Marinaというマイナーレーベルが、ブライアン・ウィルソンとビーチ・ボーイズに捧げたトリビュート・アルバムだ。全25曲の内、『Pet Sounds』以前のCapitol時代のナンバーがたった4曲しかなく、未発表の『Sweet Insanity』から「Rainbow Eyes」、未発表デモのままの「Stevie」が入るなど、本当にビーチ・ボーイズとブライアンが好きなマニアックなファンが作ったことがよく分かる選曲が楽しい。メンバーには大物もいて、キム・フォーリーはセレブレイションの「Almost Summer」、チップ・テイラー&エヴィ・サンズは「Let's Put Our Heart Together」を披露していた。ハイ・ラマスは「Anna Lee,The Healer」、渋いなあ。再結成ハニーズの「Go Away Boy」という選曲にもビックリさせられた。さて肝心な内容だが、シンプルな演奏と歌のものが多く、素人くささは否めない。大胆にアレンジしたものもあるが成功しているとは言い難い。この中でのベスト・ナンバーはこの企画のためにクリス・デドリックがサンディとエレンの姉妹を集めて再結成したフリー・デザインの「Endless Harmony」。教会の賛美歌のようなハーモニーが、幾重にも幾重にもパターンを変えながらからんできて、そのシュールなコーラス・ワークはまさしくフリー・デザインだ。断トツの実力差がある。スリーブには貴重なブライアンのフォトが満載で資料的価値は高い。なおスリーブ裏の"mike love, not war"のコピーはかつてのブートと同じタイトル。かなりのブラックジョーク。(佐野)
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