANDAをご覧の方ならお持ちの方が多いと思うが、現在は廃盤で海外ではリイシューされていなかった。今回エドセルからリリースされ、これでまだお持ちでない方もようやく入手できるようになった。77年のこのソロは、ビーチ・ボーイズ脱退後、バニー・マニロウが歌って75年にグラミー賞最優秀歌曲賞を受賞した「I Write The Songs」の作者として再び注目されたブルースが、79年に再びビーチ・ボーイズにその力を請われて復帰するまでの間にリリースされたものだ。メロディ・メイカー、ブルース・ジョンストンの面目躍如の美しいナンバーが並ぶ。プロデューサーはゲイリー・アッシャー、カート・ベッチャーもコーラス・アレンジに参加した「カリフォルニア」の仲間で作られたアルバムだ。さて既にこのCDをお持ちの方も要注意。最後の「Pipeline」は[Extended Version]なのである。これは同年に12インチシングルとしてリリースされた6分27秒のヴァージョンで、通常のLPヴァージョンより2分近く長い。カートのリミックスにより鳥の声やパーカッション・ソロが挿入されたトロピカルなものだ。この12インチは現在ではかなり入手が難しかったが、このCDでOK。(佐野)
歌の贈りもの(紙ジャケット仕様)

☆Duncan Browne:『Give Me Take You』(Immediate/057)

Sanctuary Record GroupのCastle Musicの中のSequelからリリースされたのが本CD。Immediateとあるが、実質はお馴染みのSequelが作っている。さて、このCDはかつて『Soft Rock A to Z』でも紹介したイギリスのシンガー・ソングライター、ダンカン・ブラウンのデビュー・アルバムの待望の初CD化だ。リュートのような音色のアコースティック・ギターをベースに、ハープシコードなどのキーボードと小編成のストリングス、ホーンのバッキングを加えただけのシンプルでクラシカルなサウンドが、バロック風のダンカン・ブラウンのメロディによく調和する。漂う気品はイギリスならではだ。このアルバムのベストナンバー「On The Bombsite」は何度聴いても素晴らしい。格調高いメロディとハンドクラップ、ハープ、女性コーラス、トランペット、オルガンによって徐々に盛り上がってくる構成は完璧。CDにはモノ・シングル・ヴァージョンやデモ(ほぼ完成しているが)も収められ、70年にBellからリリースされたシングルも収録された。(佐野)
Give Me Take You



☆Curt Boettcher:『Misty Mirage』(Poptones/5007)☆Sandy Salisbury:『Sandy Salisbury』(Poptones/5008)

 先に紹介した『Millennium Again』に引き続き、Poptonesレーベルからこの2タイトルも発売された。どれも日本のDreamsville(TYO)レーベルのものに収録されていない曲があるので要注意。まずカート・ベッチャーはDreamsvilleの全曲にさらにプラスして5曲が収められたお徳用。その5曲とはサンディ・サルスベリーが書きそうな明快な「Louise」、カチッとしたハーモニーが魅力のフォークロック・ナンバー「Rest In Peace」、オールドタイミーな「Bank Americard」、短いながらも華やかなハーモニーにひたれる「Crown Paper Towels」それに「Baby It's Real」のInst。歌の入ったものが4曲あり、それもミレニウムのデモのようにレベルの低いものではないので、これは買いだ。まだ購入していない人がいれば迷わずこちらのPoptonesの方を買いましょう。サンディ・サルスベリーの方は逆に「Sweet Sweet Cinnamon」、「Every Minute Of My Life」、「Spell On Me」(Demo)の3曲がカットされたがその代わり「Once I Knew A Little Dog」のInstが収められた。こちらはコレクターのみ注目。(佐野)
Misty MirageSandy by Salisbury, Sandy (2001-08-14) 【並行輸入品】

2000年10月31日火曜日

☆Jeffrey Foskett:『Twelve And Twelve』(Dreamsville/0039)

 ブライアン・ウィルソンのコンサートでファルセット・パートを担当していたことで一気に名前を知られたジェフリー・フォスケット。フォスケットの12弦ギターに乗せた爽快な歌と軽快なサウンドは良質なポップ・チューンが多いが、最も注目されるのがブライアンが参加したオリジナルの「Everything I Need」だ。そう、ウィルソンズでブライアンが二人の娘と歌ったあの曲である。この曲はダリアンの手によりブライアン風のサウンドにアレンジされ、ブライアンはウィルソンズの時よりも多く"Everything I Need~"のブリッジとサビでリード・ヴォーカルを取り、そして新たな中間部のパートも書いた。ブライアン・コレクターは要チェック。(佐野)
トゥエルヴ・アンド・トゥエルヴ

footter.html

☆Millennium:『The Millennium Again』(Poptones/5012)

 先に日本で発売されたミレニウムのデモや、カート・ベッチャー、サンディ・サルスベリーのアルバムは、イギリスのポップトーンズから続々発売される予定。それぞれ日本盤には収録されなかった曲が入るというコレクター泣かせの仕様になっていて、これからはこのポップトーンズに注目だ。このCDでの初登場曲は「Wearing Levis」のCM。カートのソロに入っていた同名の曲とはまったく別の曲で、こちらの方がカートの美しいファルセットやハーモニーが楽しめ出来がいい。他の曲の内容は日本盤と同じで所詮デモなので、コレクター向けだ。(佐野)

☆Fantastic Baggys:『The Best Of The Fantastic Baggys』(Sundazed/11084)

 サーフィン系はビーチ・ボーイズは別格としてブルース&テリー、リック・ヘン関係の第1グループ、ゲイリー・ゼクリー、ゲイリー・アッシャー、ジャン&ディーン関係の第2グループと、その両グループにいいものは集中している。そしてこのファンタスティック・バギーズはメロディ、歌、ハーモニー、演奏は第1グループのレベルにあり、昔から熱心なファンを抱えていた。既にご存じとは思うが、ファンタスティック・バギーズはフィル・スローン、スティーブ・バリのグループで、本作は彼らの60年代のベストワークと言える傑作となった。このアルバムの世界で最初のリイシューは今から20年以上前に下北沢にあったその名も「California Music」というレコード店のオーナーが個人でライセンスを取って作ったLPだったが、その後LP、CDと何回もリリースされ、今回はその中でも最も多い28曲が収録された。以前のCDより7曲多いがそれはカラオケやヴォーカル・トラック、バック・コーラスのみのトラック。しかしファンならこれも見逃せない。ポップス・ファンにとってもマスト・バイのアイテムである。(佐野)
Anywhere the Girls Are the B.O.

☆Small Faces:『Nice』(NMG/80094500066-6)

 最近現れはじめたCDに映像の入ったCD-ROMがセットされたアルバムだが、この手にはパッとしたものがなかったので手を伸ばさないままだった。ところがこのアルバムは凄い。初登場のライブ音源に、さらにそのライブ映像まで見られるのだからもう言うことはない。おまけに全10曲のうち頭の4曲は最も好きなデッカ時代の66年、それもリアル・ライブなのだからただもう涙。ドイツの「Beat Beat Beat」という番組に出た時のもので、「Hey Girl」、「All Or Nothing」、「What'cha Gonna Do About It」、「Sha-La-La-La-Lee」の4曲が収録されたが、愛らしいルックスながらマリオットの歌は比類なきまでにソウルフル、特に暴力的なまでのビートに満ちた「What'cha Gonna Do About It」のカッコよさにはまいった。残りはみな同じくドイツのTV「Beat Club」からの映像で、「I Can't Make It」「Here Comes The Nice」はマリオットが黒いテンガロン・ハットをかぶっているもの、「Green Circles」「Itchycoo Park」はマリオットがペイズリー柄のジャケットを着ているもの、「Tin Soldier」はマリオットがフリフリのシャツを着ているもの、「Lazy Sunday」は模様のような柄が映像に被ってきてしまうもので、こちらはテープで見たことがある方が多いのではないか。ラストの2曲はかつてLDの「Beat Club」シリーズにも入っていた。こちらの6曲の歌はオケ。2枚入って2000円を切る低価格は嬉しいがCD-ROMでは映像が小さすぎる。せっかくの貴重な映像なのだから少々高くてもDVDにしてくれれば。(佐野)



2000年10月20日金曜日

Radio VANDA 第 7 回選曲リスト (2000/11/2)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。

 
第一特集Snuff Garrett プロデュース特集

1. We'll Work It Out...Gary Lewis & The Playboys ('65)
2. The Night Has A Thousand Eyes...Bobby Vee ('62)
3. This Diamond Ring...Gary Lewis & The Playboys ('65)
4. Everybody Loves A Clown...Gary Lewis & The Playboys ('65)
5. She's Just My Style...Gary Lewis & The Playboys ('65)
6. Call Me...Brian Hyland ('66)
7. When You Touch Me...Brian Hyland ('66)
8. Questions And Answers...In Crowd ('66)
9. My Heart's Symphony...Gary Lewis & The Playboys ('65)
10. Elusive Butterfly...Gary Lewis & The Playboys ('68)
11. How Can I Thank You...Gary Lewis & The Playboys ('68)

 
第二特集More Gary Lewis etc

12. Green Grass...Gary Lewis & The Playboys ('66)
13. Girls In Love...Gary Lewis & The Playboys ('66)
14. Young And Carefree...Gary Lewis ('67)
15.
波乗りパイレーツ(U. S. A. 吹込盤カラオケ)[Surfin' Pirates:USA Recordinds/Without Lead Vocal]...ピンクレディ-[Pink Lady] ('79)
Chorus:Brian Wilson, Bruce Johnston, Carl Wilson, Mike Love
16. An Angel Cried...Castells ('65) #Produced by Gary Usher

2000年10月18日水曜日

☆John Lennon & Yoko Ono:『Double Fantasy』(東芝EMI/65528)

 ジョン・レノンの遺作となったこのアルバムの『ミレニアム・エディション』。興味があるのはただ1曲、ボーナス・トラックとして初登場したジョンのデモの「Help Me To Help Myself」だった。ピアノの弾き語りのシンプルなデモだが、これが期待にたがわぬ 素晴らしい曲で、ジョンのコブシが回るメロディの展開部の気持ち良さはさすがジョ ン。名作「Grow Old With Me」といい、完成しなかった作品を聴くにつけ、ジョンの偉大さを改めて思い知ら される。(佐野)
ダブル・ファンタジー(紙ジャケット仕様)

2000年10月5日木曜日

☆Brian Wilson:『Imagination』(Image/ID9217GEDVD) DVD

 98年のアルバムに合わせてリリースされたビデオがようやくDVDとしてリリースされた。アメリカ盤だがリジョン・コードはフリー。ここで見られるブライアンの姿は十分に回復したもので、おどおどした様も能面のような表情もなく、安心して見ることが出来る。ライブで「California Girls」「In My Room」「South American」「She Says That She Needs Me」「Your Imagination」「Cry」「Lay Down Burden」「Don't Worry Baby」の8曲を披露するが、正確に、そして穏やかな表情で歌う。バッキングにはブルース・ジョンストン、クリストファー・クロス、ティモシー・シュミット、ジミー・バフェットらに10数人のオーケストラまで加わり、アルバムと遜色のない歌をライブで再現してくれる。特に亡くなったデニスとカールの2人の弟の遺影をバックに歌う「Lay Down Burden」は感動的だった。曲間はブライアンを始め、ブルース、グレン・キャンベル、エリック・クラプトン、スティーヴィー・ワンダー、エルヴィス・コステロらのインタビューで綴り、中でもグレン・キャンベルが「Dance, Dance, Dance」のレコーディングの時にギターのリフを間違えたが、ブライアンがそれを気に入ってその場で採用されたなんていう話は実に面白かった。またブライアンがロニー・スペクターが歌う「Don't Worry Baby」を突然聴かされ喜ぶシーンは、ファンにはたまらないだろう。(佐野)
Imagination [DVD] [Import]

☆Jeff Barry:『Complete Recordings 1959-1971』(Brill Tone Records/333)

バリー・マン、キャロル・キングに続き、ブリル・ブリディングの偉大な作曲家の初期ワークスを徹底的に発掘するこのシリーズの第3弾はジェフ・バリーの登場になった。ジェフ・バリーと言えば妻のエリー・グリーンウィッチのあい方扱いで、それもエリーのオマケ程度にしか思われていないが、欧米ではジェフ・バリーを専門に研究する冊子が出ているほどの人気があり、単独で扱われる存在なのである。そして気づいていない方もいるだろうが、ジェフはモンキーズの「I'm A Believer」などのプロデューサーであり、アーチーズは作曲・プロデュースと全面的に作り上げたジェフのソロ・ワークス(作曲のパートナーはアンディ・キムに変わっていた)だった。さて、本CDはジェフが歌手として活動していた59年から71年の作品をCD2枚に集めたもので、なんと全59曲中34曲が未発表曲。ジェフ・バリー名義の58~69年のシングル8枚全てと62年のRedwoods名義のシングル3枚全てがきっちり収録されているのも嬉しい。軽快でドライなタッチのポップ・ソングが多く、後のジェフの作風を彷彿とさせる。既にCD化されているレインドロップスを除外しているのも親切だ。なお、このシリーズ、CD番号がバリー・マン111、キャロル・キング222でこれが333といいかげん、そして制作年度はどれも1995年のまま変わらないので、やはりこれはブートだろう。しかしジェフ・バリーのインタビューも載っているので本人の許可付き?まあ、リスナーからすれば作りがしっかりしていればブートであろうが、いいものは大歓迎なのだが。(佐野)



☆Flowerpot Men:『Peace Album/Past Imperfect』(Repertoire/4883)




 このCDは本当に素晴らしい。その価値といい、内容といい、ブリティッシュ・ポップ/ロックの今年のベスト・リイシューはこれで決まりだ。イギリスを代表するソングライターのジョン・カーター、そしてケン・ルイスはフラワー・ポット・メン名義で67年に自作の「Let's Go To San Farncisco」を発表したところ全英4位と大ヒット、しかしまだ2人はアイヴィー・リーグにいたためツアーなどこなせず、コーラスなどを担当していたトニー・バロウズ、ピート・ネルソンら4人を「フラワー・ポット・メン」と名乗らせ、計5枚(フレンズ名義も含む)のシングルを発表する。しかしどれもヒットに結び付かず、4人はホワイト・プレインズに名前を変え、ライバルのソングライティング・チーム、ロジャー・クック&ロジャー・グリーナウェイのもとへ行きヒットを連発することになるのだが、その間に生まれたのがこのCDのトラックだった。カーター&ルイスは、69年から70年の間に、フラワー・ポット・メン用に2枚のアルバムをレコーディングしていた。1枚は『Peace Album』、もう1枚は『Past Imperfect』と名付けられ、歌はカーター&ルイスとピーター・バーンファーザーの3人で録音され、プロデュースは前者がカーター&ルイス、後者がジョン・カーターが単独で行った。カーター&ルイスはフラワー・ポット・メン用にサイケデリックなコンセプト・アルバムを作ろうと自分達で録音をしたものの、それを聴いた先のトニー・バロウズらの「フラワー・ポット・メン」はもっとコマーシャルなものを望み、ホワイト・プレインズと名前を変えてカーター&ルイスのもとを離れていった。そのため、この2枚のアルバムは今までオクラ入りになっていたのだが、こうして30年ぶりに現在に蘇った。過去のフラワー・ポット・メンのCDのボーナス・トラックに収められた7曲を除くと14曲が初登場。さてその内容だが、素晴らしいメロディと美しい歌声、賛美歌のような気品あるハーモニー、サウンドはアコースティック・ギターの音色を生かしながらストリングスを交え、時にサイケデリックなアプローチも見せる。全体を覆う透明感、ポップでいながらブリティッシュらしさを感じさせるトラッドな感覚、カーター&ルイスの最高傑作がここに生み出されていた。深遠な「Prologue」からヘヴィなリフのギターの「These Heavy Time」へ移り、ブリッジで違和感なくファルセットの美しいハーモニーへ変化していく様はまさに至福。また「Now And Then」ではアコースティック・ギター、エレキ・ギターがラテン・パーカッションを交えたリズムに見事に乗り、そこに完璧なハーモニーが覆う。私は今までカーター&ルイスを過小評価し過ぎていたようだ。(佐野)
Peace Album/past Imper

2000年10月1日日曜日

☆Beach Boys:『Carl & The Passions』(東芝EMI/65567)☆:『Hollnad』(東芝EMI/65568)☆:『15 Big Ones』(東芝EMI/65570)☆:『Love You』(東芝EMI/65571)☆:『M.I.U. Album』(東芝EMI/65572)☆:『L.A.』(東芝EMI/65573)☆:『Keepin' The Summer Alive』(東芝EMI/65574)☆:『The Beach Boys』(東芝EMI/65575)

リプリーズ、カリブのアルバムの残り8枚が東芝EMIよりようやくリリースされた。日本盤は2イン1ではなく単発のリリースだが、アルバムのコンセプトを大事にする方にはこのリリースの仕方に納得されるだろう。ビーチ・ボーイズに関してはもう個人的に書き尽くした感があるので、ここでは各アルバムの寸評のみ記述する。72年リリースの『Carl & The Passions』はビーチ・ボーイズの中で最も人気のないアルバムのひとつ。カール中心で作られ、リズム隊に二人の黒人を入れた本作はファンキーで、またダウン・トゥ・ジ・アース色の強い仕上がりになったが、失敗作となった。ビーチ・ボーイズにこの手の曲は合わない。ただ個々には小品ながらいい曲もある。73年の『Ho lland』はこの頃、グループをなかば支配していたマネージャーのジャック・ライリーの肝入りでオランダで録音したアルバム。前作よりもまとまりが出たが、全体を覆う空気は鈍く、そして重い。名曲「Sail On Sailor」がやはり光るが、デニスの「Only With You」やアルの「Califoirnia」にも注目。76年の『15 Big Ones』はユージン・ランディの治療により肉体的に回復しつつあるブライアンを見たリプリーズが“Brian's Back"のキャンペーンで作らせたアルバム。オリジナルは15曲中7曲とカバーの方が多く、それも往年のオールディーズのカバーなので懐メロファンは喜び近年にない大ヒットとなったが、ビーチ・ボーイズのファンにとってはなんとも寂しい仕上がりだった。ブライアンの声は悲しいまでにしわがれてしまったが、ブライアンが歌えるようになったでけでもよかったというのが当時の心境。77年の『Love You』は全曲、ブライアンが作曲・プロデュースを行った傑作アルバム。シンセサイザーを多用したバッキングと、ブライアンならではの芳醇なメロディは、ブライアンがたどり着いた新たな地平だった。特にB面の流れは感動的であり、このアルバムこそ“Brian's Back"だったが、セールス的には失敗、以降またブライアンは深い深い精神病の闇に落ちていくことになる。78年の『M.I.U. Album』はアルが中心となって作られたものだ。この頃グループはアルバム2枚が連続してリプリーズに発売を拒否され、その曲を再利用するなどして作ったものなので評論家には軽視され、セールスも最低の数字しか残せなかったが、実は素晴らしいメロディの佳曲がぎっしりの傑作である。軽快な曲が多く、メロディアスで、ハーモニーも十分、個人的に大好きなアルバムだ。リプリーズからカリブへ移籍したビーチ・ボーイズの移籍第一弾が79年の『L.A.』。ブライアンの精神状態が最悪で急遽、ビーチ・ボーイズに呼び戻されたブルースはディスコ・ヴァージョンの「Here Comes The Night」を制作、ヒットはしたものの賛否両論を生んだ。日本語まじりのマイクの「Sumah ama」、ソロ・アルバムの曲を持ち寄ったようなカールとデニスの曲などまとまりはない。ベスト・ナンバーはイギリスで6位と大ヒットしたアルの「Lady Lynda」だろう。80年にはブルースが中心となって『Keepin' The Summer Alive』が制作される。ブライアンがほぼ不在の状態で、グループはなんとか夢をもう一度ということで、「夏」をテーマに、オールディーズ的な色彩を取り入れながらこのアルバムに取り掛かる。全体的に明るく懐かしい曲想の曲が多く聴きやすいが、芯がなく、印象に残らないアルバムだった。最後は85年になってようやくリリースされた『The Beach Boys』。デニスの死後、グループの存続も危ぶまれたビーチ・ボーイズが再び集まって作ったこのアルバムは、イギリス人プロデューサーのスティーヴ・レヴィンの主導で作られ全曲デジタル録音された。ヒットも生まれ、意欲は出ているが、打ち込みのサウンドはやはりビーチ・ボーイズには合わない。このアルバム以降、ブライアンが共同で作業したビーチ・ボーイズのアルバムは制作されていない。(佐野)
Love You (2000 - Remaster)M.I.U. Album (2000 - Remaster)

☆Brian Wilson:『Brian Wilson』(Rhino/8122-79960-2)

 ブライアンの88年のファースト・ソロアルバムが、ボーナストラック満載でリイシューされた。まずその1stソロだが、リンゼイ・バッキンガムのリミックスで音質が向上、ぐっと奥に広がりが生まれた。そして肝心なボーナストラックは、ソロ活動のスタートになった87年のゲイリー・アッシャーとのコラボレーション・シングル「Let's Go To Heaven In My Car/Too Much Sugar」と、アルバム未収録のシングルB面曲「He Couldn't Gets His Old Poor Body To Move」「Being With The One You Love」が収められ、このSire時代はコンプリートになった。特に洒落たメロディが印象的な「Being~」は、A面のアナログ・シングル「Melt Away」が一部でしかリリースされなかったため、かなりレアな音源と言えよう。その後はデモ。「There's So Many」「Walkin' The Line」「Melt Away」「Little Children」はアレンジが違うが、完成度はそれなりに高いアーリー・ヴァージョン。「Ria Grande」のアーリー・ヴァージョンにはカットされてしまったフレーズを聴くことができ、またエンディング近くのフレーズは、「Night Bloomin' Jasmine」という別の曲として独立していた。これは完全未発表。あと「Night Time」のカラオケ、一部だが「Love Ans Mercy」のピアノ弾き語りも登場した。ブックレットは歌詞カード付き。(佐野)
Brian Wilson