2000年8月28日月曜日

☆Beach Boys:『Sunflower』(東芝EMI/65565)☆:『Surf's Up』(東芝EMI/65566)☆:『In Concert』(東芝EMI/65569)

 US盤から遅れて1カ月経ってようやく日本盤がリリースされた。嬉しいことに全曲に対訳が付いている。輸入盤では2イン1でリリースされたが、東芝EMIの担当者の強い意向で、これらの重要な価値あるアルバムを2イン1ではコンセプトがあいまいになってしまうとのことで、日本のみ単独でリリースされた。もうWeb VANDAの読者の方の多くは輸入盤を購入されたことと思うので、細かい言及はしない。もしまだ聴いたことがない人がいれば、黙って購入すること。1枚だけなら迷わず『Sunflower』。今になっては「70年のビーチボーイズのSGT.Pepper」なんて言う人がいるが、当時リアルタイムでこのアルバムを買った私としては、音楽誌ではほとんど無視され、まったく売れず、そして不当に低い評価がつい最近まで延々続いた事を知っているだけに、今の『Sunflower』が名盤として持てはやされている現状は隔世の感がある。ビーチ・ボーイズの各メンバーが持てる力を総結集したこの美しいポップ・アルバムは、ビーチ・ボーイズ第2のピークだろう。「Disney Girls」「Surf's Up」という超弩級(古いか)の名曲を抱える『Surf's Up』、ライブバンドとしての実力を見せつる『In Concert』も必聴盤。以前ソニーからリリースされた時と違ってオリジナル・マスターを使っている。(佐野)
Sunflower / Surf's UpSurf's Up (Stereo Remasterd)

☆Barry Mann:『Lay It All Out』(TYO/0036)

 バリー・マンの『Survivor』と並ぶ傑作『Lay It All Out』が遂にCD化された。数年前ならバリー・マンって誰?という音楽ファンが大半だったが、今では「好きな作曲家はバリー・マン」なんて人がぐっと増え、このアルバムを待ち望んでいた人も多かったはず。さて、71年のこのアルバムはバリー・マンの2枚目のソロアルバムで、プロデューサーはアル・ゴルゴニ。人生の機微を知りつくしたような「男」の魅力がバリー・マンの声にはある。前から言い続けているが、私にとってはバリー・マンの曲はバリー・マン自身が歌うと最も映えると思っているし、最も引かれている。このアルバムは『Survivor』に比べて華やかさは少ないが、いぶし銀の輝きがあり、それぞれの曲のクオリティは極めて高い。特にメリハリの効いた「When You Get Right Down To It」と美しいバラードの「Something Better」が気に入っている。嬉しいことにボーナス・トラックにアルバム未収録シングルのドラマティックな名作「Carry Me Home」と、ゆったりした広がりが魅力の「Sundown」が収められた。この中の「Carry Me Home」はブリッジの上昇していく演奏部が10秒も長い別ヴァージョン。これはちょっと冗長で、コンパクトなシングル・ヴァージョン(Radio VANDA6月号で放送済)のブリッジが正解だ。(佐野)
レイ・イット・オール・アウト

2000年8月20日日曜日

Radio VANDA 第 5 回選曲リスト(2000/9/7)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


第一特集Tony Macaulay作曲/プロデュース集

1. Love Grows...Edison Lighthouse('70)
2. Baby Now That I've Found You...Foundations('67)
3. Baby Take Me In Your Arms...Jefferson('69)
4. Someday...Paper Dolls('68)
5. Sad Old Kinda Movie...Pickettywitch('70)
6. Marie Take A Chance...Flying Machine('70)
7. In The Bad Bad Old Days...Foundations('69)
8. Bring A Little Light Into My World...Pickettywitch('71)
9. I Get A Little Sentimental Over You...New Seekers('74)
10. Falling Apart At The Seems...Marmalade('76)
11. Walking A Tightrope...Marmalade('76)

第二特集British Pop Rarities

12. Don't You Know...Edison Lighthouse('71)
13. That's Julie All Over...Edison Lighthouse('71)
14. Bringing On Back The Good Times...Love Affair('69)

 


2000年8月17日木曜日

☆Various.:『Caroline Now』(Marina/50)


Marinaというマイナーレーベルが、ブライアン・ウィルソンとビーチ・ボーイズに捧げたトリビュート・アルバムだ。全25曲の内、『Pet Sounds』以前のCapitol時代のナンバーがたった4曲しかなく、未発表の『Sweet Insanity』から「Rainbow Eyes」、未発表デモのままの「Stevie」が入るなど、本当にビーチ・ボーイズとブライアンが好きなマニアックなファンが作ったことがよく分かる選曲が楽しい。メンバーには大物もいて、キム・フォーリーはセレブレイションの「Almost Summer」、チップ・テイラー&エヴィ・サンズは「Let's Put Our Heart Together」を披露していた。ハイ・ラマスは「Anna Lee,The Healer」、渋いなあ。再結成ハニーズの「Go Away Boy」という選曲にもビックリさせられた。さて肝心な内容だが、シンプルな演奏と歌のものが多く、素人くささは否めない。大胆にアレンジしたものもあるが成功しているとは言い難い。この中でのベスト・ナンバーはこの企画のためにクリス・デドリックがサンディとエレンの姉妹を集めて再結成したフリー・デザインの「Endless Harmony」。教会の賛美歌のようなハーモニーが、幾重にも幾重にもパターンを変えながらからんできて、そのシュールなコーラス・ワークはまさしくフリー・デザインだ。断トツの実力差がある。スリーブには貴重なブライアンのフォトが満載で資料的価値は高い。なおスリーブ裏の"mike love, not war"のコピーはかつてのブートと同じタイトル。かなりのブラックジョーク。(佐野)
Caroline Now! The Songs Of Brian Wilson And The Beach Boys



2000年8月10日木曜日

☆Tony Rivers:『Harmony Soul』(RPM/205)




 既に2集まで出ているトニー・リヴァース・コレクションの第3集がリリースされた。それまでのハーモニー・グラスとトニー・リヴァース&ザ・キャスタウェイズのセレクションがEMレコードのそれと比べてやや見劣りしていて、RPM盤でしか聴けなかった曲は1曲づつしかなかった。しかし今回はトニー・リヴァースの未発表デモが一挙12曲も収録され、トニー・リヴァース・ファンのみならずソフトロック・ファン、ブリティッシュポップ・ファンには絶対のアイテムになった。この12曲は本当に素晴らしい。全てが70年から77年に録音された曲で、多くは70年代ソウルの影響化のミディアム・テンポのスウィートなバラードがぎっしり。もちろんポイントで飛び出すハーモニーも文句なし。カウンター・コーラスが楽しい最もポップな「For The Music」もいいが、ベストは何と言ってもアラン・カーヴェルがリードを取った最も美しいバラード「Getting The Feeling」だろう。やはり私にとってトニー・リヴァースはクリス・レインボウ以上の最高のUKのポップ・ミュージシャンだ。なおこのCDの中には2曲目の最後にノン・クレジットの「Radio Fantasy」というアカペラの「All Summer Long」を使ったジングルが入っていおるのでこれも要チェック。(佐野)
Harmony Soul 3

☆加山雄三:『Singles Collection』(BMGファンハウス/FHCF2496-50)

今年でデビュー40年を迎えた加山雄三。日本ではまだ希有な存在だったシンガーソングライターの加山が本格的デビューした65年の「恋は赤いバラ」からの全シングルAB面を網羅(タイトルの関係で「びっこの仔犬」を除く)したCD5枚組、105曲が収められた究極のコレクターズ・アイテムだ。66年の「ぼくのクリスマス」を始め初CD化の曲が13曲収められているのが嬉しい。私が好きなのは70年の「美しいヴィーナス」までの、それも時折制作していたムード歌謡風の曲を除いた、ロックンローラーの加山である。だからランチャーズを従えていた時代がベスト。加山の凄さは「君といつまでも」などの得意の3連ロッカ・バラードではなく、「蒼い星くず」などのロック・ナンバーで聴かせるその圧倒的な音圧とドライヴ感、そして「ブラック・サンド・ビーチ」での日本人にはなかったR&Bの感覚である。そしてメロディとしては「ある日渚に」「美しいヴィーナス」に代表される爽やかなポップ・ソングが素晴らしい。特に『君のために』に収められていたボサ・ノヴァ群は最高だった。このボックスではディスク2までに加山の魅力が凝縮されている。(佐野)
加山雄三 シングル・コレクション

2000年8月2日水曜日

☆Various :『California Music & Disney Girls』(BMGファンハウス/31050)




カリフォルニア・ミュージックとはブルース・ジョンストンとテリー・メルチャーが中心となって作ったプロジェクト。この二人が作ったサブ・レーベルのRCA/Equinoxで3枚のシングル、計5曲を残しており、そのすべてが収録された。2枚目のシングルではブライアン・ウィルソンをプロデュースに招き(ただし名義貸し程度のレベル)、3枚目ではカート・ベッチャーとゲイリー・アッシャーが加わったものの、ブルースがこのプロジェクトを外れている。この5曲のハイライトはブルースの斬新なアレンジが光る「Don't Worry Baby」のカバーと、ブルースのピアノの弾き語りで後の「Endless Harmony」の原曲の「Ten Years Harmony」、そしてカート・ベッチャーが歌うトロピカルな「Jamaica Farewell」のカバーの3曲だった。この後、カートが中心になって名前をカリフォルニアに短縮、レーベルもWarner/Curbへ移ってさらに2枚のシングル(さらに後にRSOの1枚もある)を発表する。カリフォルニア以降のものはこのコンピには収録されていないが、カートはその持てる力を存分に発揮し、70年代を代表するアルバムになっていたはずの『Passion Fruits』まで制作したが、これは今も未発表のままだ。さて話を戻すが、このコンピはRCA/Equinoxの作品集でもあり、パパ・ドゥ・ラン・ランの唯一のシングルも収められた。このシングルのB面の「Disney Girls」は、ブルースのピアノの弾き語りのソロ・ワークス。珍しいところではボブ・ゴーディオがプロデュースしたトニー・マーティン・ジュニアのシングルと、ジョージ・リーのシングル。RCAでブルースがプロデュースを担当していたデビッド・キャシディの作品の中からは4曲が収録されていた。予告されていたデイブ・エドモンズの「London's A Lonely Town」は残念ながら収録されなかった。(『Pebbles Vol.4』(AIP/5021)のCDには収録されている)あとこのコンピのタイトルでもある「Disney Girls」は、キャス・エリオットのヴァージョンなど3曲が収められていたが、一番いいのはジャック・ジョーンズのヴァージョン、これは収穫だった。(佐野)
カリフォルニア・ミュージック&ディズニー・ガールズ~RCA/イクイノックス・コレクション~